ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

2024年04月05日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

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 広瀬徹也さん編集の『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』(2004・星和書店)を再読しました。

 この本は広瀬さんが帝京大学精神科の教授をされていた時に、下坂幸三さんから若手精神科医がグループスーパーヴィジョンを受けた時の記録で、下坂さんの前には土居健郎さんが同じようにスーパーヴィジョンをされていたようで、夢のように贅沢な研究会の記録です。 

 実際、今回、再読をしてみて、改めて勉強になるところが多々あり、いい本だな、と今さらながら感心をしました。

 2004年の本で、じーじが購入したのはいつだったかはっきりしませんが、それにしてもずいぶんのご無沙汰で、もったいないことをしてしまいました。

 しかも、前回は、アンダーラインがあまり引かれておらず、当時のじーじは何をしていたのでしょうか、やや不明です。

 今回は、アンダーラインも付箋もすぐにいっぱいになりました、エッヘン!(もっとも、どれだけ内容を正確に理解できたかどうかはなぞですが…)。

 今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、患者さんにマイナス感情を抱いた時には、少し冷静に学問的に両者の関係を捉えるようにすると、マイナス感情が薄まることがあるということ。頷けます。

 二つめは、最近、よく出てきますが、治療者が早わかりをしないで、患者さんの言葉を、一つ一つ細かく聞いていくことの大切さ。耳が痛いです。

 特に、世間的にも常識になっているような言葉、たとえば、共感とか、過保護とか、過干渉とか、そういうなんとなくわかる言葉を勝手に早合点することなく、患者さんにとってのその言葉の意味するところを再確認していくことが大切になるようです。

 三つめは、問題行動の中にポジティヴな要素を見出すこと。

 しばしば患者さんの回復の兆しが問題行動の中に潜んでいることをスーパーヴィジョンの中で下坂さんは指摘されます。

 すごいな、と思いますし、本当に患者さんのことを考えているんだな、ということがわかります。

 ひとつだけびっくりしたのは、下坂さんでも仕事が大変で抗うつ剤を飲んだ時期があったということ。

 そういうことを正直に話される下坂さんは信用できます。

 まだまだ他にも有益な箇所がたくさん出てきます。

 こんどは早めにまた、再読をしたいと思います。     (2019.4 記)

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 2022年9月の追記です

 患者さんにマイナス感情を抱いた時の対応が参考になります。

 じーじは未熟者ですので、そういうことはよくありますが(?)、下坂さんが、学問的に、とおっしゃっていますが、少し距離を取って、第三者的な目で見ると、やや冷静になれることもあるようです。

 むずかしい実践ですが、頑張りたいと思います。      (2022.9 記)

 

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椎名誠『三匹のかいじゅう』2013・集英社-三匹の孫かいじゅうとシーナじいじいの物語です

2024年04月05日 | 小説を読む

 2019年のブログです

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 椎名誠さんの『三匹のかいじゅう』(2013・集英社)を再読しました。

 シーナじいじいの孫物語シリーズの第三作。

 シーナさんの息子さんの岳くん家族が、第三子を日本で出産するためにアメリカから来日、その前後のシーナさんのじいじいぶりが描かれます。

 おもしろいです。とてもおもしろいです。

 じーじにも心当たりがあるようなできごともあって、思わず笑ってしまいます。

 頻繁に笑ってしまい、この本も電車の中で読むのは危ない本だと思いました。

 第三子は無事に生まれ、琉太くんと名づけられます。

 そして、風太くん、海ちゃん、琉太くんの三匹のかいじゅう相手にシーナじいじいの奮闘が始まります。

 しかし、2011年3月11日の東日本大震災があり、その後、原発事故が起こります。

 シーナじいじいは孫たちへの放射能汚染を心配してみんなで沖縄に一時避難、その後、岳くん家族のアメリカへの帰国も考えながらの日々となります。

 楽しいながらも、癌発問題や日本の歪んだ社会事情を背景にして、シーナじいじいは時に怒りながら、孫たちにはとても優しく、楽しく孫育てを行ない、その光景は読んでいてもうれしいものです。

 シーナじいじいの怒りが正当だけに、孫たちへの愛情は際立ち、じーじも正義感の強いじーじになりたいなと思わせられます。

 決して甘いだけではない、いい小説です。

 最後、一番上の風太くんがシーナさんの書いた孫物語第一作『大きな約束』を読むようになるところで物語は終わます。

 続きが楽しみな、上質の小説だと思いました。     (2019.4 記)

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 2021年秋の追記です

 2年ぶりに再読をしました。じーじにしてはかなり早い再読です。

 いい小説ですね。さすがのじーじでもあらすじは覚えていましたが、シーナさんの文章がいいです。

 読んでいて、とても幸せな気分になれる小説です。おいしいビールが呑めそうです。     (2021.9 記)

 

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