心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

嗚呼昔日の独逸精神医学

2006-12-21 13:33:36 | 精神医学・精神病理学
どもね。

ま,今日はとっととやりましょうか。クレペリンって知っとるけ?


クレペリン回想録クレペリン回想録
影山 任佐

日本評論社 2006-11
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ドガーン。まあすごい本ですね。ド迫力。よく出ました!

ちょっとクレペリンさんのことを説明しますと,19世紀の幕開けくらいに始まった,ドイツ精神医学ですが,その19世紀後半を代表するのがこのクレペリン博士。記述精神医学って言葉,聞いたことあるっしょ? この人こそが,初代金字塔,であります。統合失調症とうつ病,これ違う病気ですよ,と初めて区別したのもこの人。つまりは,精神医学における文字通りDiagnosisを体現したわけですな。ちなみに,日本における精神医学は,実はドイツ精神医学がずっと主流だったわけでして,つまり日本の精神医学に与えた影響は計り知れないわけですな。

クレペリンさんが生きた時代,それはドイツ精神医学の草創期でもありますが,19世紀から20世紀へ,もうさまざまな変化があり,特にお国のドイツなんかは,第一次世界大戦勃発&敗北など(1926年に没),いろいろあった,いろいろあったよ,俺の人生,それを語ろうか? と言われたら,もうハイハイ,聞いちゃいますね。


精神医学百年史―人文史への寄与精神医学百年史―人文史への寄与
E.クレペリン

「新樹会」創造出版 1998-07
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ちなみに現在では手に入らないですが,こういうのもあり。前半50年はさておき,後半50年は,まさにクレペリンさんの時代だったわけですね。次の100年の始まりは,もちろん,クレペリンさんも健在ですが,ニューカマーとして,クルト・シュナイダーさんやカール・ヤスパースさんらが引っ張るわけですが,さらにブロイラーさんやフロイトさんなんかも乱入してきて,さらにエキサイティングな状況が展開していくわけですが,それはまた別の話ね。

にしてもね,やっぱ戦争つうのは大きいですよ。とりわけ世界大戦と呼ばれる2つの戦争は,いわゆる総力戦でありまして,その時代に生きてた人たちに多大な影響を及ぼしたわけですな。


ハンナ・アーレント―“生”は一つのナラティヴであるハンナ・アーレント―“生”は一つのナラティヴである
ジュリア クリステヴァ Julia Kristeva 松葉 祥一

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カール・ヤスパースさんとの往復書簡をやっていたことでも知られる哲学者アーレントさんの人生もやっぱり激烈ですね。哲学っていっても,カウチポテトでハナクソほじくりながらぼんやり考える類とは,やっぱ違うよなあ。ナラティブと言ってますが,ま,ここでは単に「物語」と考えてほしいですが,いやはやすごい物語ですよ。時代の大きなうねり,それは人の別なく,当たり前だけどね,すごいわ。

学問自体を純粋に追究するということすら困難な時代に,純粋に追究してきた人たちがいるわけで,もう,ウームという他はないわけですが,かたや現代の日本,その就職試験では,


内田クレペリン検査完全理解マニュアル〈2008年版〉―就職適性試験内田クレペリン検査完全理解マニュアル〈2008年版〉―就職適性試験
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なんじゃこりゃあ! このクレペリンというのは,もちろん上記のエミール・クレペリンさんのことですが,なんちゅうこっちゃ,というしかない。クレペリンさんも草葉の陰で吃驚仰天怒髪天,噴飯悶絶級のアホらしさに,もう言葉もないわけですが,つうか基本的にこんなもん,買っちゃダメですが,買うような人はどの道ダメダメですが,もしこの本のおかげで,希望の会社に入れたならば,せめて,初めての給料で,『クレペリン回想録』買いなさい!


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