「日ノ本の大和の国の鎮めとも坐す神かも宝となれる山かも」
万葉集に誇り高く詠われている日本随一の霊峰。穏やかで秀麗な外観と、有史以来18回の噴火という怖ろしい内面から醸し出す荘厳さ・・・。太古の昔から人々の畏敬を集めてきた。ご信仰登山の歴史も古く、役行者が伊豆から雲に乗って飛来した、聖徳太子が登排したという伝説も残っている。 入山して修行する行者が現れたのは平安期で、山岳信仰の開基は1149年、登山道が開かれたのは南北朝の頃、江戸時代になると吉田口を中心に角行が庶民の間に富士講を広めていく。
9月連休の隙間、富士宮登山口から歩いてみた。登山道路は閉鎖と記された看板が立っているが、出入りは問題ない。あくまで自己責任でどうぞ。ということか。 平日なので、出会う人はまばらで単独行、若い男性が多い。 下山中、午後3時頃から登ってくる人もいるが、皇太子殿下が歩いた後はガードレールが出来るとの言葉どおり、山頂まで虎ロープが架かっているので、迷う心配も不安さもないが山小屋が閉鎖されてるので風雨に晒されたらひとたまりもない。 もちっと岩室が欲しいところだがご信仰登山だと思えばまぁいいか。
富士登山は12月の御殿場口、3月の吉田口、10月須走口、今回の富士宮口と4度目になるが、山の中で人と出会ったのは初めてで、7月8月は行列が出来る山です。と言われてもピンとこない。麓から仰いで登ってみたいと思う反面、8合目から上はご神域ですと言われると最近躊躇するようになった。明治5年までは、女人禁制の山。
「おまえ、原宿だろう!」って感じの若者が駆け足で降りていった。絶対に付いていけないわぁ。
帰路富士山本宮浅間大社に寄った。ご祭神は木花之佐久夜毘売命、なんで、浅間大神として富士山の守り神となったか、由来や時期は不明。こんな由緒や肩書きなど無くても存在感は日本、いや世界一かもしれない。 世界遺産という観点から見たら一番に登録されるべきだが、登山道路に林立するトタン抜き出しの山小屋の汚さ、先年までのトイレ垂れ流し、オーバーユースからくる山小屋の意識レベルの低さ、関係自治体を巻き込んだ地元の利権など お金が集まる宝の山ゆえに修行とは無縁の問題も多く、神の坐す山が再び怒り爆発する事もあるように思われてならない。