Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2009年1月号 違法なチャンガー酒の現実

2009年05月29日 | 健康
【写真】カクマで醸造しているチャンガー酒
カクマでは、チャンガー酒を違法に醸造し飲むことは日々目にする現実だ。「毒の酒」、「早く殺せ」といったタグを付けたチャンガー酒は、飲めば死や盲目に至るケースもあるアルコール飲料だ。夜、キャンプを歩くと、道をさまよい市場でぶらついている騒がしくて不愉快な酔っぱらいに出会う。
“ベリンダ”夫人はカクマ難民キャンプのチャンガー酒醸造所のオーナーだ。彼女は、みんながチャンガー種を飲むのは、ボーっと過ごすのを避けるためや、生活のストレスを少なくするだと見ている。チャンガー酒を飲む大部分の人たちは人生に絶望しているとも指摘する。
彼女はチャンガー酒には多くの心理的効果があり、HIV/エイズの蔓延の一因になるとも述べている。チャンガー酒を飲むと自制心を失い、不本意ながら防護なしで性的な関係を持つことがある。カクマにいる難民ドクターはチャンガー酒が目と肺など人間の器官に重大な影響を及ぼすことを確認している。
“ベリンダ”夫人はまた、酒癖に陥った人は家族への責任をないがしろにするので、チャンガー酒も貧困の一因になると言う。彼らはチャンガー酒になけなしの金を使い、家では体調の悪化に苦しみ、その一方でチャンガー酒で時間を浪費し仕事を忘れる。
醸造所のオーナーたちも、チャンガー酒の悪影響を受けている。「チャンガー酒を飲む客が丸一日騒ぎ、客の面倒を見るのに忙しく、自分はほとんど眠ることができない。早朝か深夜でなければ食事もできない。客がよそに行くことがないように、特にお金を持っている人の性的欲求に協力することもある」
こういうネガティブな結果になるにもかかわらず、ベリンダ夫人はチャンガー酒が収入源なので、売るのをやめられない言う。
カクマのケニアの警察は、長年、カクマでのチャンガー酒醸造を禁止しようとしたが成功しなかった。上級警官は次のように述べている。「我々は醸造所のオーナーを急襲して逮捕し、警告し、法廷に連れ出す。オーナー所有の醸造用具を壊しもする」。しかし、チャンガー酒は「ある者にとっては食物のようなものなので、止めさせることはできないが、コントロールすることはできる」
警察が努力したのに成功しなかった理由を聞かれ、ベリンダ夫人はコミュニティの圧力と腐敗を挙げた。「警察はチャンガー酒を飲んでいる者たちを逮捕して、我々の仕事をやめさせようとした。商売がだめになりそうになったので、オーナーがまとまって警察に賄賂を払ったからだ」と。
あるチャンガー酒飲みによると、チャンガー酒を飲んだ後は、「とても快適な気分になり、ストレスがなくな。ボーっとすることもなくなるし、強くなる……外分を恥じることもないし、自分を他人と比べてもコンプレックスを感じなることない」
もしチャンガー酒が禁止になったらどうするかと聞いてみると、「それは人権侵害だし弾圧というものだ。人は誰でも、他の人と同じように、人生を好きに生きる自由があるし、そういう自由を生まれながらに持っている」と主張した。
一部のユーザーには、チャンガー酒を飲むのは揺るぎない「権利」に見えるかもしれないが、いずれにしてもこれは違法で、カクマキャンプと周辺の現実の問題として続いている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿