ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

第8回 横浜トリエンナーレ

2024-03-26 21:15:57 | 美術[や]
第8回 横浜トリエンナーレ 「野草:いま、ここで生きてる」

 第8回横トリに行ってきた。本来は2023年12月~2024年3月の冬開催のはずだったが、半導体不足で横浜美術館の改修工事が遅れたための延期だそうで、暖冬とはいえ寒い真冬よりマシだったかも。これからどんどん暖かくなるし。でも雨降ってた。

 「横浜美術館 + 旧第一銀行横浜支店 + BnakART KAIKO」の3か所を見られるチケットを買った。残念ながら黄金町バザールやいろんな展示サイトまで足を延ばす暇はなかった。

 横浜美術館が会場になったのは第4回目からだけれど、特設会場にありがちなすきま風を気にする必要もなく心地よく過ごせる。今回はリニューアル直後なので、綺麗な館内のどこが変わったのかとキョロキョロしながらの鑑賞となった。

 横浜美術館とみなとみらい線のみなとみらい駅が入っているMARK ISの間は雨に濡れてしまうが、旧第一銀行横浜支店とBnakART KAIKOはみなとみらい線の馬車道駅の地下通路を利用すれば雨に濡れずに鑑賞できる。


 「野草:いまここで生きている」というサブタイトルで、生きることに焦点を当てているうえに、キナ臭い世界情勢でもあるので、戦争・紛争などの重苦しいテーマの作品が目立つ。とはいえ展示の多くが現代アートなので、好き嫌いが大きく分かれそうなワケワカメもたくさん湧き出している。








 丹羽良徳氏の「自分の所有物を街で購入する」という映像作品、どこかで買った本を持ち歩き、別の書店やらキオスクやらのレジでまた金を払っている。万引きではなく万足し? 閉店後の売り上げが合わなくて多すぎて数え直す店員さんが気の毒だったりして。

 次回の横トリが2026年になるのか2027年になるのか気になるけれど、きっと2026年の秋にでもなるのだろう。それでリセットできるし。夏はぐったりするので秋がいいなぁ。
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没後70年 吉田博展

2021-07-23 15:22:43 | 美術[や]
「没後70年 吉田博展」@静岡市美術館

 吉田博展を見てきた。あちらこちらで吉田博の作品はちょこちょこ見ているが、まとまった量を見るのはこれがはじめて。きっちり描いてある風景画が好き。日本よりも海外で有名だった画家だという。吉田博という名前がすごく普通すぎて素通りしちゃいそうな画家だ。たとえば同じ明治の版画家、川瀬巴水なんていかにも巨匠っぽい普通じゃない名前なのに、吉田博くん、吉田くん、なんかいろんな島根県とかに居そうな名前だし。

 吉田は最初、西洋画の油彩や水彩で活躍していたが、49歳で木版画を始めたという。陰影をつけた西洋画を木版画で表現してやろうというチャレンジ精神に満ち溢れていた人だったようだ。精緻な作品を目指した吉田は多色摺りマニアだったようで、《陽明門》を描いた作品は96回摺り重ねたという。やりすぎじゃろ!摺師が気の毒だ10回摺りぐらいでいいべ?って思っちゃいがち。

 夏場は題材を探しに各地を旅して、冬から春にかけて制作をしていたという。吉田はなんか気に入らないことがあった時に、対立していた黒田清輝をぶん殴ったことがあるらしい。今ならすぐ防犯動画拡散されて逮捕されちまう。

この展覧会では木版画200点と油彩、水彩、写生帖などを展示している。中でも横幅が70cm以上ある「特大版」という木版画は見栄えのする逸品。大きな桜の木が伐られて売りに出されることを知った吉田がそれを版木に使用したので大きな版画が出来上がった。

この展覧会は、
2019/10/26~2019/12/22 河口湖美術館
2020/10/16~2020/12/13 福岡県立美術館
2021/01/05~2021/01/18 京都高島屋
2021/01/26~2021/03/28 東京都美術館
2021/04/01~2021/05/30 パラミタミュージアム
2021/06/19~2021/08/29 静岡市美術館
というふうにどさ回りしている。静岡で最後なのかどうかは知らない。


《光る海》 ダイアナ妃が買って執務室に飾っていた作品


《ウダイプールの城》 異国情緒たっぷりなインドの風景


《神樂坂通 雨後の夜》 路面のぬめり感が妖しげ


《亀井戸》 88回摺り、まんまる太鼓橋が印象的、橋上人多杉


川瀬巴水の《亀戸の藤》と比べてみる。どちらの亀戸天神も綺麗!


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ヨコハマトリエンナーレ2017

2017-08-13 20:39:12 | 美術[や]
ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

 「接続」と「孤立」をテーマに、世界のいまを考える、島と星座とガラパゴスという曖昧味なテーマで始まったヨコトリ2017。ヨコハマトリエンナーレは2008年で終了という噂にも負けずに今年で6回目を迎えた。2011年からメイン会場が横浜美術館になって、今回は展覧会気分が増した分、特設会場の持つお祭り気分は薄れた感じがする。厳選されたアーティストの作品も気合が入っていて楽しい。「なんだこのゴミは?」みたいな作品や「いつ完成するんだ?」みたいな作品はほとんど無く、始まったばかりでも安心して見られるのがいい。

 今年の会場は、横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館地下の3か所。「BankART Studio NYK Life V 観光」と「黄金町バザール2017」も同時開催中で、連携セット券を購入したほうが安い。「BankART Studio NYK Life V 観光」と「黄金町バザール2017」は会期中に何度でも入場可能となっている。他にもいろいろ近辺でのアートイベントがあるようだが把握しきれてない。会場間無料バスも運行しているので、ちょっと雨っぽいから乗ろうと思ったら渋滞中で定刻通り来ないので歩いた方が早いと言われた。歩いた。まぁヨコトリは歩けば何とかなるからいいけど。

 BankARTは「観光」ってのが意味不明だけれど、Studio内に多種多様な作品が展開されていて固まり感がある。黄金町バザールはまだちょっと盛り上がってない感じ。ポケモン捜索隊で歩道が溢れているみなとみらい地区と比べてあまりにも人通りが少ない。「Creative Waterway」という大岡川周辺の藝術水路企画が9月中旬頃に盛り上がり始めるので、黄金町もその頃一緒に盛り上がるのかも。

 ラグナル・キャルタンソンの《ザ・ビジターズ》の部屋にいるのが楽しい。9つの大きなスクリーンで同時に同じ曲を演奏する作品。風呂に入りながらギターを弾いている人、楽器の前でスタンバイしている人、自分の出番じゃないので席を外している人などがそれぞれのパートを演奏し歌い、結果的に部屋全体でオーケストラみたいに演奏される。スクリーンは並列ではなくまちまちな方向を向いているので、ぐるぐると奏者を見て歩きながら演奏を聴く雰囲気が面白い。

(アイ・ウェイウェイ)難民によって実際に使われた救命ボートと救命具が横浜美術館の外観を飾り立てる。


(マーク・フスティニアーニ)無限に続くトンネルの出現。視覚トリック的な作品は魅力的でいつまでも見ていたい。今回いちばんのお気に入り作品。


(ジョコ・アヴィアント)竹を編んだ巨大な獣みたいなヤツ。なんだか生き物っぽいオブジェが横浜美術館に入った途端に目に入る。


(ドン・ユアン)ひとつひとつのアイテム全てを描いて並べた祭壇。他にもいろいろな部屋の家具調度や食べ物まで描いたキャンバスを並べて室内空間を作り出している。


BankART LifeV観光(井原宏蕗)金属の殻でできた象


BankART LifeV観光(丸山純子)レジ袋で作った花が会場に咲き誇る


田村友一郎氏の作品が展示されている氷川丸。ヨコトリのチケットを提示すれば無料入場できる。この機に乗じて十数年ぶりに2度目の乗船。










巨大客船ダイヤモンドプリンセス(全長290m、高さ54m)と巨大ピカチュウと巨大ピカチュウ飛行船と見えないけれど1000マン人くらいいると思われるポケモン捜索隊のみなさん


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ヨコハマトリエンナーレ2014

2014-08-17 22:01:40 | 美術[や]
ヨコハマトリエンナーレ2014

 今年もまたヨコハマトリエンナーレの季節がやってきた。今年も、と言っても3年ぶり5回目である。主要な会場は前回と同じ横浜美術館、新港ピア、BankART StudioNYK、その他。連動して黄金町バザール2014も開催中。横トリは歩いて回れる範囲に展開しているので、時間に縛られずにうろちょろできるのがメリット。でもとりあえず各会場を回る無料バスは用意されている。

 今回のアーティスティック・ディレクターは森村泰昌氏、女装してフェルメールの絵のフリをしたりする人だ。そして今年のテーマは「忘却の海」。うっかり忘れたもの、時代の波間に置き忘れられたものに思いを馳せる、という、わかるようなわからないようなテーマ。でもまぁ、テーマとしては割とポイントを搾りやすい方かな。

 というわけで、横浜美術館の正面広場にはヴィム・デルボアの《低床トレーラー》が展示されている。錆びたまま置き去りにされたような巨大トレーラーの抜け殻が不思議な存在感を醸し出している。遠くから見ると錆びたトレーラーだが、近寄ると、きめ細かな模様が現れる。なんだこれは、すげぇなぁと思ってしまいがち。



 そして美術館に入ると馬鹿でかいアクリルの巨大ゴミ箱が目に入る。これはマイケル・ランディの《アート・ビン》というゴミ箱で、失敗した作品や未発表のまま忘れていた作品などを捨ててしまう「忘却の容器」である。ちょうど参加したアーティストらしき人が、階段の上から不要な作品を投げ入れている姿を見た。まだ会期が始まって半月ほどなので、ゴミ箱の下の方に「ゴミ」が溜まっているだけだが、今後満杯になるかもしれない。サイトで随時参加受付をしているようなので、そういえばうちにもゴミのような作品があったなぁ、という人は、参加してみたらよい。※注:ゴミのような家族などは捨てられません



 新港ピア会場で見かけた巨大な物件は、やなぎみわ《演劇公演「日輪の翼」のための移動舞台車》というトレーラー式舞台装置と、大竹伸朗《網膜屋/記憶濾過小屋》。記憶濾過小屋は大竹伸朗の神髄が武装したような、へんてこりんな物件で、忘れたくても忘れられない、忘却不能な精神的遺物といった作品。異常な存在感に引き寄せられて周囲をぐるぐる回りたくなる。



 BankART StudioNYKにある巨大なものは、原口典之の《オイル・プール》。平たい容器に敷き詰められた真っ黒いオイルが、静寂の中で、微動だにしない黒い鏡面となり、天井の梁やライト、柱や窓が映り込み、巨大な穴から下の階を覗いているような錯覚に陥る。ちょっと長く眺めていたい疑似空間。



 黄金町バザール2014は前回より充実しているような雰囲気がした。特徴的な日ノ出竜宮美術旅館があった辺りは商業ビルの建築現場になってしまったので、もうちょっと黄金町寄り高架下の、日の出スタジオから、京急線に沿って黄金町駅近辺まで展開している。ここは展示品を見るだけでなく、元はヤバイ場所だったという狭苦しい展示施設に入ってみる楽しみもある。

 どこの会場にしても、現代アートの集まりなので、面白いものはとっても面白いが、琴線に触れないものは面白くもなんともない、これのどこがアートなの?と思った途端に「忘却の海」に捨てたくなるものもある。そういうものも含めて現代アートなのだからしかたない。何でもかんでも感動できるわけではない。「忘却の海」は広いから、どうでもいい思い出はどんどん忘れてしまおう。「忘却の海」が溢れちゃって足元がゴミのような作品で埋もれてしまう心配はない。それでもゴミのような作品で埋もれたのなら、それはたぶん自分の作品なので一刻も早く《アート・ビン》の参加申し込みをしよう。
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幽霊・妖怪画大全集

2013-08-14 18:26:50 | 美術[や]
「福岡市博物館所蔵 幽霊・妖怪画大全集」@そごう美術館

 というわけで、化け物も干からびる41度の猛暑に、都心の3館で妖怪関連の展覧会を開催中。
「大妖怪展 -鬼と妖怪そしてゲゲゲ」@三井記念美術館(7/6~9/1)
「日本の『妖怪』を追え!」@横須賀美術館(7/13~9/1)
「幽霊・妖怪画大全集」@そごう美術館(7/27~9/1)
9月2日からは妖怪も学校が始まるようですなぁ。
妖怪巡りと称して、3館で他展のチケットを提示すると、少し割引してもらえる。

 どうやら、でっかい骸骨がぬもっと出てくる歌川国芳の《相馬の古内裏》は3館とも展示してあるようだ。インパクトがあるので招きシャレコーベにうってつけなのだろう。

 そごう美術館では「YKI48総選挙」という化け化けしい妖怪投票企画もやっている。展示品から選りすぐりの選抜メンバーからお気に入りのヤツに投票し、センターになったメンバーに投票した人から抽選で100人に何かオリジナルグッズくれるという企画。そうなると何か欲しければセンターになりそうなメンバーを選ばなければならず、必然的に指原さんに似ているヤツを選ぶことになってしまう。でもどれも似ていたので困ってしまって、センターにはなれそうにもない陰気で疲れた顔をした琵琶法師(26番)に悲しき一票を入れておいた。もう何もいらない。

 歌川芳虎 《神農諸病退治図》 神農軍が「救命丸」やら「萬金丹」やらの軍旗を翻して闘っている敵は、いろんな病気。これはなかなか面白い。
 
 鈴木松年 《幽霊図》 ヒザに手を当ててポーズを取っている粋でいなせなおっちゃん幽霊。国産幽霊なのにヒザがあるぞ。
 
 橋本関雪 《幽霊図》 なんでこんなに怖くないのか、幽霊にもほどがある、という絵。
 
 円山応震 《妖怪図》 総選挙で一票入れたのはこの疲れた琵琶法師。すげぇヤル気なさそうにぐでぇッと壁際の琵琶に寄りかかって足を投げ出している。顔がもうどうしようもない。
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山口晃展

2013-05-12 23:46:47 | 美術[や]
「山口晃展 ~付り澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ~」@そごう美術館

 "~"の後ろがちょっと違うけど、昨年秋に京都駅ビルでやった「山口晃展 ~山口晃と申します 老若男女ご覧あれ~」の巡回と言っていいのかな。どちらも似たようなデパアト併設の美術館なので天井は低い。

 お馴染みの洛中洛外図もどきや、源頼朝、馬バイクなどを見て歩き、よい頃合いになった辺りで、「山愚痴屋 澱エンナーレ2013」が開催されているエリアに突入する。

 ただでさえプッと吹き出しがちな洒落のめした作品や駄洒落チックなイラストなども多々ある中に、輪をかけて冗談タラタラな変なモノが登場する澱エンナーレ。まがいもの標識やらサウンドロゴは、いちばんわかりやすいネタ作品。

 今回の図録は、展覧会図録というよりも初の大画面作品集で、昨年から発売されている。中には、昔の作品《ラグランジュポイント》 《四天王立像》などから、最新の作品《平等院養林庵書院の襖絵》や、メゾンエルメスに展示した《忘れじの電柱》の写真も掲載されている。
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山梨建築ツアー

2012-02-28 00:27:23 | 美術[や]
 アートテラーとに~さん主催の「バスで行く!大日本お笑い建築ツアー【山梨編】」に参加した。講師はお笑い建築家ペンさん。朝8時新宿駅集合、日曜早朝の新宿駅はいつもの36000倍大混雑、もちろんそれは東京コスプレマラソンの参加者と見物人。あちこちになんとなく大荷物な人たちと、影で着替えている人たち。JRアナウンスが「構内で着替えないでください」と叫んでいた。そんな中を大型バスで山梨に向かう。

(1)清春芸術村:設計:谷口吉生
 十数年前に御殿場からバイクで行ったことがある。多角形の集合アトリエ(ラ・リューシュ)と、大きな親指が印象的。ラ・リューシュはエッフェル塔を建てたギュスターヴ・エッフェルの設計でパリに建てられたものを模して造られたもの。その頃にはなかった安藤忠雄が建てた「光の美術館」や藤森照信が建てた木の上の茶室「徹」など、いろんなものが増えている。とりあえず寒い。もうちょっと暖かく桜の咲く季節だったら外でいっぱいうろちょろできるのに。

 ラ・リューシュと親指


 木の上の茶室



(2)Inter Max:設計:お笑い建築家ペンさん

 ペンさんの仕事の成果も見学。丘の上に建つ珍しい家♪、毎日いろんな人が訪れる♪ 会社だからねぇ。だれか来るたびに大きな犬が「オン! オン!」と低音で吠える家。丘の上だから遠くからもよく見える。これでプールもあるんだぜ。



(3)山梨文化会館:設計:丹下健三
 
 メタボリズム建築のひとつ、なんとなく余計な出っ張りも突き出ている。後からいろいろと増築しても耐えられる強度を持たせておくという無駄遣い上手。で、結局最後まで増築なんかしない場合も多々あるだろう。やっぱりもったいないバブリーな建築。遠景は威容を誇る雰囲気ぷるぷるするんだけど、近くを一回りしただけではわかりづらい。



(4)山梨フルーツミュージアム:設計:長谷川逸子

 大きな果物を地面に伏せたようなドームが目立つ、笛吹川フルーツ公園。パンチングメタルの女王と呼ばれているらしい長谷川さん。パンチドランカーではない。いろいろな施設にパンチングメタルが使われている。園内くだものカレンダーを見ると、2月はいちばんくだものが少なかった。ありゃま(・。・;
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山口晃展

2012-02-11 23:35:34 | 美術[や]
「望郷 - TOKIORE(I)MIX 山口晃展@メゾンエルメス

 銀座エルメスビルの外についてた羽根のような大きなオブジェが無い。震災後、いろいろ破損が見つかったとかで、現在修復中らしい。そんなエルメスで山口晃の展覧会。作品数は少ないが、あんじゃこりゃ!?というようなでんちゅうでござる作品は、違和感たぁくさんご用意してます的なすごいインパクト、すごいウケ狙い、エルメスビル備え付けの空間をフル活用した目に余る、じゃなくて、目をみはる景観にしばし見とれる。
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ヨコハマトリエンナーレ2011再訪

2011-10-16 23:24:37 | 美術[や]
ヨコハマトリエンナーレ2011

 前回から2か月過ぎたので再訪した。前回はオフ会だったので、限られた時間内で充分に見きれなかったり、見落としていたりした所を補完した。粘土カバはけっこうヒビが目立つようになってきた。ソーセージからは変な汁が垂れていた。前回は普通に写真撮影していたエリアがいつのまにか撮影禁止エリアに変わっていたり、普通にスラっと見られた作品の前に行列ができていたり、巡回バスの行列がひょろ長くなっていたり。11/6まで、これから終盤戦、さらに混む予感。
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ヨコハマトリエンナーレ2011

2011-08-22 21:58:59 | 美術[や]
ヨコハマトリエンナーレ2011

 アートテラーとに~さん主催のヨコハマトリエンナーレ2011オフ会に参加した。ヨコハマトリエンナーレは今年で4回目。

 2001年:パシフィコ横浜は物珍しさも手伝って興味津々、超でっかいドレスと秘宝館が目に焼き付いている。インタチンコに張り付いた巨大バッタやつやつやした野菜の樹で楽しさ倍増。

 2005年:山下ふ頭は旗のなびく長いエントランスロードでやたら海に出っ張った会場、穴から顔を出してなんか見た想い出、つなぎ合わせた黄色い貨車のアーチが印象的。

 2008年:新港ピアはベニヤを立てかけた学園祭の準備中みたいな印象、その初っ端に美的センスゼロのゴミのような自称「アート」が散らばっていたのが安っぽさに拍車をかけてた感じ。寝てるネズミはよかったけど。

 そして、

 2011年:横浜美術館をメイン会場として、横浜港近辺で始まった。インターバルが3年もあるのに、毎度もめにもめて、今年は震災の影響でさらにもめて、開催が決定して4か月で大慌てで準備するというお笑いトリエンナーレ。その割に、名物学芸員・天野さんたちの努力でなんとか見栄えのするお祭りになった感じ。

 4回目でようやく横浜美術館という、やって当然と思える場所が会場となった。空調設備の整った美術館ならではの展示ができるし、また、美術館ではちょっと無理な作品は倉庫会場に持って行けばよい。現代アートだけでなく、国芳が出てきたりマグリットが出てきたりという広範囲な展開ができるのも美術館会場のメリットだという。

 美術館の中でも写真OKという嬉しい状態に喜んでみんなでばしばしシャッターを押していると、時々係員がやってきて「こちらの作品は撮影禁止です」と注意する。そんな時の反応は「え?そうなんですか?」となる。係員の指さす方向を見ると、奥のほうのキャプションの脇に小さなカメラ禁止マークが張ってある。目立たないし、キャプションより先にでっかい作品があるのだから無理もない。その手前の作品までシャッター押しているのだから観客がそこまで気を回せるはずもない。もうちょっと工夫すれば係員も余計な気を遣わなくて済むのにと思う。

 オフ会なので限られた時間で次に行かなければならない。今回は美術館会場が約1時間半だったが、全部見て満足するにはちょっと時間が足りなかった。もうこの段階で再訪は決まった。10月になったらもう一度行くぞ。まぁ、多いと言っても越後妻有のように幾日あっても見きれないというようなレベルではないので。

 日本郵船海岸通倉庫の会場では今回も映像作品が多い。全部見たら24時間かかるという洒落にならない作品も、そんなに長く見なくてもいいからもうちょっと見てみたい。毎度おバカな映像で観客をケムに巻く泉太郎の作品がハマる。ホントに見てる時間が無駄なんだけど次回もまた無駄に見てしまいそう。

 最後はトリエンナーレに連動している「黄金町バザール」に向かう。今回は各会場をシャトルバスが運行しているので、移動は楽である。とに~さんのお薦めの展示スポットをちょこちょこと案内してもらう。ときどき作家さんも登場して、あれやこれや話を聞いたりしながら、黄金町のゆる~い散歩を楽しむ。しかし黄金町バザールは8月は準備期間で9月から本稼働だとか。

 そんなわけで、楽しいトリエンナーレツアーを終えたのだが、次の朝、原因不明のめまいと吐き気に襲われることになろうとは、この時はまだ知るよしもなかったのである・・・
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横山裕一 ネオ漫画

2010-06-20 22:05:44 | 美術[や]
「横山裕一 ネオ漫画の全記録:わたしは時間を描いている」展@川崎市市民ミュージアム

 今日で終了の「横山裕一展」。横山氏は元は油彩などをやっていたらしいが、いつのまにか漫画作品に転向した人。床には緑色の人工芝が敷き詰められたほんわかした展示室。円形のテーブル上に並べられた原画をぐるぐる見て回る独特な展示風景。

 横山氏の漫画は定規を使ってキリっとした線を描き、スッキリした雰囲気がするのだが、ストーリーは摩訶不思議、出てくる人物は奇妙奇天烈、ちゃんと漫画の内容を理解しようなどと思ったら精神を病む。

 時間の連続性を描くために漫画を選んだという。たとえば、タバコを吸うためにビニールをクルリと剥がして、離れたビニールのふたを持ち上げて、銀紙を切って持ち上げて、上部をトントンと叩いて出てきたタバコを1本つまんで引き抜いて・・・以下略・・・というように粘着的な連続を描いたりする。「わたしは時間を描いている」とはそういうことかと思ったり笑ったり (・_・)ヾ

 たとえばトラベルする列車、内部で動き回る登場人物たちの描写が延々と続き、そして唐突に、高い山の上からその列車の通過を見降ろす第3者が登場する。おっ!? 新たな展開か? 来るのか? 来ちゃうのか? と思ったら、別になぁんも起こらずに、第3者は二度と登場しない。ただ見降ろしていただけかと思ったり笑ったり困ったり(;´o`)

 「六本木クロッシング2007」で初めて見たが、一度見たら忘れない、珍妙な装いで喜怒哀楽が素っ気ない登場人物。真面目に見ていると病気になりそうな、わけわからん動作の連続が麻薬のようで、なんとなくGOLDEN LUCKY。だから嫌いじゃない。


 さて川崎市市民ミュージアムというと、外にドデンと佇む「トーマス転炉」 なんとなくキリコかエルンストかと思いたくなる堂々とした物体。これは昭和32年まで京浜製鉄所で稼働していた日本鋼管の鉄鉱石の製鋼炉。外形4.2m、高さ7.6m、重量60トン。


んで、この「トーマス転炉のペン立て」が売っていたので、つい魔がさして買ってきた。炉の入り口が狭いので、すごくがむばってもペンは3~4本しか立てられない。中央の膨らんでいるところはデッドスペースという贅沢なペン立てである。金属製でずっしりと600g。

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モーリス・ユトリロ展

2010-04-22 23:14:45 | 美術[や]
モーリス・ユトリロ展 ー パリを愛した孤独な画家@損保ジャパン東郷青児美術館

 約90点の作品がすべて日本初公開作品だという、すごいユトリロ展、なのだが、どっかで見たことあるような既視感たっぷり。全部ユトリロなんだから当然でもあるけど、いつか見たようなモンマルトルの裏階段が好きだったりする。

 《サン=バルテルミィ広場と教会、ムラン》という絵は、すっきりと晴れ渡った深い青空の下、教会のある通りを歩いて行く気持ちよさを感じる。

 なにげない路地の先に煙を吐く赤い煙突が見える《ゴブラン路地、パリ》も好きかな。

 15x17センチくらいの小さなグワッシュ作品《雪のムーラン・ド・ラ・ギャレット、モンマルトル》も欲しい。

 しかしユトリロは母シュザンヌ・ヴァラドンや妻リュシー・ポーウェルの金づるにされて、まるで監禁状態でどんどん絵を描かされていたという。贅沢三昧のヴァラドンはチュイルリー公園まで毎日豪華なタクシーで犬の散歩をしていたという。それで、その理由は「愛犬がチュイルリー公園でしかオシッコをしないから」という、フライパンで殴りたくなるようなエピソードが書いてあった。バシッ!
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山本冬彦コレクション展 他

2010-02-10 01:48:40 | 美術[や]
 火曜日は4月下旬というくらいの驚愕の気温だったので、『都営大江戸線ぷらっぷら途中下車の旅』をして、懸案事項の処理をしてきた。

◆大江戸線(国立競技場)『山本冬彦コレクション展』@佐藤美術館

 「週末はギャラリーめぐり」という本まで出したサラリーマンコレクター山本冬彦氏が、30年かけて蒐集した1300点もの作品の中から160点を展示している。サラリーマンとはいえ、東大法学部卒業だそうで、エリートサラリーマンである。いくつか知ってる作家の作品もあったけど、山本氏がどんなものを集めてきたのかと興味本位に見て回るのも面白い。


◆大江戸線(春日)『新春浮世絵名品展』@礫川浮世絵美術館

 前から気になっていたので行ってみた。ビルの5階にある小さな美術館。小石川に生まれ育った医師夫妻の40年に渡る浮世絵コレクション2000点を収蔵、展示している。礫川浮世絵美術館という館名の由来は、葛飾北斎の富嶽三十六景「礫川雪の旦(こいしかわゆきのあした)」で、ちょうどこの地域から富士山を望む風景だったからということだ。


◆大江戸線(清澄白河)清澄庭園

 MOTに行くたびに、一度ここに入ってみたいなぁと思っていたが、大抵、MOTから帰る頃は閉園時刻になっていて入れなかった。カモがチョロチョロ泳いでいる池を周回する庭園。入場料150円。


◆大江戸線(清澄白河)小山登美夫ギャラリー

 これもMOTに行くたびに気になっていたが、日月休廊なので行けなかった。行ってびっくりするのは建物で、物流倉庫ビルの中に入っている。倉庫だからエレベーターがデカくて、自動的に扉が閉まらないので、降りたら「閉」ボタンを自分で押すように注意書きがしてあった。乗るたびになんか電気を無駄遣いしているような気分になってしまう。ギャラリーの中はドデ~ンとだだっ広くて、かなり大きな作品が贅沢に展示できる感じ。今は名知聡子展をやっていた。 同じビルのシュウゴアーツでは金氏徹平展をやっていた。


◆大江戸線(築地市場)築地本願寺

 浄土真宗、京都西本願寺の別院といものだが、西本願寺とは似ても似つかぬインド風味な独特の佇まいをしている。ホントに異国な気分。昨年見たモダン寺といわれる本願寺神戸別院も、すげぇ個性的だったが、気分は印度である。

 気分は印度であったが、築地中央市場の近所で海鮮丼を食べて帰った。気分は印度ではなくなった。

 築地市場駅の改札前には、片岡球子の大きな屏風絵を陶板で複製したものが飾ってあった。
 

築地市場駅(片岡球子)


築地本願寺

 
清澄庭園

 
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横浜トリエンナーレ@三渓園

2008-09-28 23:24:03 | 美術[や]
三渓園に横浜トリエンナーレの作品を見に行ってきた。チケットを見せると入場券を買う必要はない。逆に、先に三渓園で買った入場券を持ってトリエンナーレ会場でチケットを買うと入場券分を割り引いてくれるようだ。

 当初、三渓園に出品予定だったキャメロン・ジェイミーは諸般の事情で出品を取りやめたので、5作品が展開されている。

(1) 内藤 礼《無題(母型)》:横笛庵に意味不明なもんが・・・

(2) トリス・ヴォナ=ミシェル《浪費的なイルミネーション》:涵花亭に意味不明なもんが・・・

(3) ティノ・セーガル :旧矢箆原家住宅に意味不明なパフォーマンスが・・・

(4) ホルヘ・マキ とエドガルド・ルドニツキー《薄明》 :旧東慶寺仏殿に20分籠って作品を見る。5分でよかったかも。でも30分じゃなくてよかった・・・

(5) 中谷 芙二子《雨月物語 - 懸崖の滝 Fogfalls#47670》 :渓流にもやが立ち込めていて幻想的。イルミネーションもあるので、夜もいいかも。

 やっぱりなんだかわらん的な作品が多い。なんだかわかりたくない気もしないでもない、なんて言わないよ自衛隊♪、なんてな、うそうそ、とかいっちゃって・・・どっちだ?

 三渓園の作品は時刻によっては見られなかったりするので、事前に確認しておいたほうがいい。それで苦情を言っている人もいた。「この人は外国から来て今ちょっとクルマ待たせてるんですから」とか抗議していたが、外国から来て、ちょこんとした「あれ」を見るのも気の毒な・・・

 横浜トリエンナーレは今回で終了とかいう噂もちらほら、なので、がっかりする作品も含めてとりあえずお祭り騒ぎをしておこう。
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横浜トリエンナーレ

2008-09-22 00:46:21 | 美術[や]
「横浜トリエンナーレ2008」

 運河パークで野外展示を見始めた頃はまだよかったのだが、ほどなく雨が降り始めて、その後は二人病んだりで←病人の愛人か? 傘が手放せない1日だった。会場があちこちに散らばっているので、雨の日はつらい。降り始めるとしっかり降るので4センチ防水という微妙な靴が濡れた。同時に靴下も濡れた。

 日本郵船海岸倉庫には子供の入れないエログロ系作品が3部屋ほどあるので、子連れで行くとフラストレーション溜まる鴨新米。オノ・ヨーコの《カット・ピース》という映像作品もここにある。

 赤レンガ倉庫では映像作品。チェルフィッチュ(岡田利規)のフリータイムという73分の映像作品がいいかも。変な違和感がいいかも。時間がなかったので途中までだったが、不思議な人々がいるものだと思った。あにやってんだろうこのひとたちは。

 メイン会場の新港ピアはメインだけあって展示物は多い。入場して最初のだだっぴろい空間のグダグダした雰囲気になんか気抜けしたが、ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスの作品が笑えた。映像作品に出てくるパンダとネズミがグースカ眠りこけているってだけなんだけど、これがかわいいだけじゃなくて、いい感じに薄汚い。しょうもない雰囲気が好き。

 あとはまあ、なんだかわからないモノが多い。現代アートの多様性についていけないのかも。「芸術ってなんだろう」とあらためて考えさせられるイベントだった。個人的には前回、前々回のほうがわくわく感が高かった気がするけど、どうなん? だいじょうぶかトリエンナーレ? てゆーか、だいじょうぶか俺? だいじょばない?

 同じチケットで会期中、あと1回入場できるので、そのうちまた覗きに行ってみようと思う。
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