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村上春樹『職業としての小説家』2015・スイッチパブリッシング-小説家としての覚悟を語る+追記です

2024年04月02日 | 村上春樹を読む

 2015年のブログです

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 村上さんの『職業としての小説家』(2015・スイッチパブリッシング)を読みました(なぜかマックス・ウェーバーさんの『職業としての学問』を思い出したのですが,あまり関係はないのかな?)。

 とても刺激的な本です。

 小説家としての村上さんの覚悟が述べられていると思います。

 もちろん,村上さんのことですから,押しつけはしていませんが…。

 正直に,ご自分の立場,考え,小説の書き方,体の鍛え方(長編小説を書くには体力も大切らしいです)などが述べられています。

 意外だったのは(意外でもないか?),小説を書き上げると最初に奥さんに読んでもらうということ。

 よくエッセイなどで,奥さんが怒ってる時には小さくなってやりすごすしかない,などと書いているので心配をしていましたが,なんだ!仲よし夫婦なんですね。よかった,よかった。

 よき伴侶を得ることがよい小説を書く条件の一つであることがわかりました。

 冗談はさておき,もう一つ印象に残ったのが,何かをするときに,「楽しいかどうか」が大切であるということ,これも重要な指摘だと思いました。

 精神分析家のウィニコットさんは,遊びの中にこそ創造はある,遊びの中にしか創造はない,というようなことを述べていますが,共通するところではないでしょうか。

 さらに深く読み込んでいきたい一冊だなと思いました。   (2015 記)

     *

 2019年春の追記です

 4年ぶりに再読をしました。

 やはりとってもいい本です。

 村上さんが小説や人生や社会について、かなり真面目に、真剣に語っている本だと思います。

 今回も印象に残ったのは、生きることや仕事をすることが「楽しいかどうか」ということ。

 どうせいろいろとある人生だから、できるだけ楽しんで生きようよ、とおっしゃっているかのように聞こえます。

 一つ発見をしたのは、村上さんが河合隼雄さんと対談をするきっかけが、村上さんの奥さんが河合さんのファンだったということ。

 奥さんの導きで村上さんは河合さんと深いお付き合いをされたわけですから、村上さんの奥さんは偉大ですね(やはり女性のほうが偉いのかもしれません(?))。

 と、冗談はさておき(半分本気ですが…)、他にも村上文学に関する興味あるお話がいっぱい書かれています。

 次は4年といわず、もう少し早めにまた味わいたいなと思いました。   (2019.4 記)

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 2024年3月の追記です

 5年ぶりに再読をしました。

 今回、印象に残ったのは、村上さんも、結論を急ぎすぎないほうがいい、と述べている点。

 あまりにも早急に「白か黒か」という判断を求めすぎている、と書いています。

 そして、誰もがコメンテーターや評論家みたいになってしまったら、世の中はぎすぎすした、ゆとりのないもの、あるいは、とても危ういものになってしまう、と述べています。

 これは、わからないことに耐えることの大切さ、と同意でしょう。

 さすがは、村上さん、です。   (2024.3 記)

 

 


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