劇団ぷにぷにパイレーツ座長日記

劇団ぷにぷにパイレーツ座長・石崎一気が、演劇、パントマイム、音楽等、舞台芸術の情報を、毎日発信!

マクベス

2012-04-05 07:31:07 | 演劇
必要があって、シェイクスピアの「マクベス」を、久し振りに読み直しました。
物凄いですね!
何が凄いって、あのセリフ量です。
オリジナル脚本のまま上演したら、一体、何時間掛かるんでしょう?
役者は、どうやって覚えるのでしょう?
それでも、「マクベス」はシェイクスピア作品の中では、短い方なんですけどね。

改めて思ったんですけど、シェイクスピアって、完全なセリフ劇ですね。
すべてがセリフで説明されています。
もし、役者全員が棒立ちで朗読のように演じたとしても、十分成立する筈です。
観客には全情報を言葉で開示し、真実が隠されることは一切ありません。
その為、伏線は引かれず、ラスト近くになって突然重要な情報が明らかになったりします。
(特に、「マクベス」の幕の引き方は納得いきません!)
セリフの素晴らしさは文句なしですが、作劇術としては何とも古臭い感じがしました。
「シェイクスピアを批判するなんて、何様のつもりだ!」と怒られそうですが…。

僕は、脚本を書く時、出来るだけセリフを減らしたいと思っています。
可能な限り肉体で表現し、それでは伝え切れない部分を、セリフに託す形にしています。
そういった意味で、シェイクスピアは、僕の目指すスタイルとはまったく異なっています。
ただ、セリフを書いていると、ついつい長くなってしまうのも事実です。
油断すると、心の動きを、全部、言葉で説明したくなってしまいます。
ましてや、シェイクスピア風のカッコいいフレーズを思い付いた時は、最高の気分になります。
しかーし、そこはグッと我慢です。
うっかり書いてしまったら、容赦なくカットしなくてはなりません。
劇作家の独りよがりのセリフは、観客にとっては大迷惑なんです。
「劇作家の存在を、舞台から如何に消すか」が、作劇において非常に重要だと僕は考えています。

演劇に馴染みのない皆さんは、「シェイクスピアこそ演劇」と思っていらっしゃるかもしれません。
確かに、本で脚本を読むなら、シェイクスピア作品はとても分かりやすいのは事実です。
でも、舞台での上演を見るなら、他にもお薦めしたい劇作家が沢山います。
今後、折を見て、ご紹介していきますね。