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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談、研究しています

伊藤良子『心理療法論』2011・京都大学学術出版会-こころに大切なことを学ぶ

2024年05月03日 | ユング心理学に学ぶ

 2018年7月のブログです

     *   

 先日、心理療法家、遊戯療法家の伊藤良子さんの『心理治療と転移』を読んでおもしろかったので、今度は同じく伊藤さんの『心理療法論』(2011・京都大学学術出版会)を再読してみました。

 これもかなり久しぶりで、なんとなく心理療法論という題名や京都大学学術出版会という名前にちょっと怖じ気づいてしまい、遠のけていました(伊藤さん、京大関係者のみなさん、ごめんなさい)。

 読んでみると、内容は案の定、ほとんど忘れていたのですが、しかし、ところどころに付箋やアンダーラインがあり、昔は真面目に勉強していたんだな、と感心をしました(?)。

 今回、印象に残ったことを一つ、二つ…。

 一つめは、来談者こそクライエント、という視点。

 われわれは、ともすると、症状を出している人が問題、と考えがちですが、こと、心理療法においては、来談者に耳を傾けることしかできないわけであり、来談者こそがクライエントであるということを再認識することが大切なように思われました。

 二つめは、料金と転移の問題。

 事例を通じて、転移を適切に扱うためにも、料金のやりとりで現実感覚を維持することが大切なんだな、と改めて考えさせられます。

 三つめは、事後性の問題。

 精神分析の人がよくいう、過去の記憶は今の感情によって変化する、ということがらですが、やはり伊藤さんも同じ指摘をしており、心理療法において大切なことなんだなと思われました。

 四つめは、ラカンの鏡像段階。

 『心理治療と転移』の中でも詳しく述べられていましたが、本書では、母親のまなざしが鏡の役割をするという指摘があり、そういう視点も大切だと思われました。

 最後が、普遍性は個の固有性の極まれるところにある、というご主張。

 エヴィデンスが声高に叫ばれる時代に、深い事例研究の大切さを述べられており、伊藤さんの潔さが感じられました。

 さらに謙虚に勉強をしていこうと思いました。           (2018.7 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  


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