ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

北斎漫画 全3巻BOX

2024-02-13 19:23:31 | 美術[は]
北斎漫画 全3巻BOX(青幻舎)

 なにかにつけて登場するひょうきんな北斎漫画の文庫版3冊セットを魔が差して買ってしまった。散り散りに見たことはあるが、これだけたくさん見るのは初めて。まとめてDoooooNと見たい人にお薦め。文庫だから場所取らないし、絵も小さいけれど、見づらければ虫眼鏡を用意すれば大丈夫。

 1.江戸百態、2.森羅万象、3.奇想天外、と3冊に分けたサブタイトルに相応しい漫画をまとめて掲載している。人間が出てくる漫画はヘンテコな面白さが強調されている。動物が出てくる漫画はヘンテコには違いないが、何やら得体のしれない生き物も出て来てコワイ。ワニザメとか人魚とかコワイぞ~。ぞ~と言えば、ゾウもいて、まとわりついている人間と比べるとゴジラ級に巨大だぞ~!そんな怪獣たちに比べたら妖怪たちのほうがコワくない。

 この「漫画」の意味は「漫然と描く」という意味らしい。「腰を据えて一所懸命に描く」のではなく「ちょこっと気ままに描く」という雰囲気にぴったりの漫画集。誰でも授業中に教科書の端っこにしょーもない落書きをしたことがあるはず。パラパラ漫画とかね。偉人の肖像画にメガネ描いたりね。凡人ではせいぜいその程度だが、軽い気持ちで描いた絵でも葛飾北斎の手にかかれば900ページ以上の本になるんだから。



カバーを外したところ
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ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年

2019-12-27 11:07:08 | 美術[は]
「ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年」@国立新美術館

 ハンガリーとの外交関係開設150周年ということで、ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーのコレクション130点を展示している。これらが来日するのは25年ぶりだとか。

 見に行こうと思ったきっかけは、緑色の草原に紫色のドレスが映える、シニェイ・メルシェ・パール作《紫のドレスの婦人》を見たかったから。この絵を見るのは2度目で、最初は25年前だったかどうだか覚えてないが、手元にある絵葉書によれば「ハンガリー国立美術館展」の時である。この時のキャプションでは、パール・シニェイ=メルシェ作《紫衣の女》と記載されていた。作家名も作品名も微妙に変わっちゃうジャァパニーーーィズ! 

 緑色の葉、黄色の花、白い雲、青い空、紫色のドレス、どう見ても美人としか言えない女性がバランスよく描かれている。結婚したばかりの妻がモデルらしい。そりゃ美人に描くわなぁ。描いている時は楽しかっただろうなっていうのは景観の清々しさからも想像できる。シニェイ・メルシェ・パールの作品はこの他に《気球》と《ヒバリ》の計3点が来ている。

 画像は無いけれどこの《ヒバリ》は、これまた清々しく花咲く緑の草原に横たわり背中を見せる裸婦が描かれている。どうせこれも結婚したばかりの妻がモデルなのだろう。妻は頬杖をついて空を見上げている。うろこ雲がポッポっと浮かぶ青空には小さく小さくハエが、いや、ヒバリらしきモノが飛んでいるようだ。ヒバリは小さすぎてハエかと思っちゃう。ホントは裸の妻を描きたかっただけなのに、申し訳程度にヒバリを描き加えて「主題はヒバリです!」と言い張った作家の心中お察しします。バレバレですけど。

 景観の清々しさを感じた作品はもうひとつ、アデルスティーン・ノーマン作《ノルウェーのフィヨルド》がある。岸辺から描いたのか船上から描いたのかわからないけれど、青い空と巨大な固まり感のある山、煙を吐く船、赤い屋根の家、それらの全てを映し取って反射させている静かな水面が、手加減なく丁寧に描かれている。とてもカラフルで、その場に居たい気分にさせてくれる。



 画像は無いけれど、アルノルト・ベックリン作《村の鍛冶屋を訪れるケンタウロス》という作品があった。上半身が人間で下半身が馬であるケンタウロス。神話の中に出て来る妙なヤツというイメージのケンタ君が、村の粗末な鍛冶屋に寄って片足を上げて店主と話している。

「あのな、おらの蹄鉄があんだか具合よくねだがよ、ちょっくら見てくりょや」と言っている。

 かどうか知らないけれど、そんな場面が描かれている。

「見てやんのはええけんどもよ、おみゃぁぜぜこ持ってんのきゃ?」と店主もいぶかし気な顔をしている。

 かどうか知らないけれど、そんな場面が描かれている。

 神話の中の登場人物あるいは登場馬物が田舎の日常の中に出現している違和感がちょっとツボだった。日本で例えるなら、「びしょびしょのからかさ妖怪が電車の戸口の手すりに置き忘れられている図」とか「お地蔵さんが増毛1000本お試しキャンペーンで施術されている図」とか「千手観音が洋品店で毛糸の手袋を買い占めようとして店主ともめている図」とか、そんな感じ。
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奇跡の芸術都市 バルセロナ展

2019-12-01 22:27:54 | 美術[は]
「奇跡の芸術都市 バルセロナ展」@静岡市美術館

 スペインのバルセロナに焦点を当てた展覧会。バルセロナと言えばサグラダ・ファミリア、街のあちこちで目につく奇妙な佇まいの建造物。そういうものを設計したガウディをはじめ、バルセロナで活躍したピカソ、ミロ、ダリその他さまざまなアーティストの作品約130点が並んでいる。絵画だけでなく彫刻、装飾品、建築、家具など多岐に渡り、巨大なカタルーニャ美術館からも50点ほど来ている。

 城壁に囲まれていたバルセロナが都市計画によってどのように近代都市へと変貌を遂げたのかを、その時代の芸術を見ながら辿る展覧会。私は6年前にバルセロナ観光に行った。区画整理で碁盤の目のように整理されたモダンな市街地も魅力的だが、旧市街であるゴシック地区のいかにも古風な街並みは異国情緒に満ち溢れている。

 この展覧会は長崎 → 姫路 → 札幌 → 静岡と巡回し、2020年2月から東京ステーションギャラリーでの開催となる。

◇ジュアン・プラネッリャ 《職工の娘》
タイトルからすればパパのお仕事のお手伝いをしている女の子、だと思いたいが、産業革命の頃は6歳くらいで働きに出される子供も多かったらしい。そうなるとこれは単なる微笑ましい絵とは言えないのかも。全体的に細密だが、手前の織機の丸いハンドル的な部品の鈍い輝きが機械萌えする。




◇ラモン・カザス 《サンタ・マリア・ダル・マール教会を出発する聖体祭の行列》
2階から撮った写真みたいな雰囲気に仕上がっている油彩画。幅は2mくらいある。緻密に見えるが近づくとガチガチのハイパーリアリズムではなく適当に流して描いたりしている。右下らへんでこっち見てる女性の顔なんか心霊写真みたい。左下らへんの3つの白い筆痕を見て、何かの都合で塗りつぶしたのかとマジで思っちゃったが、騎兵隊の頭のふさふさ飾りだった。



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ヒグチユウコ展 CIRCUS

2019-11-17 22:31:11 | 美術[は]
「ヒグチユウコ展 CIRCUS」@佐野美術館

 世田谷文学館でやっていたヒグチユウコ展には行きそびれたので、静岡県三島市の佐野美術館に行ってきた。世田谷文学館はグッズも買えないほど大盛況だったらしいが、三島くらいならにぎやかなれども大混雑ってことにはならない。グッズもちゃんと買えるよ。

 キモカワイイ風情のキャラクターがうじゃうじゃ出て来る不思議な世界感。青山で見た「BABEL展」に出て来るキャラくらいしか知らなかったので、ギュスターヴくんやひとつめちゃんは知っていたけれど、アノマロは知らなかった。若冲の鶏とギュスターヴくんコラボ作品や、絵の具の箱をアレンジした作品などが好き。会場の一部だけ撮影OKになっている。

 この展覧会は東京(世田谷文学館) → 兵庫 → 広島と巡回してきて、今ここ。今後は高知 → 愛知 → 福岡と巡回予定。





 ガチャガチャがあった。1回500円の高いガチャを1回だけやったら「こはる」が出た。高いから1回で我慢しなければならない人生だ。こはるの頭に謎の短い突起がある。こはるが何か握っている。目が付いているのでどうやら小魚っぽい。煮干かシシャモかチンアナゴかなんかそんなものだ。




「こはる」ガチャに付いていた紙




せっかくなので「こはる」を若冲の鳥獣立版古に紛れさせてみた




せっかくなので「こはる」を招き猫に紛れ猫してみた



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パブリックアートツアー

2019-11-10 19:09:03 | 美術[は]

 アートテラーとに~さん主催の「このパブリックアートがすごい!2019」に参加した。天気の良い土曜の午後、赤坂・東京・大手町・霞ケ関・内幸町・新橋のあたりを散歩しながら時々メトロに乗ってパブリックアートを見て回るツアー。アートだらけの丸の内ストリートギャラリーを散歩中、行幸通りに差し掛かると、天皇陛下の即位を祝う祭典のために、皇居に行き交う人たちや警察関係の人たちでごった返していた。晴れているのに陽の当たらないビルの谷間を歩きながら「これなら夏でも札幌より涼しいかも」なんて余計なことを考える。

 それはさておき、パブリックアート。見たことのある物件もあるが、説明されないと気がつかないような隠れ家的な物件もあちこちにある。一度でも通ったら気づかない訳がないアレクサンダー・リーバーマンの巨大鉄骨物件、知らないと単なるため池かと思ってしまいそうなレアンドロ・エルリッヒのステンレスの池、いや、そこに池のようなものがあることさえ気づかないかもしれないくらいひっそりとある。

 千住博、フンデルトヴァッサー、トーマス・シャノン、椿昇、鈴木康広、三沢厚彦、草間彌生、加藤泉、桑田卓郎、木戸修、金氏徹平、土屋公雄、國府理、長谷京治、淀井敏夫、杉本博司、アレクサンダー・リーバーマン、横山大観、平田五郎、レアンドロ・エルリッヒ、山本一弥 etc









 本物の「アンティノウス像」の存在感の微妙さがまた面白い。恵比寿の山種美術館に行く途中に巨大なダビデ像がある。それは本物ではないが道路に面しているので歩いていると割と目につきやすく、初めて見ると「わぉっ!」っと言ってもいい物件だ。それに比べてこの本物の「アンティノウス像」はそれほど巨大なわけでもなく、柱の陰に隠れているので目につきにくく、数回通るだけでは気づかない人もいるかもしれない。もし気づいても「あら何かあるのねぇ」で終わるかもしれない。それが実はローマ時代に作られた本物なのですと言われても「ふ~~~~~ん」って言われそうな雰囲気なのだ。そのビルに勤めている人々はどう思っているのかちょっと気になる。
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不思議の国のアリス展

2019-10-06 20:56:59 | 美術[は]
「不思議の国のアリス展」@そごう美術館

 子供のころから知っていて、そのSFチックな不思議空間に妙にワクワクさせられる冒険物語。トランプの兵隊やら遅れちゃうウサギやら卵野郎ハンプティ・ダンプティやら猫バスみたいなチェシャー・キャットやら、変なもんが続々出て来る。ルイス・キャロルはチェシャー州の生まれだそうで、だからチェシャー・キャットだったのか。多くの画家がこの物語の絵を描いているが、やっぱりオリジナルのジョン・テニエルの挿絵が頭にこびりついている。ダリの版画も13枚展示されている。

 「ミミクリーの小部屋」というanno labのデジタルなインスタレーション、真ん中に立って手などを動かすと、飾ってあるたくさんの絵が同じ動作をする。近づくと元に戻って単なる絵に見えちゃう不思議っぽさが面白い。

 私はやらなかったが、会場でリアル脱出ゲーム「不思議の国からの脱出」というのを開催中で、謎解きしている人たちが多めにいた。そのため展示室内は割と賑やかだった。会場の一部は撮影OKになっている。







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金魚絵師 深堀隆介展

2019-07-28 20:53:41 | 美術[は]
 
 真鍮屋というのは江戸時代に実際にあった金魚屋の名称らしい。透明樹脂にアクリル絵の具で立体的に金魚を描くアーティスト深堀隆介の展覧会。深堀さんの作品を初めて見たのはボートレース江戸川アートミュージアムだった。小さな酒の升の中を泳ぐ綺麗な金魚は、その意外性も含めてすこぶる新鮮だった。本物の金魚のはく製を固めてあると言っても信じてもらえそうな出来栄えに感動したものだ。欲しい!!って思うくらいなんだけれど、それはもちろんけっこう高価だから貧乏人には手が出ない。
 
 小さな作品だけでなく樽やら番傘やら机の引き出しやらタンスやらと、巨大な作品もあり、そのほとんどが金魚まみれ。一度はアーティストを廃業しようと思っていた深堀さんに制作のヒントをくれた金魚ちゃんは命の恩魚と言っても過言ではない。
 
 作品の中には3.11東日本大震災で亡くなった被災者の子供の遺品を作品にしたものや、故さくらももこさんがが所蔵していた深堀さんの作品なども展示してある。金魚屋の雰囲気をイメージした展示室だけは写真撮影OKだった。
 
 この展覧会は巡回展になっていて、昨年は平塚市美術館、刈谷市美術館、今年は、みやざきアートセンター、まなびあテラス東根市美術館を巡回している。佐野美術館は9月1日まで。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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神田界隈でブラアキラ

2019-07-08 22:48:17 | 美術[は]
 アートテラーとに~さん主催の【神田界隈でブラアキラ】に参加した。浮世絵片手に街を徘徊する企画。江戸時代の風景を現代の街並みに探し求めるタイムスリップ・タウンウォーク。講師は太田記念美術館の学芸員渡邉晃さん。だから「ブラアキラ」。アキラさんは先日、日曜美術館の「写楽」の回にゲスト出演していた。

 今回は神田界隈をブラアキラ。小川町あたりから神田、お茶の水、水道橋周辺を巡る。この辺りは高低差が激しく、高低差マニアのタモリさんが目からよだれを垂らしそうな地域、なので歩いていて余計に疲れた。

 浮世絵の景色を照らし合わせてみて、現代にその面影があるかと言われるとなかなか厳しい。古いお寺や神社、河川などは今でも同じ場所に存在している率は高いが、民家ではそうもいかない。昔は風光明媚だった高台からの情景も、今は殺風景にビルが並んでいるだけだったりする。でもその高低差などの地形は今もそのままである場所が多い。

 今回のお気に入り:歌川広景の「妻恋こみ坂の景」
ネタ元は北斎らしいが、坂道の厠で侍が用を足していて、外ではお供の者たちがあざとかわいく鼻をつまんで臭がっている。厠の壁には今とほとんど変わらない落書きまで書いてある。坂の上では首を傾げた女が振り返り、その向こうには桜の木が立っている。この「坂道」が、現代の、この「坂道」なのだそうだ。坂道を登り切った先には今も桜の木が1本だけ立っている。以前ブラタモリでも紹介されたらしい。



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新・北斎展 HOKUSAI UPDATED

2019-02-03 21:20:20 | 美術[は]
「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」@森アーツセンターギャラリー

 油断して土曜日の15時頃、のこのこと出かけてみたら行列ができていて、入場制限がかかっていた。「Ah,hokusai!」などと言わずに待つこと25分、入場してみると始めの方こそ混雑していたけれど、だんだん人並みも緩やかになってきて、心配するほどの混み様でもなかった。

 今回は島根県立美術館所蔵の永田コレクションを主とする展覧会。これらはこの展覧会を最後に島根県に引きこもるらしい。総数480点が4期に分かれて出たり入ったり。初見のものが多いとはいえ、それはいつものことだ。そんな中にあまりにも見慣れた《神奈川沖浪裏》や《凱風快晴》が並んでいると「あぁ、あるね」と、ある事を確認して安心したりする妙な気分も味わえるかも。

 ハガキくらいのちっこい版画から《弘法大師修法図》のようなでっかい肉筆画まで様々な北斎が大集合。ギメ東洋美術館の《雲龍図》と太田記念美術館の《雨中の虎図》も12年ぶりに日本で再会している(3月4日まで)。



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フェルメール展2

2019-01-20 19:53:32 | 美術[は]
「フェルメール展」@上野の森美術館

 3か月ぶりにフェルメール展再訪。入場締め切り30分くらい前に行ったら5~6分並んで入場。中は結構な混み具合、特に2階の袋小路になっている展示室が厳しい。あそこを映像コーナーにでもしたらいいのに。先月で《赤い帽子の女》が去り、《取り持ち女》が来た。年末年始を挟んで再び8点がフェルメール部屋を彩っている。《取り持ち女》は割とでかい。女がでかいのではなく作品がでかい。《マルタとマリアの家のキリスト》にはかなわないがそれでもでかいので見やすい。


フェルメール 《取り持ち女》


 《取り持ち女》には4人の人物が描かれている。黄色い服を着た娼婦の女は『お金のためならしかたないわ』という割り切った顔で金を受け取ろうと右手を差し出している。赤い服を着た客が『うへへへへ、ひひひ、ぐへぐへぇ』と鼻息荒く、今まさに女に貨幣を渡そうとしているが、男の左手は早くも女の胸に張り付いている。フライングである。前払いが原則なのに数秒のフライングが発生した瞬間が描かれている。だからこの絵のタイトルは《フライング》でもいい鴨新米。黒い服を纏った取り持ち女(やりてばばあ)は『へっ、スケベ男が! おかげであたしゃ大儲けだわぃ』と、いかにもずるそうな眼をしてこの二人をのぞき込んでいる。絵の中ではわからないがこのばばあには娼婦に渡るよりも多くのお金が渡っているに違いない。そんなばばあの隣で場違いのニコニコ笑顔カメラ目線で観覧者を見ているおじさんはこの物語に関係なさそうで、居ても居なくてもどうでもいい人だ。その《絵画芸術》的な服装からこれはフェルメール自身の自画像だという説も出ている。フェルメールが女郎屋の総元締めをやっていたわけでもなくただ単に自己主張したかっただけで自分の絵に登場しても不思議ではない。『やぁみんな、ボク、ヨハネス、よろしくネ!』とでも言いたいのだろう。


ヨブ・ベルクヘイデ 《パン屋でレースを編む女》


 レースを編んでいる女の姿が、ノートパソコンでネット書き込みに精を出す人に見えてしまう。女の後ろの黒い枠、これは倉庫か何かの入り口なのだろうが、ちょうど女の背景を四角く縁どっているように見える黒がドゥォ~~~~ンと女を浮き上がらせて、極悪な悪口雑言罵詈讒謗を書き込んでいるネット中毒女に見える、ちょっと手を伸ばせばパンがあるので腹が減っても動かない。




 買わなくても何の困難も不都合も無いのだが、ミュージアムショップのレジがぜんぜん混んでなかったのでミントケースを買ってしまった。


・私がナマで見たフェルメールが21点になった。
01.牛乳を注ぐ女
02.小路
03.デルフトの眺望
04.ワイングラスを持つ娘
05.リュートを調弦する女
06.ヴァージナルの前に座る若い女
07.ディアナとニンフたち
08.マルタとマリアの家のキリスト
09.レースを編む女
10.地理学者
11.手紙を書く女
12.手紙を書く女と召使
13.手紙を読む青衣の女
14.真珠の首飾りの少女
15.真珠の耳飾りの少女
16.天文学者
17.聖プラクセディス
18.水差しを持つ女
19.赤い帽子の女
20.紳士とワインを飲む女
21.取り持ち女
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フェルメール展

2018-10-14 18:40:24 | 美術[は]
「フェルメール展」@上野の森美術館

 事前に買っておいた日時指定入場制チケットを持って土曜日の上野の森美術館に行くと、外に行列ができていたが15分ほどで入場できた。日時指定のお陰かな。チケット売り場もちゃんとあって予定枚数に達するまでは当日券も買えるようだ。15時の時点では19時のチケットが買えそうだった。朝行って当日券を買ってから他を回ってくるとかご飯食べてくるとかできそう。でも事前に前売券を買っておいた方が安心。入ったら閉館まで居ても構わないので多分朝イチのほうが空いているだろう。

 さて入場したはいいが中は結構な混雑。作品の前にミルフィーユのように人垣ができていた。動線もいつもと逆で肛門から入って口から、じゃなくて、脇の出口から入って先に2階に上り1階に下りてショップを通って正面玄関から出るシステム。入場時に青い小冊子を渡される。これが出品目録になっている。音声ガイドも全員無料で貸し出される。

 目が上すぎる理事のおじさんの絵や、藤森照信氏の木の上の茶室みたいな絵や、魚がいるだけでブリューゲルを連想しちゃいがちな絵などを見ながら行き着いた最後にはフェルメール部屋が待っている。今回はフェルメール9作品集合というだけあって気合いが入っているようだ。でも《取り持ち女》は1月9日から展示されるということで、今は8作品だけ展示されている。《赤い帽子の女》は12月20日までの展示なので、この部屋に9点並ぶことはないね。とは言え、ぐるりと見渡せば複製品ではない本物のフェルメールが8点並んでいるというだけでも壮観だ。来年2月からの大阪市立美術館会場ではフェルメールは6点だけになるようだが、東京会場には出ないアムステルダム国立美術館の《恋文》も展示される。

 今回初めて見た作品は《ワイングラス》と《赤い帽子の娘》の2点。《ワイングラス》は《紳士とワインを飲む女》とか《ぶどう酒のグラス》とか資料によって日本語表記が違うが、《取り持ち女》の猥雑であからさまな欲望ムチムチな絵と違って、静寂の中に潜む下心ムチムチな絵になっている。《赤い帽子の娘》はフェルメールかどうか疑がわれていた作品のようだが、いくつかの真贋疑惑物件を含めても37点しかないのだからこの際よしとしよう。だからと言って今後増えたらもっと怪しいことになるけど。

・フェルメール風な画家:ハブリエル・メツー
 メイドが見ている荒海の絵は、この愛が前途多難なことの暗示だとか。


・山羊の絵と魚の絵
 トビアと天使はわざと小さく描かれて、見る者に探させるのが流行りだったらしい。
 単なる魚介類の絵なのに裏に何かあるのではと勘ぐってしまいがち。


・図録買うつもりではなかったのに、作りが豪華だったので魔が差して買ってしまったぁ~!
 だったら図録付き前売券を買っておけばよかったのに~


・私がナマで見たフェルメールが20点になった。
01.牛乳を注ぐ女
02.小路
03.デルフトの眺望
04.ワイングラスを持つ娘
05.リュートを調弦する女
06.ヴァージナルの前に座る若い女
07.ディアナとニンフたち
08.マルタとマリアの家のキリスト
09.レースを編む女
10.地理学者
11.手紙を書く女
12.手紙を書く女と召使
13.手紙を読む青衣の女
14.真珠の首飾りの少女
15.真珠の耳飾りの少女
16.天文学者
17.聖プラクセディス
18.水差しを持つ女
19.赤い帽子の女
20.紳士とワインを飲む女
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「仏像の姿」展

2018-09-17 19:08:45 | 美術[は]
「仏像の姿 ~微笑む・飾る・踊る~ 仏師がアーティストになる瞬間」@三井記念美術館

 「姿」と書いて「かたち」と読む、らしい。「方法」と書いて「ミチ」と読む、「本気」と書いて「マジ」と読むのと一緒かな。「仏師がアーティストになる瞬間」というテーマで「顔」、「装飾」、「動きとポーズ」に焦点を当てた、ドキッ!仏像だらけの展覧会大会。

もともと仏像は人体芸術そのものだと思っているし、仏像を専門に造っていた造形作家を仏師と呼んでいたんだろうし。根底に宗教があったからちょいとややこしい塩梅になってはいるけれど、国は違えど時代は違えど運慶もミケランジェロもアーティストだったことに違いはないのだろう。ダビデは下半身丸出しだが、下半身丸出しの毘沙門天や不動明王など(ほとんど)いない。だから運慶の方が真面目でエラいというわけでもない。

 同時に東京芸大文化財保存学による模刻作品や修復作品も展示している。模刻には何のオリジナリティもないけれど、元の仏像と比べても遜色ない出来栄え。由緒、歴史がないだけだ。たとえば同じ素材で昔と同じように造れば同じようにひび割れするなどの調査も重ねているようだ。



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ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生

2018-08-12 22:24:05 | 美術[は]
「ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生」@静岡市美術館

 タイミング的には没後60年に当たる今回の展覧会は、山梨県立美術館 → ひろしま美術館 → 北九州市立美術館 → パラミタミュージアムと巡回してきて静岡市美術館で終わる。だいたい10年ごとにどこかで大きなヴラマンク展を見てきた。

 今回は80点ほどの絵画に、文筆家としても活躍し20点以上も著作を残したヴラマンクの言葉をキャプションとして添えてある。180cm、80kgという体格を生かし、若い頃は自転車レースに出て週に50万円くらい稼いでいたというからユーチューバーもびっくりの体育会系画家だったし、クルマにも乗り時速110kmでかっ飛ばして楽しんでいたようだ。

 スイスやフランスの個人蔵の作品が多数ある。特にスイス個人蔵と記載されている作品が37点もあるけれど、もしかしたら同じ人のコレクションなのかも。そして80点ある絵画のうち28点が、私の大好物である雪の積もった風景の作品なのだ。現実には生活に支障をきたす雪なんてものは一生降ってほしくないんだけれど、風景としてはやっぱり盛れる。特にヴラマンクの雪は厚く盛れているし。

《雪の教会》


《雪の村通り》


《雪の街道》


ヴラマンク展の図録

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没後50年 藤田嗣治展

2018-08-07 21:44:16 | 美術[は]
「没後50年 藤田嗣治展」@東京都美術館

 2008年フジタ展での3メートル四方の群像大作みたいな大きな作品はなかったが、結構な数の絵画が3階建ての展示室にたっぷり。乳白色の裸婦は言うまでもなく、猫付き自画像や、緻密な風景画・静物画、人生を変えた戦争画、改宗後の宗教画など、藤田の歴史を辿る様に見て回れる。生活費を稼ぐために売った自分の絵を、後になって余裕ができてから買い戻したりしていたという藤田。どんだけ自分好きだったんだ?ってあの風貌を見ればそれも納得鴨新米。

《カフェ》
居心地の良さそうなソファで誰かに手紙を書いていた女性、ヘタこいてインクこぼしちゃって自己嫌悪、頬杖をついて眼差しは虚空を彷徨う。その後ろ、山高帽のおじさんの右側、窓の外を片足の無い男が松葉杖をついて歩み去る。

《黙示録(天国と地獄)》
やたら平和そうに祈りを捧げる人々が描かれた天国と、地獄の窯で焼かれる人々、王冠を被った野獣の王みたいなヤツ、上の口からも下の口からも人を喰らう青鬼。細かすぎて伝わりづらいアポカリプスシリーズ。もうマンガみたい。


《礼拝》
73歳でキリスト教の洗礼を受け藤田嗣治からレオナール・フジタになった後に描いた宗教画。カラフルでメルヘンチックにも見える宗教画の中に、白髪でメガネをかけたそこだけやけに写実的なフジタ自身が描かれているのを見て、森村泰昌氏のセルフポートレートやらコスプレやらを思い浮かべてしまったわけで・・・

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プーシキン美術館展

2018-04-30 18:58:34 | 美術[は]
「プーシキン美術館展 - 旅するフランス風景画」@東京都美術館

 モスクワのプーシキン美術館から風景画65点が来日。

 アンリ・ルソー《馬を襲うジャガー》:ジャガーが馬を襲っているように見えないところがルソーチック。どちらかというと、お茶目な白馬が巨大な揚げパンを食っているように見える。かなり手こずってるねぇ。「旅するフランス風景画」というサブタイトルが付いている展覧会なのに、自分が行ったこともないジャングルを描いちゃうなんてまったく空気読んでない。いやそれはルソーのせいではなく主催者のせいだが。

 クロード・モネ《草上の昼食》:でも、でも、でも《草上の昼食》と言えば、マネの《草上のエロ昼食》のほうがインパクト絶大なんだけど。それは26歳のモネにとっても絶大だったようで、マネを真似してインスパイアされて描いたこの《草上の昼食》はオルセー美術館に収蔵されている巨大作品のための習作だったらしい。結局オルセーの昼食は大人の事情で未完成の末のズタボロ状態で、2014年のオルセー美術館展の時に来日していた。


参考:オルセー美術館所蔵《草上の昼食》


 ジュール・コワニエ/ジャック・レイモン・ブラスカサット《牛のいる風景》
ジュール・コワニエが風景を描き、ジャック・レイモン・ブラスカサットが牛を描くという共作。牛が下手なら上手なおとももちに描いてもらったほうが良い絵ができるってことならそれにこしたことはない。宗達+光悦みたいなものだ。


 アルマン・ギヨマンという画家の油彩もあったが、絵がどうのこうのいうよりも、この人は宝くじで大金を手に入れて50歳から自由気ままに絵を描き始めたという運のいい奴だったようだ。是非とも見習いたいものだ。
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