劇団ぷにぷにパイレーツ座長日記

劇団ぷにぷにパイレーツ座長・石崎一気が、演劇、パントマイム、音楽等、舞台芸術の情報を、毎日発信!

IT

2017-11-07 07:18:38 | 映画
”IT”と書いてあったら、”アイティー”と読む人の方が多いかもしれませんね。
しかし、ホラー好きの僕は、まず、”イット”と読んでしまいます。

「IT」は、モダン・ホラー小説の帝王、スティーヴン・キングが1986年に発表した代表作です。
その「IT」が久々に映画化されたので、見てきました。
タイトルは、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」!

一見、平和で静かな田舎町を突如、恐怖が覆い尽くす。
相次ぐ児童失踪事件。内気な少年ビルの弟も、ある大雨の日に外出し、通りにおびただしい血痕を残して消息を絶った。
悲しみに暮れ、自分を責めるビルの前に、突如“それ”は現れる。
“それ”を目撃して以来、恐怖にとり憑かれるビル。
しかし、得体の知れない恐怖を抱えることになったのは、彼だけではなかった。
不良少年たちにイジメの標的にされている子どもたちも“それ”に遭遇していた。
自分の部屋、地下室、バスルーム、学校、図書館、そして町の中……。
何かに恐怖を感じる度に“それ”は、どこへでも姿を現す。
ビルとその秘密を共有することになった仲間たちは“それ”に立ち向かうことを決意するのだが…。
真相に迫るビルたちを、さらに大きな恐怖が飲み込もうとしていた…。

この際、ストーリーはどうでもよろしい!
この映画、僕がことし見た作品の中では、文句なしにナンバーワンです。
とにかく、演出が素晴らしいんです。
緊張感のないシーンは、1秒たりともありません。
化け物が出る怖さだけでなく、登場人物たちが心に抱える闇の恐怖を、見事に映像化しています。
そして、なんといっても、”それ”の登場シーンが抜群です。
一体、何パターンの登場があったのでしょうか?
良くあれだけアイディアを思い付くものだと、感心してしまいました。
しかも、映像が美しいんですよね!
下品で汚らしいホラーなんて、最悪です。
日本の怪談だって、幽霊は必ず美形でしょ?
恐怖は美とセットでなければならないんです。
その点、「IT」は申し分ありません。

「IT」を鑑賞された僕以外のお客さんも、大満足だったようです。
上映中、映画館の椅子が揺れる、揺れる!
後ろの席の人が、思わず、僕の椅子を蹴ってしまう!
「やめてー!」という声が、方々から聞こえてくる!
そして、絶叫!絶叫!絶叫!
上映終了後、「俺は全然怖くなかったよ」と彼女に語っている男性を多く見かけましたが、恐怖の裏返しだと思います。
これだけ、お客さんが画面に集中している映画は久しぶりです。

ホラー好きの皆さん!
こういう作品は、映画館で見なければ勿体ない!
是非、劇場でご覧ください!

ドント・ブリーズ

2017-01-03 08:10:28 | 映画
正月三が日、皆さんは、どのようにお過ごしでしょうか?
もし暇を持て余しているようなら、ぜひ、ご覧頂きたい映画があります。
タイトルは、『ドント・ブリーズ』!
リメイク版『死霊のはらわた』のフェデ・アルバレス監督による、全米で大ヒットを記録したショッキング・スリラーです。

養育放棄の両親から離れ、妹を連れて街を出ることを夢見る少女ロッキー。
必要な逃走資金を得るため、友人2人と共に、地下室に大金を隠し持っているらしい全盲の老人の家に強盗に入る。
しかし、老人はどんな音をも聞き逃さない聴覚を持つ上に、腕力があり、人殺しも厭わない危険な男だった!
真っ暗にされた家の中で、ロッキーたちはどんどん追い詰められ…。

要は、亡霊やゾンビが出ないホラー映画です。
「迫りくる恐怖からいかに脱出するか?」という物語にすぎません。
しかし、それが本当に素晴らしい!
僕が去年たくさん見た映画の中で、ダントツのナンバーワンです。

まず、ストーリーの作り方が見事です。
ダレ場が一切なく、約90分間、ずっと緊張感が持続します。
また、カメラ・ワークが良いんです。
僕は、見ている間に、何度もその見事さに「うーん!」とうなってしまいました。
特に素晴らしいのが、伏線の張り方です。
すべての事象には理由があって、それがさりげない形で事前に紹介されているのです。
そして、ラスト・シーンの嫌な感じといったら、絶品です!
「こんなに丁寧かつ緻密に作られている映画があったんだ!」と、感心することしかできませんでした。

もちろん、ホラーとしてのクオリティも一級品です。
周りで見ていた女の子たちは、みんな震えあがってしまって、上映が終わった後、しばらく立ち上がれなくなっていました。
怖い映画が苦手な人は見ない方が良いとは思いますが、見逃すのはあまりに惜しい!
特に、”ぷにぷにパイレーツ”の作風がお好きな方なら、絶対に気に入ると思いますよ。
ただ、お正月には最も似つかわしくない作品ではありますが…。

シン・ゴジラ

2016-07-28 07:23:17 | 映画
僕は、滅多に日本映画を見ません。
しかし、これだけは見ておきたいと思う日本の作品が、あす・29日に公開されます。
海外作品を除けば、ゴジラ・シリーズ12年ぶりの新作となる「シン・ゴジラ」です。

「エヴァンゲリオン」の庵野秀明さんが脚本・総監督。
「進撃の巨人」の樋口真嗣さんが監督・特技監督を務めたということで、すでに世界中から注目を集めています。
しかし、僕が関心を持ったのは、そんな理由ではありません。
「シン・ゴジラ」の重要な舞台となっているのが、僕の家のごくごく近所なのです。

封切りを前に公開された予告編には、川崎市中原区の高層ビル群に出没したゴジラが映し出されています。
川崎市によりますと、約1年前に、製作者側から市内でのロケへの協力依頼があったそうです。
昨年夏から秋にかけて、武蔵小杉周辺で実景が撮影されたということです。
今回のゴジラは体長118・5メートルと史上最大で、武蔵小杉周辺の高さ百数十メートルの高層ビルと非常にバランスが良いんです。
高層マンションを、ゴジラがどのように破壊していくのか(しないのか)、興味津々です。

予告編を見ただけでも、普段僕が通る道や、利用している施設が沢山映し出されています。
ひょっとしたら、我が家もゴジラに壊されるかもしれません!
これは、気が気ではありませんね。
映画館で、いち早く確認しなくては!

ただ、ちょっと気になることが!
多摩川を挟んだ田園調布側に戦車がズラリと並んで、川越しにゴジラを攻撃しています。
東京だけ防衛しようということなのでしょうか?
神奈川は捨て石なのか…。

トリュフォー

2015-06-10 07:36:17 | 映画
ヌーベルバーグの巨匠、フランソワ・トリュフォーの言葉です。

撮影に入る前は、いつも、「今度こそ傑作を撮るぞ」と意気込む。
しかし、仕事が始まってしまうと、「とにかく完成してくれ」と願うだけになる。

トリュフォー先生、あなたもですか!

セッション

2015-06-05 07:56:52 | 映画
うちの劇団員に、是非、見てもらいたい映画があります。
去年の「サンダンス映画祭」で、グランプリと観客賞を受賞した「セッション」という作品です。

世界的ジャズドラマーを目指して名門音楽学校に入学したニーマンは、伝説の教師と言われるフレッチャーの指導を受けることになります。
しかし、常に完璧を求めるフレッチャーは容赦ない罵声を浴びせ、レッスンは次第に狂気に満ちていきます。
「スパイダーマン」などで知られるベテラン俳優J・K・シモンズがフレッチャーを演じ、アカデミー賞ほか数々の映画賞で助演男優賞を受賞。
監督は、これまでに「グランドピアノ 狙われた黒鍵」「ラスト・エクソシズム2 悪魔の寵愛」などの脚本を担当。
弱冠28歳で、長編監督2作目となるこの作品を手がけたデイミアン・チャゼルです。
厳しい指導者の下、苦悩の日々をすごしたチャゼル自身の高校時代の体験が基になっているそうです。

とにかく、フレッチャー教授の鬼の指導の演技が素晴らしい!
内面というか、体幹が鋼鉄で出来ているとしか思えない迫力です。
一切の妥協を許さず、徹底的にミュージシャンをしごきあげていく様は、その辺のホラーの何倍も怖い!
緊張感あふれる作品がお好きな方は、ご覧になることをお薦めします。
(怖がりな方は、見ない方が…)

多くの観客は、指導を受けるニーマンに感情移入すると思います。
しかし、僕は、厳しい指導をするフレッチャー側に立ってしまいました。
っていうか、フレッチャーは甘い!
”テンポ”のことしか言わないんだから!
もっと色々チェックするポイントがあるだろう!
差別的な発言ばかりしていないで、上手くなるためのアドバイスをすべきじゃないの?
なんてことを、感じてしまいました。

本当は、僕もフレッチャーのように演出していきたい!
わずかなブレも許さず、完璧な演技を求めていきたい!
でも、あんな指導をしたら、たちどころに劇団員がやめていってしまいます。
ですから、腹の中はフレッチャー!
でも、それは絶対に表に出さない!
そんな感覚で、毎回、稽古を行っています。

うちの劇団員には、ニーマンになった気持ちで、稽古に精進して頂きたいですね。
あれぐらいの気迫があれば、みるみる上手くなっていくと思うのですが…。

http://session.gaga.ne.jp/