敬虔な祈り
夏の幻影
家もまた熱中症に見舞われて涼を手さぐり幻影満ちる
流れ来て六十路の海を泳ぎおり水面に映える月影白し
寝て待てと果報を願う人ありてまどろみ流れこちらの岸で
寝たままに思わず干支を過ぎ越して嘆息漏らすあえかな息の
河の瀬を往く水あふれ戦いは果てなく続く星のおちこち
ゴルゴダの丘に逝きたる人もいて河は奔流往古も今も
ブラジルやトルコエジプト人の往く河は濁流日の本もまた
ゆくりなく爆ぜるドームの行く末に荒涼原野人を拒んで
流れ来る水に小石は運ばれてはてさてどこに行かむとすらむ
石ひとつおのが流れを流れ行き淵をうかがう寄る辺求めて