神々のいる山を訪ねる

巡礼登山家を目指して修行中、 一人淋しく霊山を訪ね歩いています。

神野山

2007-08-29 16:14:54 | 奈良の山


先日の野々神岳からほど近く、山添村のホームページには「神の宿る山」と記されている。
標高618.8m、ゆるやかなスロープを描いた円錐形の山は名前が示すとおり、神の山で 山頂にある王塚と呼ばれる墳丘や天狗岩など神が宿るとされる幾つかの磐座(イワクラ)が存在し 大切な場所、あるいは恐れ多い場所として人々が容易に踏み込まないように言い伝えられているはず・・・。山頂の王塚は古墳か古代祭祀が行なわれていた跡か、はたまた経塚かと千古の謎を秘めているのだが古墳ならお墓なので、どう考えても踏み入れたらダメだろう・・・と思うのは私だけ?  


王塚: 山頂に古墳があるというのは珍しい事から、古代人が神と交信するために作られた古代祭祀の場であったと考えられる。
 
名前からしても神の山だろうと 気になってはいたが、頂上付近まで自然公園として開発され、林道が開通しているので、あまり食指が動かなかった。 神野寺方面に車で行くと徒歩15分もあれば山頂に達する。山頂の展望台からは四方に展望がひらけて素晴らしい眺めだが  予想通りアンテナ基地が3箇所、 無粋な建造物に腹立たしいが、単独で歩く自分にとって実は心強い味方でもある。 



頂上一帯にはこんな所にと思う程自然林が発達していて タブの木やマテバシィなど亜熱帯系、温帯系、暖帯系に属する珍しい樹木が繁茂し、植物学上でも注目すべき植物の宝庫とされている。


神野寺: 740年、聖武天皇の時代、行基によって建立されたと伝えられている。


天狗岩: 本体の東面に模様らしきものが確認できるが意味は不明
山添村には いわくら文化研究会というユニークな会があり全国に会員を募っている。5月のツツジが綺麗らしい。


野々神岳と雄神神社

2007-08-24 21:19:01 | 奈良の山


三輪山の東の高原地帯 柘植に聳える2つの山、二上山のように雄雅山と雌雅山を併せて称する野々神岳。 標高540Mの雄雅岳山頂には神に仕える黒いオロチが生息されていて、見たものは命を失うと言う言い伝えがあり  
和田萃氏の書かれた「三輪山の古代史」によると地元でもこの雄雅山には登ってはいけないとされ、むやみに登ると厳しい祟りがあると言い伝えられています。



麓に鎮座する雄神神社には 拝殿も本殿もなくお山そのものをご神体とする原始的自然崇拝の信仰形態を残し、三輪山の奥の院とも言われていますが、いくつもの共通点があるように思います。

三輪山と同じように神社から 西北の方角に 白石の国津神社がありますが、そこに至る途中に4ヶ所、たんぼの中に潅木の繁った小さな森(?)   それは「休ん場」(やすんば)と呼ばれる、雄雅神社の神様が、国津神社に行かれる時に、お休みになる場所で絶対に手を触れてはいけない、入ってはいけない神聖な場だと言うことです。



どちらの神社も 地元の方が丁寧に管理されている様子が伺える。 また一帯はただの農村とも田園風景とも異なる、威厳に満ちた感動的な風景を醸し出している。名阪国道 針インター下車 南へ10~15分


高野山と丹生都比売神社

2007-08-15 14:16:19 | 近畿の山
816年、弘法大師空海によって開創された高野山、真言密教の根本道場という性格を維持しながら、庶民の弘法大師信仰を中心として、心の安らぎと人間が目指す未来的思考を誘う 宗教宗派を超えた憧れの霊場。 伊勢神宮と並び称される まぎれもない日本の神仏2大聖地。 

最近は年に5~6回参拝しているので、ちょっとした高野山フリークの感もある。
山上台地は壇上と呼ばれる真言密教の世界感を表した空海の世界と奥の院を中心とした弘法大師の世界に分かれているが もともとの高野山には丹生川水源としての水神信仰があり、壇上の一角には高野山という神領を司る丹生明神と地主神である高野明神も祀られている。

お墓参りと奥の院参拝のあと 高野山霊宝館で開設されている「信仰マンダラの世界高野山、神仏への祈り」展を鑑賞 (9月9日まで) 国宝・重要文化財の絵画や彫刻などそんじょそこらで行なわれている展示とはレベルが違う。必見の価値有りです。 有名な孔雀明王坐像が見当たらなかったので係りの人に尋ねたら 国宝や重文は貸し出す事も義務づけられているらしく、今年中の展示予定はありません・・・とか。  印象に残ったのは 平安時代製作の十一面観音立像です。


朱塗りの太鼓橋・鳥居

帰路、紀伊の国一の宮 丹生都比売神社にお参りした。通称天野神社と呼ばれる この神社は高野山の地主神を祀るとされていて「 丹生明神が空海に土地を譲った 」という高野山縁起の伝説もあり、高野山のみに参詣すると「片参り」になるとされている。 静かで荘厳な神社が鎮座する一帯の かつらぎ町はホタルの里としても知られ、全国一の柿の生産量を誇る。



高野山へ入山する空海を黒、白2匹の犬を連れて道案内したと伝えられる狩場明神が矢の根を研いだとされる石の碑は、移築され、集落の道路脇に再建されている。

京奈和道路が高野口まで開通、交通アクセスは日増しに改善され、奈良市内の自宅からだと 30分以上時間短縮されるようになった。(所要2時間強)  三輪山と高野山にお参りするのは自分の中で癖になっていて、歩き慣れた道を 一人で歩いていると常に新しい発見がある。

今が一番幸せと 感じさせてくれる瞬間