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randomnote

日記。

第3節 男子系統主義 succession in the male line.

2009年08月31日 | 台湾風俗誌
第3節 男子系統主義
何れの國の人と雖も出生を慶び、子孫を愛し、其増殖繁栄を希ふは人類の通常なり、特に支那(原文ママ)人種に於いて其甚だ深きものあり、その亜流たる台灣人に於いて亦異なる所なし、之れ古来より宗祧継承(ソウテウケイショウ)及び祭祀(サイジ)の制度を重んじたるに起因すべきも亦原則としては系統主義にして其系統に非ざるものはその宗祧を祭を得ず且つ男系主義にして宗を承け祭を継ぐものは必ず男子なり又嫡長主義にして長を尊び幼之に次ぐ直系主義にして父の後を襲ふものは子、この後を襲ふものは孫ならざるべからずと云ふに起因するものなるべし、然して婦女懐胎するときは常に孕婦の身體を安静にし精神に異常の感動を与え身體に過度の労を与ふるが如きを戒む、昔は儒教の教義より胎教と称し、古人の教育を重んじ、胎内に在るときより已に其端を開く教育、即ち擧止端正(きょしたんせい)にその見聞する所悉く禮(レイ)に合しむる等の事ありしも今の台湾に於いては見る能わざる事なり

第1集

2009年08月28日 | 台湾風俗誌
台湾風俗誌第1集

第1章 台湾人の出産
第1節 病囝(ビイキア)
夫人の懐胎の始めを病囝と称す、これ内地の「つわり」なり、病囝婦人の身体生理状態は内地婦人の「つわり」と異なる所なく、唾液は頻(しき)りに出て酸味を欲し時々頭痛あり、又悪寒嘔吐を催し心気万時に懶き(ものうき)など皆同じ。

第2節 迷信
病囝より臨月に至るまでの間衛生上の注意として別に記すべきことなし、只迷信的注意二三あり、胎児は胎なる神の支配を受け居るものなれば若し此の怒りに触れるる時は胎児を奪われると云う、此の胎は姙婦の居住する家屋内に在りて或る時は箱、ある時は桶、籠等何れの處に居るや一定せず、若し不知の間に妊婦之れに触るる時は胎怒りて妊婦を病ましむ、此の時妊婦は道士と称する祈祷者を呼び来たり「安胎」と称する祈祷をなす。道士は病囝者(妊婦の枕邊)にて鉦笛を鳴らし数時間読経し後ち符(ふ)と称する呪文書きたるものを床柱或いは門柱に貼布し、尚ほ呪文を唱へつ、湯又は水を飲ましめ、之を以て胎去り、胎児安全を得たるものとなす風あり、又「換斗(オアタウ)」という語あり、
已(すで)に懐胎せる胎児を祈祷の結果女子又は男子に変胎せしむるものなりといふ、その法先ず「青瞑(セエメエ)」と称する盲目の祈祷者又は道士に請ひ、米桝に根のある芙蓉花を植え祈祷者とともに神廟に持ち行き、牲醴香燭を供へ、道士神前にて読経し、婦人はその傍らに香を焚き紙を焼き(銭紙と称するもの)三跪九拝し心中に換斗(オアタウ)(變胎)を祈り、数時にして家に帰る、其れより三日間室内に於いて祈祷を継続し、後芙蓉花を庭前に植え以て變胎し終わりたるものなりと云う、此の時詣づる廟は臨水婦人廟(リムツイフジンビオ)又は「註生娘娘[ツウシイニウニウ」の廟にしてこれ等の神は胎児を授くるの神なりと云う、妊婦室内に於いて物品を縛するときは手足湾曲せる俗に茗荷児(ミョウガジ)なるものを生ず、又剪刀を以て鋏む時は無耳児(ムジジ)生じ、錐又は針にて物を貫けば盲目児(モウモクジ)物を焼けば(ショウランジ)、傀儡戯を見れば無骨児(ムコツジ)牛を牽く縄を跨ぐときは十二箇月にして児生まれ、喪家の演出したる芝居を看れば不吉なりと云う、又夜間外出すれば黒虎神に觸れ必ず凶あり、盂蘭盆会の時妊婦の腰桶を庭前に露出するときは普度公(ポオトオコン)の怒りに觸れ凶あり、死人の棺に觸るれば児夭折すると云う(その他迷信の部参照)

(うーん、これは家事をやらせない為の知恵かもしれないね。)