ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

山秋真『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』2007・桂書房

2024年04月06日 | 随筆を読む

 2024年春のブログです

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 山秋真さんの『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』(2007・桂書房)を読む。

 今年3月、TBS「報道特集」の能登半島地震の特集番組を見ていたら、久しぶりに金平茂紀さんが出ていて、地元の人から珠洲岸発の話を取材していた。

 珠洲原発?

 じーじはうかつにも全く知らなかった。

 調べてみると、1980年代に能登半島の珠洲に北陸電力・関西電力・中部電力が原発を作る計画を発表、反対派と賛成派が激しく争ったが、2003年に電力3社が撤退を表明したという。

 この間、新潟の巻原発計画では、住民投票の末に反対派が勝利し、東北電力は撤退をしている(じーじも組合の役員をしている時だったので、こっそりと原発反対のビラ配りにいったりした)。

 珠洲原発計画では、賛成派の選挙違反や土地の不正売買などがあり、地元の人たちは大変だったようで、それらの様子を山秋さんはていねいに取材されている。

 結局、電力3社が途中で撤退して、原発は中止となったが、この間の争いで、賛成派も反対派も双方が傷ついたさまが痛ましい。

 そして、今年1月の能登半島地震。

 震源地は珠洲市で、もし、原発ができていたらと思うと、想像するのも怖い。

 やはり、地震が多発する日本には原発は無理なのではないか。

 山秋さんは、この珠洲原発闘争のあと、山口県上関町の祝島でも原発計画反対の取材をし、それを『原発をつくらせない人びと-祝島から未来へ』(2012・岩波新書)にまとめている(じーじの拙い感想文があるので、よかったら読んでみてください)。

 力のある、現場中心のルポライターさんで、今後も楽しみな人である。    (2024.4 記)

 

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成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

2024年04月06日 | 精神療法に学ぶ

 2019年春のブログです 

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 成田善弘さんの『精神療法家のひとりごと』(2019・金剛出版)を読みました。

 新刊です。すごいですね(!)。

 しかも、じーじのひとりごととは違って、中身が充実しています。

 本書は雑誌「精神療法」に連載されたエッセイなどをまとめたもので、精神療法についてのお話が読みやすい形で書かれています。

 読みやすいのですが、内容はかなり深いので、読んだ後にも余韻が残って、いろんなことを考えさせられます。

 印象に残ったことを一つ、二つ。

 まずは、患者さんの問題行動を病理の現われとして見るのではなく、患者さんなりの現実への対処と見るという視点。

 患者さんの努力はぎこちなく、不適切で、逆効果になりやすいですが、彼らなりの努力であると見ることで、問題行動を捉える見方が違ってくると述べます。

 鋭いですし、一方で、温かい理解だと思います。

 次に、先日の神田橋さんの本にも出てきましたが、患者さんの近未来の動きを予想することの大切さ。

 そのことで治療者の仮説が検証でき、また、一方で、予想が当たらない時には患者さんなりの努力が見えると述べられます。

 当たらないことで、今まで治療者に見えていなかった患者さんの一面が見えて、理解が深まるようです。

 さらに、治療者の質問は、なぜなんだろう、とひとりごとのように言うのがいいということ。

 自然に生じてきたような質問がいいと思う、と述べられていて、参考になります。

 そして、患者さんがそれまで考えてこなかったようなこと、思ってもみなかったようなことに出合うこと、患者さんにとって新しい発見になるような面接が望ましいと述べられています。

 やさしい言葉で、深いことが述べられていて、すぐにでも実践にいかしていきたいと思うことがらが多くありました。

 さらに勉強と努力を積み重ねていこうと思いました。      (2019.4 記)

 

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