臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

「角川『短歌』2017年9月号」より

2017年10月11日 | 古雑誌を読む
「第四八五回『角川歌壇・安田純生選』」より

○  老いの身はどぎまぎしますこんなにも医師看護師の愛想がよくて   徳島県・新井忠代

○  亡き父の二十の日記の片思ひ相手がははで母も安堵す   愛知県・池田あつ子

○  鶯の初鳴きよりもめずらしき子供の声に窓開けて見る   千葉県・藤井京子

○  物忘れを相談すれば医者笑う「前よりいいよ様子みましょう」   茨城県・小野瀬壽

○  これはおそらく夢なのだけど腹満たすためにもたもた小銭かぞえて   愛知県・江口美由紀

○  母詠みし短歌はたつた四十五首父亡き後の寂しさを詠む   栃木県・栗田準子

                    (以上六首・特選)

○  伊勢海老のような翁がオートバイにまたがり腰のぴんとのびたり   和歌山県・久保みどり

○  テレビ消しひねもすグータラしておればミサイル発射を夜まで知らず   愛知県・園部淳

○  自由とは孤独でもある父さんよ私は誰にも抱かれぬつもり   福岡県・大石聡美

○  瓜坊の先頭転べば二頭目はぶつかり三頭目は避けてゆく   長崎県・田中光子

○  球児らの気合の声に満開の桜も恐れ花びら散らす   埼玉県・小柳好弘

○  退職を水槽の亀に告げたれば頭もたげて息ひとつ吐く   大阪府・後藤明子

○  デイケアの壁いちめんに銀紙の鰯泳げり目刺しも泳ぐ   神奈川県・川辺一穂

○  稀に飲み妻は必ず「甘口ね」さうでなくても我は頷く   群馬県・熊澤峻

○  紫陽花はキレイに泣くと君は言うぐちゃぐちゃ顔の我に苦笑し  福岡県・西岡ともみ

○  房総のぽっくりぽっくりした山に淑女のごとく藤の花咲く   千葉県・川﨑富子

                    (以上十首・秀逸)      






































































むより


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