神々のいる山を訪ねる

巡礼登山家を目指して修行中、 一人淋しく霊山を訪ね歩いています。

熊野大社の元宮祭 「天狗山登拝」

2007-05-30 14:58:42 | 中国地方の山
出雲には荘厳で由緒豊かな神社の数が多いが、中でも熊野大社はスサノヲノミコトを御祭神とする、出雲国一ノ宮として、古代出雲文化の聖地として存在する。 元宮祭はかつて熊野大社の元宮があった天狗山(昔は熊野山)山頂ちかくにある磐座の前で毎年5月に祭祀が行なわれる。参加は自由でちょうどこの日は天狗山の山開きも兼ねていると聞いて はるばる出かけてきた。


熊野大社

快晴の5月27日、門前に置かれた申込み書に記帳して、朝9時30分から本殿前で本日の予定や注意ののち、 御祓いを受けてご祈祷、榊奉納の代表者は毎年参加されている御年89才の氏子男性だったが、見かけはどうみても60代に見える姿勢の美しい矍鑠とした方。その後各自自家用車を乗り合って天狗山登山口まで行く。  近年この近辺 八雲でも熊の出没があったので 出来るだけ集団で歩くようにとの注意があった。


登山道への入り口

天狗山は神社の南方3キロ、意宇川の源流にある。神社の先を左に入り小さな集落の続く舗装された林道を小川に沿って行き、やがて舗装はなくなり 小さな橋を渡って山あいに進む。どこまで入れるか知らなかったので 随分手前の駐車場にとめたが、林道を20分くらい余分にのんびり歩けて気持ちが良かった。登山口からは沢の音が聞こえる樹林帯の九十九折の急登りが続くが時間にして磐座まで3~40分ほど、磐座前は左手が広々とした斜面になっていて、上方に斎場と書かれた立て札があり、さらに上には磐座と書かれた立て札が立っていて その上部正面には元宮のお社が祀られている。

登山姿の宮司さんが正装にお着替えをされてから、磐座前の大きな石を積んだ祭壇の前で厳粛な祭祀がとりおこなわれた。※式典や磐座の写真は恐れ多くて載せられない※

その後昼食のため頂上に向かうが、ここからは木々に囲まれた歩きやすい道で、10分足らずで頂上に到着、標高610メートル、この辺りでは最も高い山で、見晴らしは熊野大神の国見の山にふさわしく、松江市はもとより、美保関や出雲大社まで一大パノラマが展望できる。信仰の山ではあるが、同時に近年、森林浴を楽しむために登山するものが多いらしい。頂上ではお神酒が振舞われた。


天狗山頂上:参加者の中には子供たちが8名ほど。

私は元の磐座に下りて休憩したが、天気が良く、とりわけ暑い一日だったにも関わらず、斎場のあたりは風の通り道になっているのか さわやかな風が吹き抜けて 涼しさと 神さまの霊気を頂いた心地良さで心底満足させて頂いた一日だった。

帰りも各自だったが、神社では茶菓の接待をして下さった。今回の参加者は50名ほど、例年4~50名だが、10年位前は100名ほどいたらしい。斎場での写真撮影も磐座まで上がって行く人にも 宮司さんは「 どうぞいいですよ・・・。」今日は元宮祭ですから・・・。と 写真撮影どころか入山自体に緊張していた私は すっかり おおらかな熊野の神さまのファンになってしまった。

元来 神さまは男女問わずとてもおおらかで自由な方々らしいです・・・。そういえば行く先々で結婚されて、誕生しているお子様の数は驚くほど多い。


帰路、大山の不思議な雲

鞍馬山は何度でも歩きたい山

2007-05-13 11:19:14 | 近畿の山
鞍馬山(569M) は山岳仏教の聖地であると共に、鞍馬山僧正坊と呼ばれる天狗伝説で有名な山。開山は770年、鑑真の弟子が毘沙門天を祀った事に始まり以後修行の場として栄えた。参道は老杉に覆われ昼間もなお薄暗く 「闇山」 とも呼ばれている。 長らく延暦寺の末寺であったが、昭和二十二年、復興の祖である信楽氏が鞍馬弘教として独立、伝承を「650万年前、人類の進化を司どるべく、遠く金星から魔王サナート・クラマが降臨したのが起源」 と少々荒唐無稽な話を持ってきた。それでも霊山としてなんら価値を下げる理由とはならない。 山の神は人間の考えの及びもつかない所に座しているから・・・・。現在、鞍馬山の信仰は、宇宙の大霊「尊天」を本尊として仰ぎ、一人一人が尊天の世界に近づき、日常生活の中で教えを実践する 「 生活即信仰 」  を掲げている。 様々な年中行事の中でも圧巻は毎年5月・満月の日に執り行われる「満月祭」で 夜 ろうそくを手に多勢の参拝者が黙々と本堂に集まって未明まで祈りをささげる南方仏教の伝承に基づいた神秘的な祭りで「ウエサク祭」とも呼ばれている。 
 


出雲大神宮の帰り、愛宕山登拝を予定していたのになぜか鞍馬山に行く事になった。観光で来たことはあったはずだが、記憶がない。結界の仁王門を過ぎた頃から小雨になったが傘はない! それでも当たり前のように歩き、満開の山桜が咲き乱れる本堂で拝して、奥の院に向かった。 



話には聞いていたが霊気が強い。特に魔王殿の磐座は神々が降臨された場所として崇拝されている。 経塚と白玉龍神大神の塚をお祀りしている鞍馬山山頂方面はロープが張られて立ち入り禁止だが 毎年5月に行なわれる経塚めぐりの日(今年は13日)に限り参拝可能となる。  貴船神社に下りたかったが駅前に車を駐車しているのでピストンした。 雨が激しくなり ずぶぬれになったが、洗い清められたような心地よさ。ケーブルも寺も山も清潔で手入れされていて、人も親切・・・尊天の持つ宇宙エネルギーは一人一人が自分の霊性に目覚め、与えられた生命を輝かせて正しく強く生きていく事で人間のみならず万物の調和を望んでいるのだろう・・・。人にも動植物にも大気にも優しく、何もかも後味の良い一日だった。