幸せについての考察 【桐棺三寸】

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小部屋の中にて

2005-01-22 | 戯言 Ⅰ

外界とは隔絶された小部屋。
彼らは数匹のカエルと共に入る。
全く居心地が良いわけではなく、
適度な、しかし当人にとっては
けっこうなストレスもある。
特にこの部屋から外に出る理由もなく、
飛び出してしまいたいほど
イヤなことがあるわけでもなく、
深く考えることのないまま
ダラダラと居続ける。

彼らの入室した日は、とても良い天気だった。
室内に隠(こも)る彼らには、
外界の様子を伺い知ることはできない。
というより、進んで知ろうともしない。

何時(いつ)しか外は、豪雨暴風へと変わっている。
しかし、彼らの外界に対するイメージは、
入室した時の良い天気のまま。
これほど外界が変動しているというのに、
彼らは適度な、しかし当人にとっては
けっこうなストレスの中、
10年を1年ほどの感覚でもって
日々を過ごしている。

カエルたちも、ぬるま湯から
ほんの僅かずつ、その湯温が上がり
遂(つい)には、自らの体が知らぬ間に
茹で上がってしまうであろうことに、
まだ気付いていない。

彼らは、この小部屋が永遠でないことに、
そして、いずれ自分たちの居場所が
どこにもなくなってしまうということに
いつ気付くのだろう。




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