秋色の夢
見上げいる空の高みの秋色に六十五度目のよわい重ねて
さまざまの有為転変を納め入れ空はあまねく青色満てり
秋を往く乗合い船に乗り合えてさやかに探す老いの実りを
茜色広がり秋の陽は沈むもの悲しくも彼岸の夕べ
彼の岸に往きおり父母のありし日を茜の空に想い描いて
彼岸花咲く道往けば朱の陽は我が魂に寄り添い進む
夏秋が綱引きしあう彼岸の日過ぎ行く夏に挽歌を贈る
部屋の中朱夏白秋同居して琥珀の水に寧日あふれ
割りおれど砕けず残る夢の間のとびらを開く琥珀の水は
探し物六十路の半ば過ぎ越して空の高みにわずかに見えて