Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2022年12月号 サソリの毒で3人死亡、サソリプロジェクトセンターの報告

2023年08月23日 | 健康
Byトロッサ・アストラ/ KANEREボランティア記者

カクマ難民キャンプのカクマ4にあるサソリプロジェクトセンターの責任者の報告によると、サソリに刺されたりヘビに噛まれたりして3人が死亡したという。死者の中には祖母と3歳の幼児が含まれている。


【写真】カクマで最も有害で恐れられているサソリ、パラブーツマクシムス
――サソリプロジェクトセンターのゴドフリー撮影

研究主任のゴドフリーによると、ケニア北西部のカクマキャンプには、近隣諸国出身の24万4,000人(2022年10月UNHCR&GOK統計)の難民が住んでいるが、サソリや毒ヘビ、ムカデ、クモなどの最も致死性の高い種も生息しているそうだ。

これらの生き物を殺さず見守るという着想は、「難民コミュニティの安全を守るためにほかなりません。カロベイエイがカクマの4か所のキャンプより安全なのは、木が多く、それだけヘビ、サソリ、クモが地面から高いところに上るからです」

「ほぼ30年にわたり、難民はサソリに刺されたりヘビに噛まれたりしてきました。多くの人が愛する人を失い、指、腕、足を切断されたにもかかわらず、キャンプの関係者に無視されてきました」とゴドフリー氏は言う。彼によると、こうした事故はカクマの医療に大きな問題があることを示唆しているという。最近の事故は、この問題の深刻さを示す一つの例だ。

2022年9月、南スーダン出身でカクマ4に住む65歳の女性が、カクマ4 のIRC病院に入院したが、2日後に死亡が確認された。この女性は夜間にパラブーツマクシムスというサソリに右足を刺され、入院から2日後に死亡した。さらに、ゴドフリー氏によると、カクマ4の同じコミュニティに住む3歳の男の子もサソリに刺され、病院に向かう途中で死亡したという。


【写真】カクマで 2 番目に恐れられているサソリ、パラブーツパリドゥス
――サソリプロジェクトセンターのジョージ撮影

「刺された直後は、おばあちゃんの足も体も腫れてはいませんでしたが、苦しそうに、わけのわからないことを言ってました。でも歌うことはできました。それが45分たって、意識がなくなってしまったんです」女性の孫娘はサソリプロジェクトに問われてこう答えた。

パラブーツは大型で猛毒を持つアフリカ熱帯サソリの一種で、カクマや新しい入植地のような降水量の少ない地域を好む。針に即効性の毒があるので、獲物をつかむための細いハサミはあまり使わない。

雌の パラブーツパリドゥスは、カクマ難民キャンプと新入植地で見つかったサソリの中で 2 番目に危険な種類だ。

有毒なサソリに噛まれた場合の危険な症状としては、ひどい発汗、神経過敏、嘔吐、高血圧が見られる。サソリに刺されると、その毒が心臓にまわり、心臓関連の症状で死亡することになる。これは普通のサソリに刺された場合にも見られる。しかしブラゾシンという薬が、サソリによる咬傷の治療で奇跡のような効果を示し、死を防ぐ。ただしタイムリーな治療が必要だ。

カクマの難民のほとんどはセメントで固めていない地面の上で寝ており、夜中に毒ヘビ
に噛まれたり、サソリに刺されたりしやすい。

毒ヘビは毒の種類により、神経毒性と溶血性の 2 種類がある。神経毒ヘビに噛まれると、まぶたが下がる。麻痺(眼瞼下垂)が起きるのだ。これは噛まれた人の初期症状なので警鐘となる。眼瞼下垂に続いて、食べ物や水を飲み込むことが困難になり、呼吸困難などの呼吸器症状に進行し、最終的には身体麻痺に至る場合がある。

同氏によると、サソリプロジェクトセンターは、刺されたりヘビに噛まれたりする事故が多発していることを受けて始まった難民主導のコミュニティベースの取り組みだという。カクマ周辺の有毒種に関する関連情報を提供することで、難民、人道支援活動家、難民受け入れコミュニティの間で安全な環境を構築、促進、維持することを目的としている。

同センターが直面する課題についてゴドフリー氏は、「ここにはかつてサソリがたくさんいましたが、酷暑と餌不足で多くの生き物が減っている上、資金不足でゴキブリを与えることができず、今は数匹しかいません。ヘビも同様で、ネズミやトカゲの繁殖が追いつかず、7匹のヘビを解放したところです」

カクマ難民キャンプのような場所では、「敷地内を清潔に保ち、避難所を整理整頓し、夜間は懐中電灯を持って移動すれば、事故を減らせる」かもしれない。

「過去8か月、この地域では雨が降りませんでした。そのため、雨期とは対照的に、サソリに刺されたりヘビに噛まれたりする割合はかなり減少しました」

プロジェクトオーナーによると、ヘビやサソリの咬傷による死は、地域社会と国際救援委員会(IRC)をなどのキャンプ関係者の意識を高め、責任を果たすことで防ぐことが可能だという。 プラゾシン注射や抗ヘビ毒などの薬剤をすぐ手に入れられるようにすることも必要だ。

サソリに刺された場合にどうすればいいか、ゴドフリー氏は次のようにアドバイスてくれた。「まずはすぐに病院に行くことです。でも医療施設が遠い場合は、ロープを見つけて手や脚など刺された場所をしっかりとしばり、毒が心臓に流れるのを最小限に抑えることです。その後、刺されたところの周囲を少し切って、毒の一部が血液といっしょに流れ出るようにします。また、毒を和らげるため、牛乳や蜂蜜を飲むのも効果があるかもしれません」

カクマに7年間住んでいる地域のリーダーは、「ここういう事故を防ぐ方法として、地域の医療従事者にサソリやヘビの咬傷への対処法などを定期的に訓練することです。 関係団体の責任として、狂犬病ワクチンや、ヘビやサソリの毒などの治療薬を、簡単に入手できるようにするべきです」と言う。

カクマ難民キャンプでヘビ咬傷やサソリ刺傷の事故がどの程度起きているのか、完全にはわかっていない。国際救援委員会 (IRC) から詳細を入手しようと試みたが、回答はまだ得られていない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿