神々のいる山を訪ねる

巡礼登山家を目指して修行中、 一人淋しく霊山を訪ね歩いています。

笠山荒神社と鷲ヶ峯山

2009-02-17 20:25:30 | 奈良の山


大和青垣山に連なる倭笠縫邑の伝承地 笠山の鷲ヶ峯(じゅぶさん)山、頂に建つ三宝荒神社。
御祭神は 土祖神一座(はにおやのかみ)
     興津彦の命(おきつひこのみこと)
     興津姫神(おきつひめのかみ)



 
「鷲ヶ峯」笠山は「七岫七谷の祠」と呼ばれ、太古の昔から「かまどの神」のご神体山として何人も立ち入れないご神域「神の郷」仰がれていました。また神代の高天原との伝説もあり、日本書紀による「神浅茅原なり」 また竹林寺縁起文中による「倭笠縫邑」との伝承もあります。 



三輪山の山裾を柘植に向かって進む。巻向山、穴師山、初瀬山・・・。一帯は古代史の宝庫で右も左も気になって仕方がない。 門前に出来た「笠そば処」のお陰で道路標識が増えて迷うことはまずない。

初瀬の川(大和川 )天理の布留川に至る笠山のすそ野、山ノ辺の道に散在する大和の社寺の三宝を守る神、奥の院として栄える。聖徳太子を始めとし、東大寺初代官長、中国の高僧、弘法大師・・・。また役の行者など この山に登りて修験、祈願をかけ、ご霊験を授かること多く、往時は一山寺として栄え名声は広く日本全土津々浦々に響きわたりとある。




竹林寺・(御祭神 板面三宝荒神・薬師如来像)は古代笠寺と呼ばれ七堂伽藍、三重の塔、大門を建立して一山寺を形成していた中の一つで、空海の縁で名づけたとされる。当時は長谷寺の奥の院と云われ 東大寺の根源との説もある。



霊場・閼伽井(あかい)不動明王

806年、空海は高野山建立を志し、笠山に来たが 鷲ヶ峯は入山禁止の山なのでこの池で身を清め21日間の行を修め、下山の後高野の山を開基する。しかし思うにまかせず、再度笠山に登り 閼伽井の池にて水行をなし、此処に不動明王を祀り荒神の分身をさずかり高野山にもどり山寺を開山したと伝えられる。また此の分神を吉野のたてりに奉祀し、たてり荒神と名付けられる。 以後この池は荒神参拝の前に身を清める浄水として用いられる。




門前にある笠そば処は休日ともなると行列の出来る人気スポットとなっている。店も広く綺麗で地元生産のそばで作られた素朴な味はなかなかのもの。地元の野菜販売も行っている。

※山ノ辺の道、三輪神社、石上神社、大和神社など名だたる名所が立ち並ぶ一帯にあって、摩訶不思議な雰囲気をかもし出している気になる荒神さまである。有名な神社仏閣のように大きな組織に属していないので、古文書も少なく、地域の輪番制による伝承で伝えられてきたようだ。唯一社務所で頂いた荒神縁起には推古天皇や聖徳太子の名前が書き記されているが、字の解読は困難を極める。竹林寺伝記で江戸時代に書かれたものらしい。