おかずブログ

ここでは主に撮影画像を発表します。
近場で撮影した植物などがメインとなります。

道すがら

2014年10月26日 | 歌稿


道すがら

人の世を掴んで生きた道すがら老いの坂道待つ魔物あり

逃れえぬ手に囚われて嬰児に戻らむ時計あえかに求む

季節過ぎ巡る矢車ただなかを嬰児奔り旅路重ねて

かざす手は陽に透け見える来し方の有象無象を閉じ込めており

皺の寄る掌に地や天や自身にも愧ずべきことの無きを信じて

その部屋に神も仏も振り捨てて恃みなき朝胸を張り入る

あるいはの危惧を収めてはらからの心配顔に眼で応えつつ

無影燈灯るベッドに臥して待つ満ちたりて過ぐ明鏡止水

摘出の痛みも知らず目覚むれば黄泉路迷い路世を隔ており

転移なし医師の言葉に安堵してにわかに戻る乏しき未来