劇団ぷにぷにパイレーツ座長日記

劇団ぷにぷにパイレーツ座長・石崎一気が、演劇、パントマイム、音楽等、舞台芸術の情報を、毎日発信!

下らない!

2012-10-31 07:25:35 | 演劇
冬の公演では、久し振りに、本当に下らない作品を上演します。
「普段から、下らないじゃないか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、そんな甘い下らなさではないのです。
実に下らない!まったくもって、下らないのです。
イメージで言えば、第一回公演で上演した「Can You Celebrate?」のような作品です。

「Can You Celebrate?」は、いまだに伝説になっているほど、酷く滑ってしまいました。
フランス人の女性だけが七転八倒しながら大爆笑していましたが、その他のお客様は呆然とされていました。
(そのフランス人は、終演後「私もパリで上演して良いか?」と尋ねてきました。僕は「別に構わないが、やめた方が良い」と答えておきました)
多分、時代を先取りし過ぎていたのでしょう。

あれから5年!
そろそろ、時代が僕に追いついた筈です。
そこで、再び、真に下らない作品に挑戦してみようと考えた訳です。

しかし、この5年間で、僕も色々学びました。
下らない作品の尺を、凄く短くしておきました。
僅か数分で終わってしまいます。
これなら、いくら滑っても、お客様は許して下さることでしょう。

ちなみに、劇団員のみんなは、この下らない超ショート・コントを大変気に入っているようです。
それを上演する僕自身は、すでに、照れくさい感じがしているのですが…。
お客様の冷たい視線に耐えられるように、頑張って稽古しなくては!

また、衣装選びで…

2012-10-30 07:08:25 | 演劇
例によって、冬の公演の衣装で悩んでいます。
医者役のように、何を着るかがはっきりしている作品は良いのです。
何を着ても良いという芝居は、本当に衣装選びに迷ってしまいます。
ましてや、今回は、複数の役者が同時に舞台に上がります。
各人のコントラストも考えて、衣装選びをしなくてはなりません。
しかも、ぷにぷにパイレーツは、衣装等にお金を掛けないことをモットーにしています。
なるべく買い足すことなく、今持っている服を活用したいんですよね。
さて、どんな衣装になることやら?
まあ、衣装が目に入らないぐらい、気合いの入った演技が出来れば良い話なんですけどね…。

複数人数

2012-10-29 07:52:03 | 演劇
劇団ぷにぷにパイレーツは、これまで、一人芝居を中心に上演してきました。 それは、単純に、劇団員が少なかったからです。 しかし、このたび大勢の参加を得て、6人を擁するほどになりました。 そこで、次回公演では、複数人数による作品ばかりを上演することにいたしました。 二人芝居もあれば、三人芝居、四人芝居もあります。 そして、なんと六人全員が出演する作品さえあるのです。 (逆に、一人芝居は1本もありません) ああ!なんて豪華な舞台なんでしょう! まるで、夢のようです。 ただ、大勢でやるとなると、みんなの稽古スケジュールを合わせるのが大変です。 なかなか全員が揃いそうもありません。 バラバラでも稽古出来るように脚本は書いてあるのですが、それでも心配です。 何とか、本番までに、一度は全員で稽古してみたい…。

解雇手当

2012-10-28 07:59:02 | 
僕は、異常な程、本を読みます。
大概のパターンを、既に、読み尽くした感があります。
しかし、時には、かつて読んだことのないような、画期的な作品に出会うことがあります。
先日、まったく新しいスタイルの小説に出会い、大変な感動を覚えました。
恐らく、皆さんにとっても、これまで一度も味わったことのないような、新感覚ミステリーだと思います。
その本のタイトルは、「解雇手当」です。

【業務命令――全員、死ね!】
「これからきみたち全員を殺す」
社長がそう宣言したとき、36階のオフィスは脱出不可能の牢獄と化していた。
通信回線は不通、携帯電話は使えず、エレベーターも止められた。
階段のドアには猛毒のサリンを噴出する装置が仕掛けられている。
閉じ込められた男女は毒を飲んで自殺するか、射殺されるか、究極の選択を迫られる!
脱出するのは誰か?
それとも全滅か?

”鬼才が放つ、ハイパー版『そして誰もいなくなった』”というキャッチフレーズですが、そんな生ぬるいものではありません。
クリスティのあの名作を、100倍早回しにしたようなスピード感です。
誰が正義で、誰が悪か、まったく分かりません。
罠を掛けたり、見破ったり、裏切ったり、次のページの展開がまったく読めない、ジェットコースターのような展開です。
暴力的表現が目白押しで、指が潰れるとか、手首を切り落とす描写なんて、可愛いモノです。
残酷な表現が苦手な方は、読まない方が賢明です。
伏線も張られておらず、展開はハチャメチャで、深みのある作品ではありません。
ラストまで読んでも、結局、真相は明らかになりません。
ですから、真面目な方や、洒落の通じない方にもお薦め出来ません。
ただ、このスピード感は、小説史上最高のものではないでしょうか?
展開の大きさも、唯一無二のものです。
登場人物のキャラクターも立っていて、どれも魅力的です(チョイ役ですら、そうです)。
とにかく、小説で新しい体験をしてみたいチャレンジャーの方には、是非ともお薦めしたいと思います。
そして、この文体を、思う存分楽しんでみて下さい。

演劇では、これだけダイナミックな展開は難しいですね。
お客様が付いて来ない早さです。
はっきり言ってスピード違反です。
こんな感覚で芝居が作れたら、スタイリッシュだろうなあ…。

●「解雇手当」
ドゥエイン・スウィアジンスキー 著
公手成幸 訳
ハヤカワミステリ文庫
966円
2009年6月発売