おかずブログ

ここでは主に撮影画像を発表します。
近場で撮影した植物などがメインとなります。

比良の山

2009年01月28日 | 歌にみる四季
大原や比良の高嶺の近ければ雪ふる里を思ひこそやれ
(西行 山家集)

思へただ都にてだに袖さへし比良の高嶺の雪の景色は
(寂然法師 山家集)

志賀の浦のさゆる景色の異なるは比良の高嶺に雪や降るらん
(慈円 拾玉集)


本日、京都市西京区の自宅近くから冠雪している比良の山が見えましたので撮影しました。
比良の山とは特定の山ではありません。比叡山の北に連なる連山を指します。
最高峰は1214メートルの武奈が岳です。
「比良」は歌枕でもあり、歌では風、雪、霰、凍る、冴えるなどの言葉が詠みこまれていて、
寒さの際立つ冬の情景を詠ったものが多くあります。
「比良の暮雪」は近江八景の一つです。

また、この山に吹く風の激しさは有名で、ことに春先の比良おろしの風を「比良の
八講荒れ」といいます。
下の画像は比叡山です。







よもすがら

2009年01月10日 | 歌にみる四季
よもすがら嵐の山は風さえて大井のよどに氷をぞしく
                    (西行 山家集)


初めの画像は嵐山。08年11月17日撮影。二枚目は大堰川と小倉山。08年12月7日撮影。
この川の岸辺のほうに平安時代は氷が張っていたものと思われます。
現在よりも平安時代の方が寒かったことは、数々の文献で明らかです。
だからこの川が氷結したとしても少しも不思議ではありません。
画像正面の小倉山も山城の歌枕として著名です。画像にある井堰は500年代に
初めて作られて数次にわたって改良されたものといいます。したがって当然に西行も見た井堰です。
この井堰のほんの少し上流に昔の法輪寺橋がありました。現在の渡月橋の前身です。

この大堰川の奥のほうを「千鳥が淵」と呼び、古来からの自殺の名所だったようです。
平家物語に出てくる滝口入道との悲恋で「横笛」が入水したとも言います。
また、下流の桂川では「お半・長右衛門」が入水心中した実話をもとに、
江戸期に「桂川連理柵」という浄瑠璃が作られました。
昭和になってからも入水自殺を報じる新聞記事を何度も見ています。