神々のいる山を訪ねる

巡礼登山家を目指して修行中、 一人淋しく霊山を訪ね歩いています。

岩間寺と岩間山

2007-07-27 22:43:55 | 近畿の山
「岩間寺に行ってみなさいよ。私が白山に関心を持ったのもそこなんです」 北国新聞社が発行している  「 霊峰 白山 」の中に 哲学者 梅原猛氏の考察として、日本における神仏習合は白山信仰にその源流を見出す との記述がある。  梅原氏に促されて、岩間山に行ってきました・

岩間寺は滋賀県と京都府の県境に位置する。京滋バイパス瀬田インターからほど近く、奈良から1時間弱。 標高445Mのほぼ 山頂直下までバスも通行可能な舗装道路があり、駐車場で入山志納金として300円徴収している。  歩き出すとすぐ関係者以外通行止めと書かれたNTTドコモ岩間無線中継所の専用道路があり、なにやら悪い予感。



1280年前、白山の開山者 泰澄さんが、岩間山に登り、カツラの木の根元で休んでいると、その木から、千手陀羅尼経が聞こえてきた。 よし!ここを聖地だ と決め、 養老6年(722)第44代女帝元正天皇の勅命で建立したとされている。その 日本最大級のカツラ群生地は沢沿いに降りた場所に今でも存在しているが、特別整備されているようでもない。ご住職さんに聞いてみたら、「 あまりいく人いないですよ・・・。」 (ノд-。)   往時は 熊野、吉野と共に日本三大霊場として隆盛を極めた岩間寺だが 現在は 西国33ヵ所参りの12番札所として、またぼけ封じ観音さまとして賑わっている。 別名雷除け観音様と言う名の通り、一帯は雷の多い地域だが、泰澄さんの法力で雷害を封じ込めている。 ピーカンの今日も 本堂手前でいきなり雷雨、龍神さまが出迎えてくれたんだと思った。 白姫龍神さまは女性が拝むと綺麗になるらしい。
 


梅原氏はこの寺の何処に神仏習合の源流を見出したのか? 

山にしか興味を持たない私は・・・。本堂で岩間山頂上の場所を尋ねた、奥宮神社あたりの展望台だろうと教えて頂いたので、車で奥宮神社方面に向かった。 一車線のかなり勾配のキツイ車道を5分ほどで 着いた奥宮神社は昭和46年建立と、新しい。  標高400メートル越の山頂は笠取山脈に属し、通称塔の峯と言い、ご神域に立てば 遠くに琵琶湖を望み、足元に瀬田の清流と眺望佳境の地・・・・。と書いた碑が立っている。 (本堂から続く散策路もある)



気になったのはドコモアンテナ基地。 ご神域より高いこのざまはなんなんだ!





白山信仰の謎

2007-07-20 22:30:29 | 各地の山
ジュンク堂で衝動買いした、「白の民族学へ」 前田速夫 著 
謎に包まれた白山信仰の実態を追って、日本民族学最大の空白部分を探求した、スリリングな書き下ろし。この本を読んですっかり白山にハマってしまった。 ブログ伊勢―白山 道 によると、白山は太古の昔、宇宙から根源神の息吹が、降り注いだ特別の山らしい。 太古の白山には、日本の霊的中枢を成す 祭場 が存在し、神界の最高神である 天之御中主神 が祭られていましたが、征服民族の事情で、破壊・封印されており、後世に泰澄大師が開山するまでは、禁足の地であった。泰澄大師は初めて白山で修験道の修行を行い、白山の神を祀り、仏教的な意義付けを行いましたが。神界の最高神が、菩薩 の形で現れた理由は、当時の民衆が大変苦しい状況であり、神霊が見るに見かねて流行の仏教形態での示現をされたのでは、と。

御前峰(2702M)を主峰とし、大汝峰、剣ヶ峰からなる日本3名山の一つ。山頂付近にに奥宮が鎮座。越前の行者 泰澄が登拝して開山したとされている。その後、園城寺の僧、宗叡が加賀(石川) 越前(福井) 美濃(岐阜)の3馬場と呼ばれた登山口を開く。 ここを拠点に全国に拡がった白山信仰は熊野に次ぐ勢力を誇るほどに成長した。その後3ヶ所のそれぞれの馬場は権力争いと共に栄枯盛衰を辿る。 戦後、白山頂上付近を含む1700ヘクタールが白山白神社の境内地になっており、昭和42年建築された室堂にある建造物も神社の所有。 


室堂センター全体像

予約をすれば一般登山者も宿泊できる。一日千人は宿泊可能だろう、この場にこれだけの設備を作る力も神から与えられたものだと信じたい。(っていうかどう考えても一般用 )登山者の数は年間2万人と記録されているが 自然保護の為にテント泊は禁止、訪れたのは残雪期だったので、宿泊棟ではなく、なかなか快適な避難小屋に案内された。白山室堂の営業は5月1日~10月15日。宿泊を希望する日の1週間前までに予約が必要で、食事付きの宿泊は7月1日から10月15日まで   白山室堂予約専用電話:0761-93-1001


白山神社と御前峰

白山比(ひめ)神社の横から整備された歩きやすい登山道路を3~40分ほど、白山奥宮が見えると御前峰山頂で 北アルプスや立山、木曽駒ケ岳。眼下には室堂平の多数の建物、別山がことのほか美しい。遠く日本海も見える。


御前峰頂上から眺める 場違いな室堂の建造物

神秘性、深遠な杜、白き峰々の座として仰がれた、霊山の要素を全て含んでいる素晴らしい白山。遠くから仰ぎ見るご神体山をしての白山、そういった素朴な信仰を一変させた仏教伝来「 神が降臨する場所を歩く」 山林修行の概念は禁足の地を修行の場として開拓していった。

白山修験道の実体は不明な事が多く、白山信仰そのものに謎が多いといわれる。「白の民俗学」ではその謎を追求しているが読めば読むほど謎が深まるのは、八幡神社の起源と似ている・・・。東国の被差別の多くが白山神を祀っている理由、ある意味、人が神(天皇家)を作りだすのも身分外の身分(被差別)を作るのも 社会秩序存続のためのスケープ・ゴートの役割を担わされてきたのだと・・・。



鳳来寺山

2007-07-17 13:49:29 | 各地の山
浜名湖の北方、遥かにある鳳来寺山(標高648m) 山頂には真言宗五智派本山が建つ、 興記によれば 655年代、利修仙人がはるか百済から鳳に乗って飛来し、社殿を建立したとある。本地仏は薬師如来で「峰の薬師」と称され、聖徳太子の信仰とも関連、 江戸時代、秋葉山と鳳来寺山を結ぶ街道には宿50件、芝居小屋まであり薬師信仰で栄えていた。 ご多分に漏れず 昭和46年鳳来寺本堂まで鳳来寺山パークウェイが開通、5月から8月上旬までの夜鳴くと言われる仏法僧の鳴き声もあまり聞かれなくなったらしい。 この有料道路は駐車料金として山上で500円徴収していた。 鳳来寺本堂横には徳川家康を祭った東照宮があり、日光東照宮、久能山、とともに三東照宮と呼ばれている。 奥の院へは東海自然歩道となっていて石段を50分。山頂へはさらに10分 と書いていたが駐車場出口、つまり有料道路が6時で閉鎖と書いていたので時間切れで行けなかった。  湯谷温泉 <ゆーゆーありいな> も定休日(火)  近くにフリークライミングのゲレンデ鳳来湖がある。日帰り圏内なので涼しくなったら出直しをする。紅葉の時期が良さそうだ   

印象としては「 神の坐す山 」というより「 験を修める山 」の部類。周辺の村には修験道の名残である田楽芸能が多く伝わっている。 

 それにしても神代の昔から 寺社はあまねく時の権力者の庇護を受けている、何かと言えば戦に勝ったの負けたの・・・。西洋でも同じこと、神が一方の殺戮に力を貸すとは思えない。 

私が求めているのは権力とは無縁の、修験者が入らない、自然発生的に崇められている神々が坐す山なわけだが・・・。

非常に少ない。


秋葉山の神様は何処にいる?

2007-07-09 12:15:03 | 各地の山
上古より神様の静まります御神体山として、崇敬されている秋葉山、初めてご社殿が建ったのは西暦709年。 秋葉山本宮、秋葉神社は火防ぎの神が鎮座する山として知られている、開山は京都の愛宕山と共に泰澄とされているので、白山とは姉妹関係にあった。 その後、平安、戦国期には武将との縁が深く、政治的な動き、商業交易などでも活躍していた歴史がある。 江戸時代の真言系修験を経て 明治の神仏分離時の際、主導権争いから抗争が深刻化して多くの関連施設や仏像、宝物、などが失われたのは残念至極。信仰の形も秋葉講、秋葉詣でなどのように、現世利益的なものに変化しているのは気になるところ。


広々とした駐車場

秋葉山は、南アルプス山脈南端、天竜川沿い海抜866メートル、千古の杉、檜がうっそうと繁り、俗塵を離れた秘境で街道随一の霊山ですが ご多分に漏れず悪名高いスーパー林道が開通して、今では山頂直下まで車で行けるようになっている。  駐車場から眺める施設全体は必要以上の豪華さが感じられ 新興宗教のコンクリート要塞みたいで、あまり風情がない。  



途中の参道

山頂までコンクリート道を10分ほど、頂上にある秋葉神社上社の本殿は歴史的に由緒ある神社で 現在の建物は昭和61年建造、建坪130坪総桧の造りとなっている。ひっそりした境内で売店にいた巫女さんに 山頂はどこですか?っと登山道路のことを訪ねたら 「ココです」 と答えてくれた。本殿は山頂に建っている事になるのか・・・。 なんと言っても秋葉神社が賑わうのは世に名高い秋葉の火祭り で毎年12月15日、16日両日執り行われる。


きらびやかな頂上:幸福の鳥居(皇太子殿下御成婚記念)


 徒歩の場合は気田川河畔にある麓の秋葉神社下社から、山頂の上社まで昔の参道が通じている。

信仰の山 風越山(1530M)

2007-07-04 17:22:12 | 信州の山
風聞を聞き 憧れていた飯田の風越山(1530m)は まるで良書を読んだあとのような、後味の良い 和やかで落ち着いた山だった・・・。 地元民に愛されている、飯田のシンボル的な山、こんな山こそ霊山と称したい! 山頂には朱塗りの風格ある白山神社奥宮本殿(1509年建立)が鎮座。我国の重要文化財でもある立派な建物で近年修復されているが室町時代の建造らしい。  登山道の各所には石仏や歴史に彩られた名残が多く残っており、山全体に明るい霊気が漂っている。   



手前にある虚空蔵山や途中の展望台から眺める南アルプスは池口山~光岳~聖~赤石~荒川三山~塩見~白峰三山~北岳~仙丈~鋸岳と 180度の大展望!百間平まで良く見える。 ベニマンサクの開花する紅葉時期がお奨めらしいですが 積雪期や残雪期も見事な展望を楽しめそうです。



白山神社奥宮本殿
風越山に祀られている白山妙理大権現は福禄寿の三徳神の総称。 
 「神が降臨する場」として遠くから仰ぎ見る対象であった、ご神体山としての白山信仰は仏教伝来の後、超人的な力を身につける目的で越前の僧、泰澄が山岳修行の概念を持ち出して、禁足であった霊山を修行の場として開拓したとされている。  何を見ても白山信仰は謎が多いといわれているが 全国各地、特に東日本の被差別に多く分布する、白山神社の謎を追及した「白の民俗学へ」は信仰の本質に触れた意義深い一冊だ。