神々のいる山を訪ねる

巡礼登山家を目指して修行中、 一人淋しく霊山を訪ね歩いています。

富士山

2008-09-24 12:47:18 | 各地の山


「日ノ本の大和の国の鎮めとも坐す神かも宝となれる山かも」 

万葉集に誇り高く詠われている日本随一の霊峰。穏やかで秀麗な外観と、有史以来18回の噴火という怖ろしい内面から醸し出す荘厳さ・・・。太古の昔から人々の畏敬を集めてきた。ご信仰登山の歴史も古く、役行者が伊豆から雲に乗って飛来した、聖徳太子が登排したという伝説も残っている。 入山して修行する行者が現れたのは平安期で、山岳信仰の開基は1149年、登山道が開かれたのは南北朝の頃、江戸時代になると吉田口を中心に角行が庶民の間に富士講を広めていく。 



9月連休の隙間、富士宮登山口から歩いてみた。登山道路は閉鎖と記された看板が立っているが、出入りは問題ない。あくまで自己責任でどうぞ。ということか。 平日なので、出会う人はまばらで単独行、若い男性が多い。 下山中、午後3時頃から登ってくる人もいるが、皇太子殿下が歩いた後はガードレールが出来るとの言葉どおり、山頂まで虎ロープが架かっているので、迷う心配も不安さもないが山小屋が閉鎖されてるので風雨に晒されたらひとたまりもない。 もちっと岩室が欲しいところだがご信仰登山だと思えばまぁいいか。



富士登山は12月の御殿場口、3月の吉田口、10月須走口、今回の富士宮口と4度目になるが、山の中で人と出会ったのは初めてで、7月8月は行列が出来る山です。と言われてもピンとこない。麓から仰いで登ってみたいと思う反面、8合目から上はご神域ですと言われると最近躊躇するようになった。明治5年までは、女人禁制の山。


「おまえ、原宿だろう!」って感じの若者が駆け足で降りていった。絶対に付いていけないわぁ。

帰路富士山本宮浅間大社に寄った。ご祭神は木花之佐久夜毘売命、なんで、浅間大神として富士山の守り神となったか、由来や時期は不明。こんな由緒や肩書きなど無くても存在感は日本、いや世界一かもしれない。 世界遺産という観点から見たら一番に登録されるべきだが、登山道路に林立するトタン抜き出しの山小屋の汚さ、先年までのトイレ垂れ流し、オーバーユースからくる山小屋の意識レベルの低さ、関係自治体を巻き込んだ地元の利権など お金が集まる宝の山ゆえに修行とは無縁の問題も多く、神の坐す山が再び怒り爆発する事もあるように思われてならない。



若草山

2008-09-03 10:48:23 | 奈良の山


古都・奈良のシンボル若草山は標高342M, 全山芝に覆われ、丸い山が三重に連なっている事から三笠山とも呼ばれる。っというか、昭和10年三笠宮家創立までは三笠山と呼ばれていたのですが、宮さんの名前のついた山を踏みつけたら罰があたるって事で強引に改名。確かに万葉集に若草山という呼称は一種もない。

もう一つ三笠山をヤヤコシイ存在にしているのは春日山の西にある「御蓋山」みかさやま。 古来より笠山と呼ばれたこの山は、767年当時の最高権力者藤原の氏神である春日神社創建の折、タケミカズチノミコトが鹿島からこの山の頂に天降りったとされ、以来御神体山として仰がれ禁足の地となっている。 平安朝以降は 明らかに藤原氏の氏神信仰が中心となった春日大社ですが、 社殿が建立されるずっと前から、地主神が祀られており、神なる山として崇められており、 円錐形の美しい傘の姿をした山、御蓋山は万葉集に数多く登場しています。



 若草山の成り立ちは古い火山で、「三笠山安山岩」という火山岩で出来ているという。 山頂に鎮座するのは、なんと古墳です。 「鶯塚古墳」(うぐいすずか)は日本で最も高い所に築かれた全長103Mの前方後円墳。推定4世紀~5世紀頃のもので、墳丘は2段に築成され家形や舟形、円筒の埴輪で飾られていたと言われます。

「枕草子」「陵」に登場する「うぐいすの陵(みささぎ)」との説があり、古墳の名前もこれに由来するとの事。仁徳天皇の皇后、磐之媛命の陵と言われていますが確証はありません。  

枕草子 「 陵は、 うぐひすの陵。  柏木の陵。  あめの陵。」



頂上からは 二上山、葛城山、金剛山の山々・・・。矢田丘陵、生駒山系の他 北に山城の山々、聖武天皇が都を築いた恭仁京の跡も遠望できます。 山頂から眺めると、奈良時代の都・平城京と、恭仁京が木津川の流れに沿っていてとても近いことがわかります。 眼下には、春日大社・東大寺・平城京跡・・・。振り向けば春日山原始林や、春日大社の神奈備山・御蓋山も見渡せ 文字どおり奈良盆地が一望できます。



★おまけ_
もう一つ、京都から奈良までを見渡せる若草山山頂は、視界を遮るものがなく、余計な外灯もなく、夜景を思う存分楽しめるって事で、新日本三大夜景のひとつに選ばれています。
山頂から生駒山方面を望む

新日本三大夜景(ホントです)
・皿倉山(福岡県北九州市)
・若草山(奈良県奈良市)
・笛吹川フルーツ公園(山梨県山梨市)

今なお春日さんは藤原一族の末裔が守り抜いているらしい。アンチ藤原の自分としては、ご信仰の対象にはならないかと言うと そうでもない。

現在、春日大社の本殿廻廊の西南隅に祀られている 榎本神社の祭神がこの土地の元々の神と考えられており、春日大社の参詣者は、まず榎本神社に参拝し、榎本神社の祠の周りを廻った後に本殿に参るという慣習があった。決して藤原さんだけの神ではない

ちなみに興福寺は藤原氏の氏寺