台湾風俗誌第6集
第1集 台湾人の一口噺
第1節 鼻影を棗(なつめ)となす
近視眼者あり、某家に客たり、主人饗するに茶を以ってす、客、茶碗底中、己(おのれ)の鼻影の映ずるを見て誤りて橄欖(かんらん;オリーブに似た木ノ実;カンラン科 Burseraceae Kunth)となし、撈模(ろうもう;探り取ること)として已(や)まず、之(これ)を久うして忿り極り(いかりきわまり)、乃(すなわ)ち指を以って撮(つま)み、力に任して之を咬む、指忽ち(たちまち)破れて紅血流る、客、仔細に之を視て曰く、吾れは只た橄欖なりしと思ひしに、原と是れ一個の紅棗なりしかと説くに理(ことわり)を以ってし、喩(さと)すに情を以ってするも尚且(なおか)つ頑迷悟らざるの徒、将(はた;また。あるいは。)此の近視の客の類のみ
【現代語訳】鼻影をナツメとする。
近眼の人がお茶に呼ばれてある御宅に行きました。ご主人が入れてくれたお茶を楽しんでいたら、茶碗の底にカンランという名前の木の実が底に沈んでいる、指でつまんで食べようとするけれど、なかなかうまく掴めない、それもそのはず、だって自分の鼻影が茶碗に写っていてそれが木の実に見えてたのさ。そのうちイライラして来てついに力一杯に茶碗の底に指を入れると、指が茶碗にぶつかって血が出たよ。それでも「自分はカンランの木の実だと思っていたけど、これは紅いナツメの実ですか?」と聞くので主人はいろいろ説明したんだけど、なかなか近眼のお客は頑迷に自分の意見を変えなかったとさ。。。って痛くなかったの⁉
一、以鼻影為棗
有個大近眼、到親友家去作客,主人用茶水來招待他丶不料客人竟把茶碗底上的鼻影誤會成昰一顆大紅棗。於是就準備撈來吃,可是撈了很久也沒撈上來,最後就很急躁的用手來撈,結果竟被他 「撈」 上來了,於是就使勁用嘴來咬,不料竟把手指咬得鮮血淋漓,這時他就氣急敗壞的説⋯ 『我蠻以為是一顆大紅棗,原來竟是一顆大橄㰖。』 其實他咬的既不是橄欖也不是紅棗,而是自己的手指頭,比喻頑迷不知醒悟之徒。
第1集 台湾人の一口噺
第1節 鼻影を棗(なつめ)となす
近視眼者あり、某家に客たり、主人饗するに茶を以ってす、客、茶碗底中、己(おのれ)の鼻影の映ずるを見て誤りて橄欖(かんらん;オリーブに似た木ノ実;カンラン科 Burseraceae Kunth)となし、撈模(ろうもう;探り取ること)として已(や)まず、之(これ)を久うして忿り極り(いかりきわまり)、乃(すなわ)ち指を以って撮(つま)み、力に任して之を咬む、指忽ち(たちまち)破れて紅血流る、客、仔細に之を視て曰く、吾れは只た橄欖なりしと思ひしに、原と是れ一個の紅棗なりしかと説くに理(ことわり)を以ってし、喩(さと)すに情を以ってするも尚且(なおか)つ頑迷悟らざるの徒、将(はた;また。あるいは。)此の近視の客の類のみ
【現代語訳】鼻影をナツメとする。
近眼の人がお茶に呼ばれてある御宅に行きました。ご主人が入れてくれたお茶を楽しんでいたら、茶碗の底にカンランという名前の木の実が底に沈んでいる、指でつまんで食べようとするけれど、なかなかうまく掴めない、それもそのはず、だって自分の鼻影が茶碗に写っていてそれが木の実に見えてたのさ。そのうちイライラして来てついに力一杯に茶碗の底に指を入れると、指が茶碗にぶつかって血が出たよ。それでも「自分はカンランの木の実だと思っていたけど、これは紅いナツメの実ですか?」と聞くので主人はいろいろ説明したんだけど、なかなか近眼のお客は頑迷に自分の意見を変えなかったとさ。。。って痛くなかったの⁉
一、以鼻影為棗
有個大近眼、到親友家去作客,主人用茶水來招待他丶不料客人竟把茶碗底上的鼻影誤會成昰一顆大紅棗。於是就準備撈來吃,可是撈了很久也沒撈上來,最後就很急躁的用手來撈,結果竟被他 「撈」 上來了,於是就使勁用嘴來咬,不料竟把手指咬得鮮血淋漓,這時他就氣急敗壞的説⋯ 『我蠻以為是一顆大紅棗,原來竟是一顆大橄㰖。』 其實他咬的既不是橄欖也不是紅棗,而是自己的手指頭,比喻頑迷不知醒悟之徒。