Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
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2021年9月号 カクマ教員のストライキ 執筆:カバタ・ボル & バル―・マクアク

2021年10月29日 | 教育
【写真】カクマ1のUNHCRメイン施設に向かってデモ行進をするストライキ中の教師たち

キャンプの小学校教員たちは生徒を家に帰し、教室での活動をすべて中止した。

KANEREの取材に応じた教頭たちによると、給料の支払いが遅れていることがストライキの主な原因だという。

「教師には平等に給料が支払われておらず、給料の支払いはいつも1~2カ月遅れています」と、キャンプ2の学校長がKANEREに語った。

2021年9月10日(金)には、カクマの小学校21校すべてで授業が中止され、約53,000人の生徒が授業を受けられなくなった。

教師たちはデモを組織し、学生たちも加わり、ルーテル世界連盟(LWF)からの給料アップと教師への福祉を要求した。

現場にかけつけたKANEREチームにわかったのは、教師たちが抗議行動を綿密に計画していたことだ。彼らはまず、スーダンのエクアトリア地方出身少年のためのサッカー場に集合し、その後UNHCRのメインゲートに向かった。

しかし教師たちがサッカー場を出発する前に、LWFの車が2~3人のスタッフを乗せて現れた。LWFのスタッフは、教師たちにストライキをやめるよう説得しようとしたが、LWFの重要人物の一人、オケロもこれに加わっていた。オケロは教師たちの長年の訴えに耳を貸さなかった人物だという。

現地時間の午前9時頃にはデモが行われ、参加者は穏やかだったが状況は緊迫していた。

デモに参加する遠方の教師たちは、グループに分かれて、カクマ1ゾーン1ブロック1裏の旧墓地手前の交差点にあるサッカー場に到着した。現場には2台の車に乗った教育局の職員たちがいたが、教師たちを説得して抗議行動をやめさせることはできなかった。

「私たちにとって、これは自分たちの声を届けるための決戦の日なのです。長年私たちを失望させてきた管理職が、教師たちにストライキをしないよう説得しても意味はありません。私たちの権利はもともと不足していますが、労働権を取り戻すには自らの権利が必要なのです」とゾーン4の学校の教師であるパジョクは語った。

そして「オケロ氏や他の教育担当者のような人がいまだに存在していますが、私たちはもう彼らを信用していません。私たちが必要としているのは政治家集団ではなく支持者なのです」と付け加えた。

別の教員代表によると、計画的抗議活動を阻止するためにLWF事務局から派遣されたオケロ氏と品質保証・基準担当者(QASO)は、手を広げて教員にデモをやめるよう求めていたが、教員たちは「ここは事務局ではない」と叫び、目指すカクマとロキチョキオ間の高速道路を指さして求めに応じなかったという。

ポスターの中には「教師のキャリアが評価され尊重されることを望む」と書かれているものもあった。


【写真】カクマで給与格差が大きいと抗議する教師たち。撮影:KANERE 2021年9月

デモはUNHCRサブオフィスのすぐ外で行われたが、警察が到着して催涙弾を発射し、群衆を追いかけ始めたため、状況は緊迫した。

デモ参加者は、警察が平和な場を乱し、混沌とした状況になったと主張した。「警察を含む援助機関は、表現や集会の自由に対する難民の権利を尊重することを学ぶべきです」と、匿名希望の難民活動家がKANEREに語った。

目撃者が、現場にいたKANEREチームのメンバーを含む2人のデモ参加者が逮捕されたと証言しているが、彼らは同日中に釈放された。

ストライキにつながった給料の支払い遅れについて、LWFが教員に謝罪メッセージを出したのをKANEREは確認している。

2021年9月13日、教師たちは対話集会をボイコットしたが、ストライキ7日目にUNHCR構内で各機関の責任者と話し合いを持つことに合意した。

1週間の抗議活動の間、キャンプの小学校は閉鎖されたままである。このことは、ほとんどの学校の門が閉じられたままであることからも明らかだが、一部の生徒や教師の報告によると、抗議活動が行われていないのに閉鎖している学校もあるという。

難民の教師たちは、請願書の中で、昇給と、昼食代や定期的手当ての支給といった教師の福利厚生を要求している。この請願書のコピーはKANEREにも配られた。

その請願書には「私たちは何十年も無視されてきた。私たちはLWFに対し、地位や経歴にかかわらず、すべての教師を平等に扱うことを強く求めている」と書かれている。

〈教員の不満を解消〉
KANEREの取材に応じてくれた教師代表によると、機関と教師のミーティングは成功し、教室での活動を再開するための準備が整ったという。

「ストライキ終了後には、給料は毎月きちんと支払われ、昼食が提供されることが再確認されました」と、キャンプ1の教員担当者が発表した。

カクマでは、通常の学校生活は午前6時40分に始まり、午後4時30分に終わるが、教師たちは朝食も昼食も取らずに学校に残ることが求められ、不満の声が上がっていた。

スーダンのカデュグリ出身の教師はKANEREに対し「もし彼ら(LWF)が引き続き地元民やケニア人教師の給料を優遇したいのであれば、シフトの時間配分を適切に行い、難民の教師の仕事量を減らすべきです。ここには大きな格差があるんです」と訴えた。

キャンプ地の学校では、教室、机、椅子、教科書、トイレの不足が最も深刻な問題となっている。

過密状態であるにもかかわらず、LWFもUNHCRも、キャンプ地の学校の入学者数に上限を設けるという明確な方針を持っておらず、教室と子どもの比率は、何年も教室1に対し生徒156人のままである。

教員のストライキをめぐる最も顕著な不満は、インセンティブや賃金の調和がとれていないこと、教員の福利厚生が整っていないこと、ケニアの公務員やダダーブなど他地域の難民キャンプの教員と比較して同一労働、同一賃金ではないことだと、KANEREは気づいた。

UNHCRケニア事務所のユージン・バイアン報道官は、難民教師にも、不満を訴えそれを聞いてもらう権利があると主張している。

バイアン報道官は、「教育はUNHCRの最優先事項であり、キャンプ地の学校で難民とケニア人教師の両方が重要な役割を果たしていると評価しています。私たちは関係者と密接に協力してこの問題に取り組んでいるところです」とKANEREとのミーティングで語った。

さらに「これは支払いの遅れだけではなく、この困難な時期(COVID-19パンデミック)だからこそ引き起こされた問題でもあります。カクマの難民教師代表との意思疎通の機会を増やすこともできました」と付け加えた。

最近では、LWFは長期にわたってカクマのコーディネーターを務めてきたモーゼズ・ムクハナ氏を交代させたが、この動きが教員ストライキと関連しているかどうか報道機関からの問い合わせに応じていないため、明らかではない。

LWFは、1992年にカクマが設立されて以来、資金不足や遠隔地にもかかわらずUNHCRとともに初等教育の重要な実施パートナーとして活動してきた。

教師たちの願いは、次の財政予算で公式に給与が引き上げられると共に、教育分野におけるすべての難民労働者の福祉が改善されることなのだ。


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