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カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2016年2月号 難民キャンプの新たな取り組み

2016年04月19日 | 人権
難民危機に対して、もう少し現実的な取り組みが採用されていれば、この悲劇的なシナリオは回避できただろう。

いま世界には歴史上いまだかつてないほど大勢の難民がいる。現在の難民数はおよそ4500万人から5000万人と推測され、しかもその数は4秒に1人という驚異的な速度で増え続けている。そもそも難民キャンプは一時的な居住地であり、大多数の難民は再び故郷に帰るか、母国と似通った他の国へ移住したものだ。

しかし今日では、大多数の難民はそれぞれの故郷に帰還することも移住することもない。その代り、取り残され、荒れ果てた状態で希望を失った生活をしていて、今後も同じような暮らしぶりが続くだろう。

この悲劇的なシナリオは、難民危機に対してもう少し現実的な取り組みが採用されていれば回避できたはずだ。キャンプに入れられている多くの難民は、それぞれ専門的な技術や職業能力を持っている。もし彼らがその能力を発揮できる手段を与えられたなら、仮にキャンプ内にいたとしても、彼らはより良い状況で生活ができたはずだ。多くのキャンプで典型的な絶望空間に存在することはなかっただろう。

さまざまな国連機関や主な非営利団体は、貧しい人々や自然災害や戦火を逃れてきた人々の生活を立て直すために、彼らに必要な資源を供する知識も経験も豊富に持っている。キャンプ外で機能している彼らの専門知識と事業家としての能力を、キャンプ内でも同じように活用するべきだ。

日々急速に膨らみつつある重大な難民危機は、難民支援に携わっている人道支援団体に、莫大な財政負担をかけているが、その重荷に耐えるだけの能力が備わっていない。我々の集団も、重荷を背負っているという共通意識を持っている。世界で膨大な人数の人たちが日々苦難に耐えていれば、それは我々にも影響してくる。意識しているにしろ、意識していないにしろ、彼らの悲しみやむなしさを我々は感じ取っている。彼らに力を与え、尊厳を取り戻し、将来への希望を回復させれば、結果的に、我々自身にも幸福や安泰をもたらすことになる。

この危機を、難民への新たな視点や取り組みへのきっかけにしよう・・・我々難民が、災害の被害者や貧しい人々を支援するのと同じやり方で難民への支援をはじめれば、難民が社会の片隅に追いやられることもなくなるし、国際社会を豊かにする生産的なメンバーとして仲間に入れてもらえることだろう。


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