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ダリ展

2016-09-20 20:08:11 | 美術[た]
「ダリ展」@国立新美術館

 上野の森美術館で生誕100年記念ダリ回顧展が開催されてからもう10年経ってしまった。時の流れが早すぎて秒針が見えない。その10年間に諸橋近代美術館に行ったり、フィゲラスに行ったり、高崎市美術館の「ダリ展」に行ったり、だまし絵展やらシュルレアリスム展などいろいろな展覧会にもダリは登場している。「私はダリでしょう?」なんていうダサいCMをテレビでやっていたのが10年も前だなんて思えない。

 展覧会は7月1日から9月4日まで京都市美術館で開催されていて、9月14日から12月12日まで国立新美術館で開催される。今回は「初期作品」、「モダニズムの探求」、「シュルレアリスム時代」、「ミューズとしてのガラ」、「アメリカへの亡命」、「ダリ的世界の拡張」、「原子力時代の芸術」、「ポルト・リガトへの帰還、もしくは晩年の作品」というチャプターに分けられている。まぁほぼ年代順なので見やすいといえば見やすい。

 主要な作品は、フィゲラスの「ガラ=サルバドール・ダリ財団」、マドリードの「国立ソフィア王妃芸術センター」、フロリダの「サルバドール・ダリ美術館」から来ている。その他にも長崎県美術館、福岡市美術館、横浜美術館、豊田市美術館、三重県立美術館、ポーラ美術館、諸橋近代美術館など、国内から選りすぐりの名品が出品されている。

 諸橋近代美術館の『テトゥアンの大合戦』は巨大な大作、福岡市美術館の『ポルト・リガトの聖母』も割とデカい名作。長崎県美術館の『海の皮膚を引き上げるヘラクレスがクピドをめざめさせようとするヴィーナスにもう少し待って欲しいと頼む』はサイズは大きくはないが印象は大きい。『自分が女の子だと思っていた6歳の頃、水の陰で眠っている犬を見ようとして海の皮をきわめて慎重に持ち上げる私』も同じようなイメージの絵だが、海面がペラペラの布地のようにめくられている情景は、高校生だった頃の私に鮮烈な印象を植えつけた。それから今日までずっと頭の調子がおかしい。ときたま脳みそがめくられるらしい。


 会場の終盤には、ダリ劇場美術館にある『メイ・ウエストの部屋』が再現されていて、そこで写真を撮ることができる。劇場美術館では階段を上って上の方から撮影できるのだが、今回は平面なので天井も映ってしまう。でも後ろを向けば斜めにミラーが貼られていて自撮りも可能という画期的な21世紀の新システムになっている。


 今回の図録はペラペラした紙カバーなどくっついてないヤツで、厚さ3mmのスーパーハードな表紙に包まれた重厚感たっぷりなヤツで、近年珍しく存在感のあるヤツだ。なんかうれしい。表紙にはグリーン感たっぷりな『謎めいた要素のある風景』が印刷されていて怪しげな風景の中にチビダリとフェルメールがいる。裏表紙にはダリの大首写真が印刷されていて、目に刺さりそうな胡散臭いヒゲと何を企んでいるのかわからないギョロ目のダリがこっちを見ている。



『ポルト・リガトの聖母』


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