心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

偽薬タン,ハアハア

2005-12-27 13:37:23 | 精神医学・精神病理学
 グワー,俺は「病い」なんだあ,薬をくれえ,薬を。え? 何の薬だって? 俺の病いに効く薬,それは君の笑顔に決まってらぁい! そぉい! 俺の病い,それはあなたへの恋の病なんです。まあ(クスリ)。ちゅうわけで,文章まったく練れてなくて,リズム悪い上に,まさかの駄洒落オチ。後漢書東夷伝もといご寛恕下さいませ。
 しかしいつも以上にすげえ適当な前書き書いてしまった……。気を取り直して,正直言って,非専門家が語ることが最も困難な対象の一つになりましょう,薬物療法。素人が軽々しく触れられるものでもなし,しかし薬物療法が精神科臨床の中心的な位置を占めることもまた事実ですので,一つ頑張ってみようじゃないかと思っている次第です。
 とは言え,とは言え,Toi et Moi(気に入ってる様子),あまり正面から,『カプラン精神科薬物ハンドブック―エビデンスに基づく向精神薬療法』とか『こころの治療薬ハンドブック〈2003年〉』とかを今さら私などが紹介しても,それはなんかお門が違うのかなって感じなので,ある程度こちら(ってどちら?)に引きつけながら,ということになりますね。まあ私の勝手なイメージでは,こういう「知識」って基本的に「書籍」じゃなくて「Journal」で得るだと思いますので,自然,薬物周辺の話題ということになってしまいます。



抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟
抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟
デイヴィッド ヒーリー, David Healy, 谷垣 暁美, 田島 治


抗うつ薬の時代―うつ病治療薬の光と影
抗うつ薬の時代―うつ病治療薬の光と影
デーヴィッド ヒーリー, David Healy, 林 建郎, 田島 治

 で,これかな。でもこういう真偽って,ほんと素人には扱えるもんじゃないですね。ただ,アメリカFDAイギリスMHRAの勧告などもありますし,日本でもきちんとした検討と対応を望むところなのは確かですね。




現場で役立つ精神科薬物療法入門
現場で役立つ精神科薬物療法入門
上島 国利

 ちょっと話は変わって,薬物療法って,精神療法の「動的」に対し,「静的」なものといわれるのかもしれませんが,少なくとも患者さんにとってはとても「動的」だと思うのですよね。たとえば自分が風邪を引いて(手首を捻挫して,でもよい),医者にかかった時のことを考えると,処方って,明らかに「動的」だなと思わざるをえないですよ。
 それでこの本,さすがに心理学書の専門出版社から出ているだけあって,心理的側面や精神療法との関わりがきちんと記述してあって,なるほどと思わせます。医書出版ならこうは行きますまいね。ここらへんは『Competency In Combining Pharmacotherapy And Psychotherapy: Integrated And Split Treatment (Core Competencies in Psychotherapy)』なども参考になるのではないでしょうか。




偽薬のミステリー
偽薬のミステリー
パトリック ルモワンヌ, Patrick Lemoine, 小野 克彦, 山田 浩之

 それで,コレ。Placeboという概念を結構大きくとってます。汎Pleceboですね。「医師の診断・処方はPlacebo効果である」みたいな感じで。でも言い方を変えれば,それは「精神療法である」ってことですね。
 しかし,「偽」と頭につく言葉で,ほとんど唯一じゃないですか,ポジティブな印象を与える言葉って。偽造,偽証,偽装,偽善,ろくな言葉がないけれど,その中で燦然と輝く「偽薬」。ハアハア,ステキだあ~,ハアハア。

 さて,もうこれは純然たる余談ですが,皆さん試しに「スパシボ」でGoogleしてみて下さい。スパシボ(=ロシア語で“ありがとう”)に混ざって,「スパシボ効果」なるものについて論じてるページが結構ありますよ。明らかに間違いと分かりつつ,なんかホンワカした気分になったサイパブなのです。スパシボ(ありがとう)効果ねえ……,まあそれもプラシボなのか??


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2 コメント

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本当ですか? (パキシル)
2006-01-01 18:04:13
GSKやばいのですか?パキシル飲んでる人、すごい数だと思いますが
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Unknown (psy-pub)
2006-01-04 14:33:52


>パキシルさま



コメントありがとうございます。



まず,薬物全般について,その是非を論じられる立場にはありませんので,GSKがやばいのかどうか等,こちらでは判断できません。申し訳ありません。



上記の本の内容についても,タイトルに「功罪」とあるように,一方的な非難をする内容ではないように思いましたし,そこが本書の優れたところだとも思います。また同様に「薬自体」を糾弾するものでもないように思いました。



いずれにせよ,私も含め一般の方が判断できる範疇ではないかと思います。こういう知識は本を一冊読んだから得られるというものではないように私は思います。
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