ざっきばやしはなあるき  

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美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

特別展 足柄の仏像

2023-11-09 21:06:32 | 美術[あ]
「特別展 足柄の仏像」@神奈川県立歴史博物館


 神奈川県立歴史博物館では、2020年に「相模川流域のみほとけ」という地域別仏像展の1回目を開催したようだが、コロナ禍真っ只中で外出を控えていたので、やっていることも知らず、行けなかった。今回は2回目で神奈川県西部の箱根・小田原・南足柄から中井・大磯の辺りを対象地域として80件の仏像・神像や関連物などを展示している。この展覧会は11月26日まで。

 南足柄には親戚や知り合いが住んでいたりするので、多少は馴染みのある地域だが、そこにある神社仏閣など詳しくは知らない。それに、観光地の有名な寺なら、たとえ有料であっても気軽に入ることができるが、町村の一角にある小さなお寺などはどんな仏像がいるのかも知らないしなかなか入り辛い。だからこうしてまとめて展示してもらえると助かる。

文殊菩薩立像(箱根町・阿弥陀寺)37.4cm
色がきれいに残っている童子形


阿弥陀如来立像(小田原市・蓮台寺)97.5cm
黒漆塗りで高級な雰囲気


菩薩遊戯坐像(小山町・乗光寺)38.4cm
片手を後ろについて片足まげてリラックス、これを遊戯坐像というらしい


普賢菩薩坐像(箱根町・興福院)50.3cm
しっかりした造形でデラックス感満載


弾誓上人坐像(箱根町・阿弥陀寺)41.0cm
これはだいじょうぶか・・・・これでも偉い僧侶である

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ATAMI ART GRANT 熱海芸術祭 アカオ

2021-11-28 20:57:03 | 美術[あ]
「ATAMI ART GRANT」

 会期:11月16日~12月12日 11:00-18:00 休(火・水)。

   追伸:アカオの観覧は12月20日(月)まで延長されたよ

 静岡県熱海市で開催中のアートイベント「ATAMI ART GRANT」、先週は熱海市街地の展示会場を散策したので今週はメイン会場の「ホテルニューアカオ」を訪れた。「ホテルニューアカオ」は2018年に台風の高潮でレストランの巨大ガラスを破損する事故があった。そしてコロナ禍の影響なのか老朽化なのか今月で営業を終了した。終了しちゃったのならもう宿泊できないのだが、このアートイベントのおかげで幸いにも中を見ることができた。

 今後も営業を続けるという「ロイヤルウイング」受付で観覧用ネックストラップを受け取り中に入る。するとそこにはまるで美術館のように多数の作品が展示されていた。これは予想外だ。そんな作品を見ながら、閉館した「ホテルニューアカオ」へと続く通路を進むと、すっごく広いダンスホールにたどり着く。景色も良い。

 ここまでは優雅な雰囲気だったのだが、ダンスホールの入り口にあったガイドブックを手に取った瞬間から迷宮に迷い込むことになる。ガイドブックというか作業指示書に従ってエレベーターに乗って指定された階に向かうのだが、エレベーターのボタンの番号は隠されていて、どこを押せば正しいのかわかりづらい。おまけにボタンが13個あるエレベーターと14個あるエレベーターのどちらかが来て、押すべきボタンの位置が違っている。故意に作られたラビリンスでうろうろするアートイベント、それはそれで楽しいのだが。

 大きなガラス窓のメインダイニング錦からの景観も素晴らしい。「これが台風で割れたガラス窓か」なんて思いながら、なんの料理も出てこない終わったダイニングルームをうろちょろする。終わったゲームセンター、終わったプール、終わった写真館、終わった客室、なんかちょっと寂しい。迷宮のおかげでアカオだけで2時間近くかかってしまった。行く予定の人は余裕を持って行った方がいいよ。

 もうひとつのイベント会場「アカオハーブ&ローズガーデン」にクルマで向かう。ここはガーデン内にアート展示がしてあるので入園料1500円を支払うことになる。園内のマイクロバスでいちばん上まで連れて行ってもらい、庭園を下りながら展示作品を探すような感じ。全部の作品を見つけられたかどうかはさだかでない。でもあれこれ花咲く庭園を散歩しているだけで優雅な晩秋の午後を満喫できる。

ホテルニューアカオ



ロイヤルウイング



ロイヤルウイングのエントランス



ニューアカオへ向かう通路の入り口



景色の良い回廊



ゴージャスなダンスホール



メインダイニング錦に向かう道



メインダイニング錦



メインダイニング錦のガラス窓



メインダイニング錦から見える景色



メインダイニング錦の上の階からの景色



岩のトンネル:半分だけ見えるピンク色の看板は宮原嵩広氏の作品《Your name here》、聚楽ホテルのロビーにも小さいのがあった



アカオハーブ&ローズガーデン入り口



アカオハーブ&ローズガーデン:滑り台は鯰氏の作品《PARADICE》



アカオハーブ&ローズガーデン:石畳



アカオハーブ&ローズガーデン:紅葉と階段



アカオハーブ&ローズガーデン:噴水のあるハーブガーデン



アカオハーブ&ローズガーデン:日本庭園「天翔」には枯山水や巨大な松の盆栽がある



アカオハーブ&ローズガーデン:三角屋根のカフェ「COEDA HOUSE」は隈研吾の設計





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ATAMI ART GRANT 熱海芸術祭

2021-11-20 22:22:42 | 美術[あ]
「ATAMI ART GRANT」

 静岡県熱海市で開催されているアートイベントに行ってみた。「ATAMI ART GRANT」会期は11月16日~12月12日 11:00-18:00 休(火・水)。市街のあちこちの施設を使って芸術作品を展示している。「水と土の芸術祭」、「越後妻有アートトリエンナーレ」、「北アルプス国際芸術祭」、「中之条ビエンナーレ」、「所沢ビエンナーレ引込線」、「横浜トリエンナーレ」、「黄金町バザール」、「こうふのまちの芸術祭」、「富士の山ビエンナーレ」、「あいちトリエンナーレ」、「神戸ビエンナーレ」などいろんな地域でやっているアレと同じヤツだ。

 観覧無料ということもあるし、まだ初回なので規模もそれほど大きくはないが、こういうアート探検隊みたいな企画はワクワクする。20日の土曜日は天気も良くて絶好の散歩日和、でも坂の多い熱海を歩くにはちょっと暑かった。熱海の街には慣れてないので、ペラペラのチラシだけでは迷う。もし迷って展示施設を通り過ぎてしまっても、長い上り坂を戻る気になれない。そんな坂の街、熱海。高台に登って歩き疲れて振り返ると海が見える。もし迷ったらサイトに載っている会場ごとのマップをこまめに確認した方がいいと後で思った。目印となるのぼり旗や案内図などが全然ない施設もあったのでなおさら迷った。

 日帰りであまり時間も取れなかったので、今回は半分も見られなかった。JR熱海駅、JR来宮駅、ビーチの近所の会場は、がんばれば徒歩でも回れる。というか駅周辺会場をクルマで回るのは止める場所がないのでちょっと無理。でも、十国峠や姫の沢公園、つい先日閉館が発表されたホテルニューアカオなど、クルマでないとたどり着けそうもない展示会場もある。私は今回、クルマで来てコインパーキングに止めたまま、駅周辺を歩いた。早めにバテた。




正面に見えるキュレーションホテル桃山雅苑、だらだらと坂を上って到着したら「本日貸し切り」で観覧不可。



わかりやすくて入りやすいArticle Atelier & Galleryの入り口。



cafebar&guesthouse ennova:18:00開店とあったので外観だけ写真を撮っていたら、たまたま在店していた優しいオーナーさんが展示作品を見せてくれた。



熱海の隠れ里:入り口はわかりやすいけれど、中に入ってもどこに展示しているのか書いてない。



創業1806年の古屋旅館:路地裏にフレスコ壁画の駐車場があった。大浴場の跡地だそうで。



通りすがりに見つけた異界に行けそうなトンネル「東山洞」。



通りすがりに羊羹を買った大正7年創業の和菓子屋ときわぎ。



海が見たい人の散歩道、熱海親水公園。


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浮世絵ジェネレーター

2020-07-18 20:37:12 | 美術[あ]
東京都美術館で開催される「The UKIYO-E 2020 -日本三大浮世絵コレクション」にちなんで作られた「浮世絵ジェネレーター」

私も、じぇねれいと!してみた。


【なんて日だ!】


【夏まつり】


【三密】


【家族】



背景やパーツに限りがあるので、そのうちすぐ飽きるだろうけれど、ちょっとオモロイ!

肝心の展覧会のほうは、7月23日から開催されるようだが、コロナ・セカンド・インパクトみたいな状況になってきて、県境をまたいで上野に行く勇気が出ない今日この五郎、いってぇどうすればいいんだぃ?
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オランジュリー美術館コレクション

2019-09-23 08:01:36 | 美術[あ]

「横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」@横浜美術館

 パリのオランジェリー美術館から印象派とエコール・ド・パリの作品約70点が来日。オランジェリーの所蔵品は146点だそうで、その半分が来ていることになる。アルフレッド・シスレー、クロード・モネ、オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、アンリ・ルソー、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニ、キース・ヴァン・ドンゲン、アンドレ・ドラン、マリー・ローランサン、モーリス・ユトリロ、シャイム・スーティンの13人のアーティストの作品が来ている。画商ポール・ギヨームのコレクションだが、私邸を美術館にするという夢を叶える前に若くして死んでしまったようだ。

 シスレー、モネ、ヴァン・ドンゲンは各1点だけなのに、オーギュスト・ルノワールが8点、シャイム・スーティンが8点、アンドレ・ドランが13点と、画家によって展示数はまちまち。ピアノの音色が聞こえそうな躍動感に満ちた構図のルノワール《ピアノを弾く少女たち》は展覧会の"顔"になっている。それに引き換え、いや違う、それなのに、いや違う、そんな作品たちの中で、私の心はアンリ・ルソーに持ってかれた。旅をしたこともなく船に乗ったこともないというルソーが想像だけで描いたという《嵐の中の船》、犬だか狼男だかわけのわからない生き物と一緒にみんなで正面向いて馬車に乗っている《ジュニエ爺さんの二輪馬車》、花嫁が空中浮遊しているに違いない《婚礼》、やや赤面したおっさんのこけしを大事そうに抱いた険しい顔つきの《人形を持つ子ども》など、まるでキング・オブ・コントみたいな絵が並んでいる。ある時は《蛇使いの女》のように神秘的でかっこいい絵も描いたルソーのホントを見た気分になれる。

 
 
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インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史

2019-02-25 21:28:22 | 美術[あ]
インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史」@埼玉県立近代美術館

 設計はしたけれど、なんだかんだの明神下で、完成に至らなかったアンビルトの建築を集めた展覧会。最近で言えば、コンペに勝ったのに、いいかげんな見積もりのために予算がゴム人間のように膨れ上がって諦めたザハ・ハディドの《新国立競技場》がある。コンペで落選したプロジェクト案などもいろいろ展示してある。

 ウラジミール・タトリンの《第3インターナショナル記念塔》はいろんな美術展で何度か見ていてちょっとお気に入り。高さ400mの意味不明な鉄骨建造物。そんな記念塔をリアルに再現した長倉威彦のCG映像も、不安げな妖しげなBGMと相まって不思議な雰囲気に浸れる。


 荒川修作+マドリン・ギンズによる《天命反転の橋》はフランスの案件、10メートル以上ある巨大な模型が展示されている。養老天命反転地と似たような荒技で、この橋は、しゃがんだりすり抜けたりというアクロバティックな身のこなしをしないと渡れないらしい。そんな橋が採用されるわけがないぜ。

 ぜんぜん建築家ではない会田誠と山口晃のゴールデンコンビによる都庁案はもちろんバカ建築物件だけど楽しそう。都庁がこれだったら観光客が2割増えるかも。

 今回最高のインパクト物件はマーク・フォスターゲージの《ヘルシンキ・グッゲンハイム美術館》の映像。フィンランド政府に資金がなくて実現しなかったらしい。でもその外観は妙ちきりんなオブジェが湧いた悪夢の塊みたいなバカ建築物件。





ずいぶんひさびさに訪れた埼玉県立近代美術館。駅から近くて便利。












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旧博物館動物園駅の公開

2018-12-03 19:00:32 | 美術[あ]
上野 旧博物館動物園駅の公開 「アナウサギを追いかけて」

 1997年まで稼働していた京成電鉄旧博物館動物園駅が21年8か月ぶりに目覚めた・・・えっ?そんなに昔でもないじゃん!でも京成沿線住まいではなかったし、京成ライナーの終点は京成上野駅だよね。博物館だろうが動物園だろうがJR上野駅やメトロ上野駅から歩いて行くくらいしか考えてなかったので、この駅を使用したことが無いまま廃駅になってしまっていた。ただ国会議事堂の頭が地面から生えたようなその佇まいだけは以前から気にはなっていた。東京都選定歴史建造物に選定されているようだ。

 その中に入ることができた。先週の11時に行ったら既に整理券配布が終わっているという悲劇に見舞われたので今回は10時よりだいぶ前に行って無事に整理券ゲット。改札やホームまでは行けないが、ガラスドア越し階段の下の方に切符売り場が見える。なるほどこんな所だったのかと、使った事も無いのにノスタルジーに耽ることはできる。




 その中で現在アーティスト(羊屋白玉/サカタアキコ/森健人)による「アナウサギを追いかけて」というユルい展示が行われている。地面に潜り込もうとする巨大ウサギは外からも見える。




 階下のガラス扉にはメッセージを書き込めるようになっている。「毎日ここから通っていた」という人も当然いる。そういう人は感慨一入だろう。




上野の紅葉





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安藤忠雄展 挑戦

2017-10-08 23:42:33 | 美術[あ]
「安藤忠雄展 挑戦」@国立新美術館

 模型や設計図などの資料で見る安藤忠雄の作品を展示している。コンクリート打ち放しだけでなく、いろいろな顔が見られて興味深いんだけれど、裏庭に出るとあらびっくり!大阪府茨木にある「光の教会」を原寸で再現してある。すげえ金かかってる展覧会だなぁ。あまりにも凄すぎて「何やってんだよぉ!」と注意したくなるくらいだ。会場内はほとんど撮影禁止だけれど、光の教会は撮影可能となっている。小さい子供なら通り抜けられちゃう十字架が光り輝く教会はかっこいいけれど冬は隙間風が入ってきて寒そう、夏は毒虫が入ってきて痒そう。

 大阪府の中之島プロジェクトII - アーバン・エッグは計画案だけで実現しなかったようだが、中之島にある大正時代の堂々とした大阪市中央公会堂の中に巨大なゴジラの卵みたいなものを組み込んである。その異種格闘技感はこの世のものとは思えない情景を生み出していて妙にワクワクする。実現してほしかった。




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運慶展

2017-10-03 21:37:18 | 美術[あ]
「運慶」@東京国立博物館

 運慶の作と言われている仏像はたったの31体しかないらしい。フェルメールより少ないぞ。今回はその中から22体が東博に集合している。とはいいながらも、重源上人坐像は10月7日から、浄楽寺の阿弥陀三尊は10月21日から遅参するようだ。開幕後初の日曜日13:00頃の平成館は特に待ち行列もなく、にぎやかなれどもまったりと観覧できた。

 円城寺の大日如来に迎えられて会場に入ると仏像だらけ。運慶だけでなく康慶、湛慶、康弁などの作品もあるし、関連する巻物や像内納入品なども展示されている。私の家からいちばん近い運慶スポットは伊豆の国市にある願成就院。ここにある毘沙門天立像はかっこいい。顔もフェイスケアしてるかのようにつややか。今回も来ている。

 愛知県の滝山寺の聖観音も来ている。ここの聖観音と梵天と帝釈天は鮮やかに彩色されている。明治時代に彩色されたようだが、やっぱりカラフル仏像は楽しい。ただあまり派手にカラフルだと胡散臭い雰囲気がプンプンしてしまうので普通はちょっと引くんだけれど、滝山寺はOK。行ったことはないが以前、金沢文庫で3体を見た。

 他にもBig Head Only Youな興福寺仏頭や、子供顔が特徴的な八大童子、リアルなお爺さん無著&世親、金沢文庫のミニミニ大威徳明王など、お馴染みの運慶仏が林立している。無著&世親はお爺さんなのにデカい。いや、お爺さんじゃなくて菩薩か。

 本館14室にも「運慶の後継者たち―康円と善派を中心に」として慶派の仏像が展示してあるから、ついでに見ていったほうがいいよ。ひさしぶりに本館1階を歩いていたら通路の所々にガラスの扉が設置されていた。なんか新鮮。

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アルチンボルド展

2017-07-09 21:21:23 | 美術[あ]
「アルチンボルド展」@国立西洋美術館

 アルチンボルドというとだまし絵展でお馴染みの変な画家のイメージがある。ただ大抵、1~2作ぐらい展示されるのが関の山なので、そういうだまし似顔絵の作品は数少ないのだろうと勝手に思っていた。でも今回はちょっと多めにアルチンボルド。「ジュゼッペ・アルチンボルドにもとづく」「ジュゼッペ・アルチンボルドに帰属」「ジュゼッペ・アルチンボルドの追随者」「ジュゼッペ・アルチンボルド(?)」なども含めていろんなアルチンボルド絡みの作品がおよそ100点のうち25点ほど展示されている。

 いろいろな物体を組み合わせて人間の顔を作り上げるだまし絵は、歌川国芳の「裸のおっさんを寄せ集めたとんだ変な人シリーズ」を連想させる。でもあそこまでお茶目な描き方とは違って、組み合わせる物体は緻密に表現されている。だから近寄ってみるとリアルな鳥獣花木魚の集合体で興味深い。しかしそこから目を遠ざけていくと人間の顔の形が現れる。その途端「うぇっキモ!」という気分に方向転換してしまう。花や果実ならまだ許そう、魚はかなりヤバい。鳥や動物もエグい。樹木ならいいかというとマタンゴみたいな木人みたいな、それはそれで不気味じゃ。

 ひっくり返せば別なものに見えるだまし絵もアイデアは面白い。ボウルにてんこ盛りの野菜の絵が、ひっくり返すと帽子をかぶったでっぷり太ったおっさんになる。こういう絵は目の前でひっくり返して、相手が驚く様子を見て「うっひっひっひ」と楽しむ画家の遊び心が全面に出ている。アルチンボルドは宮廷画家だったわけで、こういう絵を披露された皇帝たちは寓意とか繁栄とかいう事は抜きにしてもけっこう楽しんでいたんだろうなぁ。


 会場入り口にはアルチンボルドメーカーで来場者の顔から或る珍顔を作り出すコーナーがある。やってみたらわけのわからない塩梅になってしまった。


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宇宙と芸術展

2016-07-31 21:07:27 | 美術[あ]
「宇宙と芸術展 THE UNIVERSE AND ART」@森美術館

 「宇宙」というものをテーマとした展覧会って聞くと豪快にスルーできないダメなワタシね♪、初っ端は曼荼羅が登場、世界観、イメージとしての宇宙から、宇宙人ってどうなの? とか、かぐや姫って宇宙人なの? とか、江戸時代に描かれた宇宙船っぽいヤツ! とかいう切り口。かと思えば、ブラックホールって? 宇宙空間って? 未来の宇宙旅行はこうなる! とか、宇宙エレベーターがこうなる! とか、スペースシャトルとか、隕鉄から造られた流星刀とか。ってもう、宇宙に関連付けられるものなら何でも混ぜちゃおうって感じの、宇宙ネタバトルみたいな、宇宙モノボケみたいな、宇宙夏まつりみたいな、なんかそんな感じの展覧会である。 おまつりの出店を覗き回っている気になればいいかな。写真撮影可能なエリアもあるよ。チームラボの八咫烏が飛び回る映像体験インスタレーションも浮遊感満点で楽しめる。
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エッシャーの世界展

2016-07-17 22:44:27 | 美術[あ]
「エッシャーの世界」@静岡市美術館

 計算高いだまし絵でお馴染みのエッシャーの展覧会。今回はエッシャーが影響を受けたという、建築装飾美術大学の先生である版画家サミュエル・イエッスルン・ド・メスキータの作品17点を含めた全110点を展示している。言うのも馬鹿馬鹿しいくらい有名なアレやコレやのトロンプルイユ作品はもちろんのこと、初期の板目木版作品や、イタリア周遊で作成したリトグラフなどの風景版画なども展示している。この辺りの風景版画は真面目に美しく超絶技巧で仕上げてあるのだけれど、どこかにだまし絵の要素があるのではないかと勘ぐってしまいそうな不可思議な魅力に溢れている。この展覧会は高松 → 茨城 → 静岡と巡回してきて最後は札幌に行くらしい。

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馬鑑 山口晃展

2016-05-22 23:14:02 | 美術[あ]
「馬鑑(うまかがみ) 山口晃展」@馬の博物館

 根岸競馬場のあった場所ということで、山口晃の馬絡みな作品を展示している。広くはないけれど、博物館所蔵の江戸時代の屏風やら室町時代の兜やら馬頭観音やらと一緒に展示されている山口作品は古さを感じさせない、じゃなくて新しさを感じさせない、じゃなくてなんだろ? 「あの屏風は何年の作品かな?」と思って近づいたら江戸時代のヤツだったりして。

 《當世おばか合戦》でエロビデオを見ている兵士を見つけたり、マンガみたいにバッテンな目を回して倒れている兵士を見つけたり、《厩圖2004》で男色に染まろうとしている少年を見つけたり、《大山崎交通乃圖》で高速道路を走る馬イクを見つけたりしながら、行列に並ぶこともなく見て回るひと時。展覧会はこうであるべきだ。

 新作《厩圖(うまやず)》の披露もあるということで期待している人もいるだろうが、いつものことで未完成、というか、いつもに輪をかけて未未未未完成である。下書きに27本毛が生えた程度である。展覧会は5月29日で終了なのだが、あと1週間で劇的な進展が見られる可能性は、針の穴に馬糞をむにゅって通すくらい考え辛いものである。但し乾燥させた場合はこの限りでない。ということなら、会期ぎりぎりまで待って新作の出来上がり具合を見に行こうなんていう姑息な計算は必要ないので、今すぐにでも行けるうちに行ったとしても大して変わらないことになる。でもあと1週間なので、今更そんなことを言っても遅いのだ。


 馬の博物館の裏手には広大な根岸森林公園があり、初夏を思わせる好天の中、たくさんの人々が遊び戯れている。その先には廃墟となった横浜競馬場(根岸競馬場)一等馬見所跡がSFチックに妖しげに聳え建っている。夜中に見るとコワそうな雰囲気、現在はフェンスに囲まれて立ち入り禁止になっている。

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大原美術館コレクション展

2016-02-09 22:00:11 | 美術[あ]
「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」@国立新美術館

 倉敷の大原美術館、いつか行ってみたいと思いながら未だに行けてない。やっぱりあの本館の「ギリシャかよ!!」と突っ込み入れたくなるくらいギリギリしている荘厳な外観が気になる存在。でもあまり詳しく調べてなかったので、大原美術館があの本館のほかに、分館、工芸・東洋館、児島虎次郎記念館、有隣荘があって美観地区の堀を囲んでいると初めて知った。これだけで1日楽しめそう。

 有名な作家の作品が147点、かなり見ごたえがある展覧会。セザンヌ《風景》、デ・キリコ《ヘクトールとアンドロマケーの別れ》、国吉康雄《飛び上がろうとする頭のない馬》、児島虎次郎《和服を着たベルギーの少女》、佐伯祐三《広告"ヴェルダン"》、福田美蘭《安井曾太郎と孫》、花沢武夫《レッツ グルーヴ(聖アントワーヌの誘惑)》など好きな作品もたくさん。

エル・グレコ《受胎告知》
 パリの画廊でたまたま売りに出ていたのを見てかなり高額で買ったという逸品。児島虎次郎がたまたまそれを見かけなかったらこの作品は日本に来なかったはず。ルーヴルとかどっかその辺の持ってて当然というような美術館に収蔵されていたのだろう。ポールマッカートニーが女装したような顔の聖母マリアが印象的。


フェルディナント・ホドラー《木を伐る人》
 右上端の斧の刃から、左下端の木の切り口まで、対角線に振り翳した男の躍動感が、わざとらしいといえばわざとらしいけれどかっこいい。


ジャクソン・ポロック《カット・アウト》
 独特の絵の具たれ散らかしキャンバスを何を思ったのか、人型っぽく切り抜いてしまったポロック。それで何かしようと思ったらしいが、仕上げる前に交通事故で死んじゃったポロック。あとに残されたのは意味不明に切り取られた未完成作品。それを見た奥さんは「あんた何したかったのよぉ、もう、切らなけりゃ高く売れるってぇのにさ、切って死ぬこたぁないじゃんよぉ、んんん~、もうしょーがない、これでも貼っとこ」てなわけで真ん中の白地は奥さんが勝手に裏から張り付けて完成させたんだってさ。

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オスカー・ニーマイヤー展

2015-09-05 19:30:17 | 美術[あ]
「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」@東京都現代美術館

 オスカー・ニーマイヤーについて知ってる事と言ったら、ニテロイ現代美術館というUFOみたいな建築を造ったことだけ。いろいろな建築雑誌などで紹介されていたので印象に残っていた。しかし他にもブラジリアに沢山の物件を建てて、ブラジルの名を世に知らしめた結果、ブラジリアそのものが世界遺産に登録された。会場には建築模型の他に、縮尺30分の1で作られたイビラプエラ公園の模型があり、観覧者は靴を脱ぎ、模型の上を歩き回ることができる。建築展のくせに子供でも楽しめそうな展覧会になっている。一部を除いて写真撮影も可能。ニーマイヤーは2012年に104歳で永眠。建築家って長生きするのだなぁ。
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