「今回、大阪っぽい事が何もできていない」
事の発端は、俺のこの一言だった。
今回の大阪公演、スタッフの方々は3月8日には大阪に入っていたが、ダンサーは9日の深夜バスで大阪に向かい、10日の朝に大阪に到着。そして10日、11日、そして12日の午前中でいろいろ仕込みと稽古をして、12日の昼と夜、13日の昼に公演をした。そして13日の夜には全てバラすという、わりと怒涛のスケジュールだった。それから打ち上げでワイワイ飲んで、その後、前回の日記の場所に移ったわけだ。
そういうパツパツなスケジュールだったので、当然朝から晩まで劇場に缶詰め状態。大阪を観光する余裕など微塵も無い。食事は、朝は適当に松屋かマックなどで済ませ、昼と夜は毎回炊き出しが出た。炊き出しは毎回とても美味しかったのだが、せっかく大阪に来たんだから、なんか、もっとこう、大阪らしいと言うかさ、食べたいじゃない。「でも時間が無いなんて事はわかってましたから、しゃーないっすけどね」とか言ってたら、美術のOさんがポツリと言う。
「大阪と言ったらここ!!って場所があるんだけど、あ、時間もちょうどいいし、今から行く?」
ん??
えっと、現在朝の4時半である。この時間が「ちょうどいい」ってどういう事だ…。どうやら「大阪と言えばこれ」というものを食べさせてくれるらしい。何となくの勢いで、美術のOさんに連れられて、ダンサーのKさん、照明のFさん、舞台監督のRさん、そして俺の5人は、夜明けの大阪の街に繰り出した。
タクシーに乗ってしばらくすると、Oさんが「あ、ここでいいいです」と運転手に言い、そこから徒歩で細い道に入って行く。すると、まだ朝の5時にもなっていないと言うのに、ものすごい人通り。狭い道の両脇にはおっちゃん達がずらーっと並んで、ようわからん時計とか、ようわからんDVDとか、何だか、とにかくようわからん物を売っている。そしてそれを見ながらフラフラするおっちゃん達。
なんだここは…
どうやらそこは日雇い労働者の街で、おっちゃんらがその日一日の仕事をもらうために、早朝からその街に集まるのだそうだ。朝の6時くらいになるともう遅くて、そんな時間にはもうその日の仕事は全て無くなっていると言う事らしい。
こ、ここでいったい何を食べるのか…
Oさんの話によると、そういう人達のために、その街の食堂は朝早くからやっており、その中のとある店で「貝汁」と言うものを出してくれるらしく、「それがメチャクチャ美味い!!!!!」と言うのである。
Oさんに連れられた先は、駅の構内みたいな場所でとても広い。そしてそこには、無数のおっちゃんらが段ボールやら毛布にくるまって寝てたり、または、目的はわからないけど、とにかくフラフラしてたりする。そしてそんな中を、これまたたくさんのハトがバタバタと飛び回るのだ。
そんな所に件の店があった。屋台みたいな感じの店で、店の前にテーブルが置かれている。そして店先に、すでに皿に盛られたおかずが並べられていて、欲しいおかずを持っていくというシステムのようだ。
そこでみんな、白米と貝汁を注文。その「貝汁」と言うのは、簡単に言うと「あさりのみそ汁」である。が、それは丼ぶりにナミナミにわけられ、山のようなあさりが、溢れんばかりに丼ぶりから顔を出している。その他、卵焼きやメザシなどもつまみつつ、完全な「朝飯」を食べる。確かに、この「貝汁」はなかなかにインパクトがあったし、これらのメニューは朝飯としては最高だろう。実際メチャクチャ美味かった。
が、果たして、これは「大阪っぽい」と言ってよいのだろうか。
「大阪」と言っても、そりゃいろんな大阪があるだろうから、一概には何とも言えないんだけど、今後もし、他の知人と「大阪に行った」みたいな話になった時に、
「大阪で何か美味しいもの食べた?」
「貝汁貝汁!!!!!」
「あー貝汁食べたんだー!!!!」
となるのだろうか。「貝汁」というワードを出して、会話がスムーズに進むのだろうか。世の中に「絶対」と言える事は無いだろうけど、ここでは言って良い気がする。絶対進まない。ただ、面白かったし美味しかったし、いろんな意味でおいしい経験だった。
舞台監督のRさんがそこをえらい気に入ったようで、いろいろおかずを追加注文し、ご飯もお代わりをする。実はその後に俺は予定があって、わりと焦っていた。するとRさんは「ここの代金は全部俺が出す。俺はもうちょいゆっくりしていくから、先に帰っていいぞ」と、おっしゃるではありませんか。。俺らはRさんと握手を交わしお礼を言って、Rさんだけをその場に残して帰る事に。ちょっと離れてから振り返る、背中を丸めてお茶をすするRさん。なんか、溶け込んでたなぁ。。本当にありがとうございました。
怒涛のスケジュールで公演も終わり、夜通し話をして、それから貝汁を食べて、と、この時点で朝の6時半とかだっただろうか。
まだまだ終わらないのだ。
美術のOさん、照明のFさんとも別れて、ダンサーのKさんと俺は、そのまま休むことなく京都へ向かった。これからまたまた未知なる世界が待っている。。。ホントにノンストップですね。
つづく
毎回長文で申し訳ない。。
事の発端は、俺のこの一言だった。
今回の大阪公演、スタッフの方々は3月8日には大阪に入っていたが、ダンサーは9日の深夜バスで大阪に向かい、10日の朝に大阪に到着。そして10日、11日、そして12日の午前中でいろいろ仕込みと稽古をして、12日の昼と夜、13日の昼に公演をした。そして13日の夜には全てバラすという、わりと怒涛のスケジュールだった。それから打ち上げでワイワイ飲んで、その後、前回の日記の場所に移ったわけだ。
そういうパツパツなスケジュールだったので、当然朝から晩まで劇場に缶詰め状態。大阪を観光する余裕など微塵も無い。食事は、朝は適当に松屋かマックなどで済ませ、昼と夜は毎回炊き出しが出た。炊き出しは毎回とても美味しかったのだが、せっかく大阪に来たんだから、なんか、もっとこう、大阪らしいと言うかさ、食べたいじゃない。「でも時間が無いなんて事はわかってましたから、しゃーないっすけどね」とか言ってたら、美術のOさんがポツリと言う。
「大阪と言ったらここ!!って場所があるんだけど、あ、時間もちょうどいいし、今から行く?」
ん??
えっと、現在朝の4時半である。この時間が「ちょうどいい」ってどういう事だ…。どうやら「大阪と言えばこれ」というものを食べさせてくれるらしい。何となくの勢いで、美術のOさんに連れられて、ダンサーのKさん、照明のFさん、舞台監督のRさん、そして俺の5人は、夜明けの大阪の街に繰り出した。
タクシーに乗ってしばらくすると、Oさんが「あ、ここでいいいです」と運転手に言い、そこから徒歩で細い道に入って行く。すると、まだ朝の5時にもなっていないと言うのに、ものすごい人通り。狭い道の両脇にはおっちゃん達がずらーっと並んで、ようわからん時計とか、ようわからんDVDとか、何だか、とにかくようわからん物を売っている。そしてそれを見ながらフラフラするおっちゃん達。
なんだここは…
どうやらそこは日雇い労働者の街で、おっちゃんらがその日一日の仕事をもらうために、早朝からその街に集まるのだそうだ。朝の6時くらいになるともう遅くて、そんな時間にはもうその日の仕事は全て無くなっていると言う事らしい。
こ、ここでいったい何を食べるのか…
Oさんの話によると、そういう人達のために、その街の食堂は朝早くからやっており、その中のとある店で「貝汁」と言うものを出してくれるらしく、「それがメチャクチャ美味い!!!!!」と言うのである。
Oさんに連れられた先は、駅の構内みたいな場所でとても広い。そしてそこには、無数のおっちゃんらが段ボールやら毛布にくるまって寝てたり、または、目的はわからないけど、とにかくフラフラしてたりする。そしてそんな中を、これまたたくさんのハトがバタバタと飛び回るのだ。
そんな所に件の店があった。屋台みたいな感じの店で、店の前にテーブルが置かれている。そして店先に、すでに皿に盛られたおかずが並べられていて、欲しいおかずを持っていくというシステムのようだ。
そこでみんな、白米と貝汁を注文。その「貝汁」と言うのは、簡単に言うと「あさりのみそ汁」である。が、それは丼ぶりにナミナミにわけられ、山のようなあさりが、溢れんばかりに丼ぶりから顔を出している。その他、卵焼きやメザシなどもつまみつつ、完全な「朝飯」を食べる。確かに、この「貝汁」はなかなかにインパクトがあったし、これらのメニューは朝飯としては最高だろう。実際メチャクチャ美味かった。
が、果たして、これは「大阪っぽい」と言ってよいのだろうか。
「大阪」と言っても、そりゃいろんな大阪があるだろうから、一概には何とも言えないんだけど、今後もし、他の知人と「大阪に行った」みたいな話になった時に、
「大阪で何か美味しいもの食べた?」
「貝汁貝汁!!!!!」
「あー貝汁食べたんだー!!!!」
となるのだろうか。「貝汁」というワードを出して、会話がスムーズに進むのだろうか。世の中に「絶対」と言える事は無いだろうけど、ここでは言って良い気がする。絶対進まない。ただ、面白かったし美味しかったし、いろんな意味でおいしい経験だった。
舞台監督のRさんがそこをえらい気に入ったようで、いろいろおかずを追加注文し、ご飯もお代わりをする。実はその後に俺は予定があって、わりと焦っていた。するとRさんは「ここの代金は全部俺が出す。俺はもうちょいゆっくりしていくから、先に帰っていいぞ」と、おっしゃるではありませんか。。俺らはRさんと握手を交わしお礼を言って、Rさんだけをその場に残して帰る事に。ちょっと離れてから振り返る、背中を丸めてお茶をすするRさん。なんか、溶け込んでたなぁ。。本当にありがとうございました。
怒涛のスケジュールで公演も終わり、夜通し話をして、それから貝汁を食べて、と、この時点で朝の6時半とかだっただろうか。
まだまだ終わらないのだ。
美術のOさん、照明のFさんとも別れて、ダンサーのKさんと俺は、そのまま休むことなく京都へ向かった。これからまたまた未知なる世界が待っている。。。ホントにノンストップですね。
つづく
毎回長文で申し訳ない。。
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