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聖徳太子の心掛け──平和は正直から生ず

2016-06-21 17:59:05 | 知恵の情報
聖徳太子は用明天皇の皇子で、厩戸皇子(うまやどのおうじ)とも申し上げ、幼時から
なかなか聡明であった。用明天皇はあるとき、その皇子の知恵をためそうそされ、
伴って庭の桃の花をご覧になり、
「そなたはこの桃の花の紅いを美しいと思うか、またはこちらにある松の緑を美しいと
思うか」と尋ねられた。すると厩戸皇子は、
「紅の桃の花は美しゅうございますが、やがて散るもの。それにひきかえ松の緑は
一年中色が変わりませぬから、私は桃の花より松の方がすきです」
皇子のこの答えに、天皇は驚かれると共にそのさかしさを喜ばれ一層ご寵愛にな
った。

またあるとき、他の皇子たちと庭で騒々しく口論のことがあり、天皇はそれを聞き
とがめられて、こらしめの鞭を持って縁先に立たれたことがある。このとき他の皇子は
いち早く逃げ去ったが厩戸皇子のみは残った。
「そなたはなぜ逃げぬか」
と仰せの父天皇に、皇子は
「たとえ逃げましたところで、天へも昇れず、地へももぐれません。それよりは正直
にお鞭をいただきたいと思いまして、ここにいるのでございます。」
皇子はそういうと、一礼した。天皇の鞭がその頭へ及ばなかったことはもちろん、
その毅然とした正直な態度を大変お褒めになった。

この正直の心掛けが、四季に変わらぬ松の緑のように、聖徳太子の一生を支配
したのかもしれない。そういえば、太子の定められた「十七条憲法」には正直という
ことと、平和ということが主に諭されているのに気がつく。まったく、平和というものは
正直から起こるものである。それは、家庭の場合でも、職場にあっても、さらに大きく
国際間にあってもかわらない。

─『一日一言 人生日記』古谷綱武編 光文書院より

「冠位十二階」の最初に徳がきていて、智(知)が最後にあるのが興味深い。
人は、世の中は、知の世界である。しかし、人間の徳を重んじていることが
どんなに大切かということがわかる・・・
「徳・仁・礼・信・義・智」の儒教の徳目

 

 





(エル・レグシェリル─聖徳太子─エンゲル/ブリアン)


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