Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2008年12月号 ヘルスケア、2008年の挑戦と成果

2009年05月15日 | 人道支援
【写真】クリニック4で医療サービスを待つ難民と地元住民

すべの難民に、最低限必要な保護と物質的援助を供給するというUNHCRの目標を達成するには、ヘルスケアサービスの提供はとても重要だ。カクマ難民キャンプにおけるヘルスケア提供の実施機関は国際救援委員会(IRC)だ。IRCは健康に関する問題を解決するため最善を尽くしている。

カクマキャンプには四つの診療所が存在し、カクマ1にはそれらの中心となる病院、メインホスピタルがある。難民も地元住民も共に診療の対象だ。2008年には、4人の医師がメインホスピタルで働き、8人の看護師が診療所で働いていた(通常、一つの診療所あたり二人の看護師)。 診療所のスタッフは無線を持ち、診療所と病院の間の連絡手段としている。緊急の場合に患者を速やかにメインホスピタルに搬送出来るよう、救急車も用意されている。メインホスピタルでも対応できないほど深刻な患者は、他の医療センターに搬送される。通常は カクマ・ミッション病院かロドワー・ディストリクト病院だ。

大まかに言って医療スタッフの4分の3がインセンティブ(報酬)を得ている難民で、残りはケニアのコミュニティから来ているスタッフだ。医療スタッフの多くが、IRCが提供する医療トレーニングの初級コースを受けていている。IRCはこれらのスタッフの職能を磨くため、さらに定期的なトレーニングも行っている。トレーニングは無料で受けられる。IRCのスタッフは以下のように説明している。「私達のカリキュラムは、訓練された医師と看護師の助けを借りて行われています。学科の課題学習と実地訓練を組み合わせたカリキュラムを組んでいます。栄養学や健康管理、そしてHIV/Aidsなど、様々な分野を横断する訓練を通して、私達の医療スタッフは新しい技術を身につけています」

IRCは最新の医療ケアの提供を確かなものにするため、ケニア保健省のガイドラインにのっとって、カリキュラムを毎年改訂している。彼らはさらに医学誌や最新の医学書を、図書館に提供している。「難民の人たちと働くに際し、知識の伝達に重きを置いています」とIRCのスタッフは説明する。

難民の中には、ヘルスケアサービスに貢献できる能力を持ち合わせている人がいる。難民キャンプ内から医療スタッフを採用することで、IRCはその力を利用できる。「医療トレーニングをすでに受けたことがある難民もいます。例えば、大湖群地域(訳注:アフリカ中東部)から来た難民には、医療や法律や行政事務の学位を持っている人もいるんです」とIRCのスタッフは指摘する。「キャンプの若者達の力も過小評価してはいけません。彼らはルーテル世界連盟(LWF)の学校で教育を受け、知識に富んでいます」 IRCの医療アシスタントとして訓練を受けた難民は、本国に帰還した後や他国に再定住した後、医療セクターで良い職を得られる。キャンプ内で身に付けた知識が有利に働くのだ。

世界的驚異となっているHIV/エイズの蔓延に対しては、キャンプ内の病院できちんと対応している。感染した患者は抗レトロウィルス薬を無料で使用できる。健康教育もまた難民と地域住民に無料で提供されている。この教育は個人レベルでのHIV/エイズの予防や、妊婦の母子感染といった問題に焦点を当てている。コンドームはキャンプ内で無料で配られている。さらに自発的カウンセリングとエイズ検査(VCT)のためのセンターでは、無料でHIVテストを受けることも可能だ。これらはHIV/エイズに立ち向かうために取られている方策の一部だ。

2008年には、ヘルスケアサービスへの需要が診療所の対応能力を超えてしまうことがあった。午前の部では、医療スタッフは診療所に午前7時半に来て12時半に帰る。しかし患者は午前5時半には続々と集まり始める。それもかなりの人数だ。午後の部は、午後2時に始まり4時半に終わる。いつも十分な病室が診療所にあるとは限らない。時には医薬品が足りなくなることもある。ヘルスケアサービスは雨期になるといつも困難に直面する。悪い衛生状態と下水システムが原因で、多くの難民がマラリアや下痢になるのだ。病気の流行が起きた場合は診療所が真っ先に対応し、難民や地元のトゥルカナ族のコミュニティに駆けつけて治療を施している。

課せられた制約を考慮に入れれば、診療所は良くやっている方だと言えるだろう。「私達はUNHCRが定めた基準に基づき活動のチェックを行っています。現場はいつも良い成績を収めているんです」とIRCのスタッフは言う。彼はこの成功の大きな要因として、素晴らしい医療スタッフの存在を挙げている。「能力の開発と活動の実施において、私達は難民スタッフを信頼しています。現場には本当にいい人材がいるんですよ」



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