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樋口有介『遠い国からきた少年』2018・中公文庫-美人シングルマザーが社会の悪を暴く痛快小説です

2024年05月31日 | 小説を読む

 2018年のブログです

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 樋口有介さんの『遠い国からきた少年』(2018・中公文庫)を読みました。

 またまた樋口有介さんの小説、このところ小説ばかり読んでいて、専門書はほとんどほったらかしで、反省の日々です。

 今回の小説は、弁護士事務所の美人シングルマザー調査員(本の帯には、美脚調査員とあります)が活躍をする推理小説。

 この美人シングルマザー調査員は、少女時代にある事件から女子少年院に入り、そこで産んだ息子を女手一つで育てているという設定。

 息子を食べさせるためなら汚い手も使いますが、生きていく哀しさを十分に知っているゆえに、辛い人生を生きている人の哀しみもわかる人物です。

 美人なのに、とにかく痛快、料理は息子のほうがうまいのですが、何かとお母さんぶって笑えます。

 ユーモアと哀しさで、世の中の悪に怒りまくります。

 怒りの対象はさまざまですが、たとえば、少女アイドルグループで金儲けをしているおとな、容赦がないです。

 さらには、アフリカの子どもたちを救う寄付金で儲けているおとな、こちらも容赦ないです。

 北朝鮮の脱北者の問題も絡んで、事件は複雑、かつ、哀しく、しかし、主人公は粘り強く、絡まった糸を解いていきます。

 おもしろいです。そして、痛快です。

 小説だなー、とは思いますが、読後感は悪くありません。

 ちなみに、文庫本の解説は奧田瑛二さん。

 型破りですが、楽しい文章を読ませてくれました。     (2018 記)

 


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