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カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
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2022年12月号 グローバルノースの方針:「金は出すから難民を受け入れろ」 

2023年08月23日 | 人権
By トロッサ・アスラト/ KANEREスタッフ ボランティア記者

2016年9月、国連総会(UNGA)は移民と難民に関する「ニューヨーク宣言」(New York Declaration for Refugees and Migrants) を採択した。この宣言は大規模な難民の動きが生じた際に国連難民高等弁護館事務所(UNHCR)に対して「包括的難民支援枠組み」(CRRF)を適用することを求めている。この枠組みは次の4つの目標を達成することを目指す。受け入れ国への負担を減らす、難民の自立を高める、再定住へのアクセスを広げる、そして自発的な帰還を可能にする環境を促進する。


【写真】難民の倉庫――トロッサ・アスラトによる取材 / KANERE2022

2年後採択された、「難民に関するグローバル・コンパクト」(GCR)には「包括的難民支援の枠組み」も含まれ、上記の目標も掲げられた。しかしGCRは2015年の欧州難民危機では、政治的思惑からグローバルノース諸国への移民の流れを阻止するものに変貌し、その結果、多くの難民にとってこの協定は、「我々は資金を調達するので、あなたたち受入国は難民を詰め込めるだけ詰め込んでください」と言っているようなものと受け止められた。

2018年にケニア政府は「グローバル・コンパクト」と「包括的難民支援枠組み」の方針を自国の難民政策に活用した。そしてケニア政府は「カロベイエイ統合社会経済開発計画」(KISEDP)という定住支援プランを実施した。生計手段を得る機会の提供を増やすことで難民と難民の受け入れ地域(ホストコミュニティ))の自立を促進しようというものである。

他に頼らない自助的な社会を作ることを目的としたカロベイエイ計画は、実施当初から寄付者の関心を引き、「包括的難民支援枠組み」(CRRF)のリトマス試験としてケニアと他の14か国の難民受け入れ国で試験的に導入されている。

2022年6月20日に行われた世界難民の日の演説で、トゥルカナの知事であるジェレミア・ロモルカイ・ナポチカン氏は次のように述べている。「カロベイエイ統合社会経済開発計画は社会経済の包括的な発展を促進するものだが、それによって全ての人間の保護と安全の必要性がさらに高まっている」

知事はまたUNHCRと協力者達に対し彼らがカロベイエイ統合社会経済開発計画で成し遂げた「進歩と業績」を称賛し、「人道的支援から開発への介入」に移行するよう促した。

カロベイエイ統合社会経済開発計画は複数年に及ぶ(2016−2030)プログラムであり、実施は四段階に分けられ、8つの補足的な方針を備えている。トゥルカナ郡統合開発2018−2022計画(CIDP)と共に、これらの方針には医療や教育、水の供給などの強化が含なれている。

カロベイエイ統合社会経済開発計画は第一段階(2018-2022)を終え、現在は難民と受入地域の自立を目指す第二段階に入っている。

カロベイエイ統合社会経済開発計画の実施段階は序盤にすぎないが、カロベイエイとカクマの差が鮮明になったようだ。カロベイエイ居住区の設計計画は長期的な統合を示していて、商業とレジャーの共有区域や宿泊施設、庭園、連絡道路、エネルギーと水の供給施設といったインフラに加え、カクマキャンプの4つの地域にある学校より設備が整った学校ができている。

さらにドイツ開発研究所は、ケニア政府がすべての包括的難民支援枠組みの計画過程で難民住民を取り込んだことに注目している。研究所によるレポートは「ケニア政府にとって、この公約が国の安全保障重視の政策に反していようとも、これらの遂行に失敗すると外交面での面目を失うことにつながる」と述べている。

カロベイエイ統合社会経済開発計画はトゥルカナ郡政府とUNHCRによって調整された複数の部門と複数の機関が関わる計画であり、国連人間居住計画(UN-Habitat)やルーテル世界連盟といった世界各国の多くの寄付に支えられている。

「これは統合型のプログラムであり、我々は郡の政府機関としてこのプログラムを高く評価しています」とトゥルカナ郡の知事は述べている。「UNHCRとそのパートナーは最善を尽くしています。我々としても引き続き、トゥルカナ郡の西部地域における難民と受け入れコミュニティの統合という素晴らしい社会経済計画を実行していきます」




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