ハイごめんなさい。タイトル意図的に間違えてます(サイテー)。マンガでまなぶ子育て,でよろしくお願いします。まあ,とはいえ,臨床心理士において「子育て支援」つうのは最近言われて喧しいわけですけど,あ,「喧しい」をつい最近まで「やかましい」と読んでたのは僕ですけどね,ついでといってはなんですけど,『To Loveる』というマンガも「トゥ・ラヴる」と律儀に読んでましたよ,ええ。
まあなんだ,子育て支援と喧しい――喧しいっていい響きだよな,と使うたびに思うわけですけど――昨今ですが,子育てをリアルに体験しているか否か,ってのが通俗的には,あくまで通俗的には,消費者にとっては信頼ポイントになったりならなかったりすることも,あったりなかったりするわけですけど,どっちが良いかなんて知りませんけど,どっちにせよ,まあ限りなく想像力を働かせることは必要でありますわな。経験がないがゆえに想像力が働かないこともあれば,経験が想像力を阻害することもある。
ゆえにマンガ,まあ想像力を働かせようといってる傍から,マンガなんてなんたる想像力の貧困! という気がしないでもないですけど,というか想像力貧困に違いないんですけど,つうか,最近読んだ子育てマンガが紹介したいがゆえの強引な誘導なわけですから,無理があるのはしょうがない!(ひどい開き直り)。
で,最近,意外と漫画界で盛り上がってるなと個人的に思うのが,まんが道と子育てマンガのような気がします。まんが道についてはまた書きたいですけど,今日は,子育てのほうで。
これは以前にも紹介してますけど,子育てやってようがやってまいが,万人にオススメしたい一品です。超絶ハイテンションえの素もとい榎本俊二の漫画力が爆裂してます。えの素嫌いにもオススメできる一品。ある種,最高傑作かもしれない。
子育てマンガという観点でいえば,ナルシシズム一切排除,というところがスゴイです(というもののタイトルに「カリスマ育児」と名づけてしまう,このセンスよ!)。わが子を愛でるっつうのはもう自己愛全開な行為と思うのですが,だからいくら対象化しようとしても,他人から見れば親バカなんでありまして,その場合,親バカで何が悪い! と開き直って描くのが普通だと思うのですが,そこらへんの臭気が完全にないのが本当に稀有だと思います。当然,美化もない。
でも愛はあるんですね。第二子出産に伴い,母の病院から帰る車中での,榎本と長女と会話で,「空しいね~」,「空しいってどういう意味?」,「良かれと思って寂しいことだよ」,「フーン」,の後,長女号泣,唸ります。
つっても,あんまり考えずに,ピローン,ハハハ,と笑うが一番正しい気がしますね。それに相応するリズム感があるのでね。
カリスマのスピード感に匹敵するものは,ないだろうとタカをくくってしばって丸焼きにしていただきまーすしようとしてたところ,さらに逸材が現われ,子育てマンガ黄金期だなあと思ったのが,
『ひまわりっ』でもおなじみの,アキコ・ヒガシムラ。カリスマ育児よりは,若干スピード感は落ちるものの,さすが旬で気鋭のギャグ漫画家,とにかく笑いに奉仕するぞという気概がナルシシズムを上回って,とんでもないことになってます。ギャグとしては,女性作家のわりには,引用ネタが男好みのも多く(少女マンガネタも多いけど),男女問わず楽しめるかと。てか「ゴルゴ13」で卒乳はマジ笑えます。
子育てマンガとしては,カリスマ育児とも共通するけど,美化なし説教なし,ってとこがよいですね。説教するくらいならギャグのひとつも入れろ,といわんばかりなのであります。
といっても,観察ベースのリアルはある(たぶん)。ホントよく見てますよ。
まあこれらに比べると,味はあるものの,昔日の感があるなあと思うのは,
もはやクラシックな雰囲気もありつつ,かなりウェットな気がします。説教感がかなりあるなあ(たとえば山田詠美的な),と思いつつ,大御所ならではの語り口の巧さがあって,ちゃんとエンターテイメントに仕上げてきます。
カリスマやテンパリと違うのは,著者はゆるがない,ってとこでしょうか。そこが好みの分かれるところのような気がしますが,そこはベテラン,あんまりそういう間口の狭めかたはしないんですね。老獪だわ。
まあ,2000年代ならこれら読んどけ,って感じですが,2010年代に向けて,個人的に(おそらく市場的にも)育児マンガが期待されてると思うのは,
の安野モヨコ
と
の福満しげゆき
かと思います。子どもが生まれたら,この人らは絶対描くでしょう。編集者も描かせずにはいられないだろうし,本人も描かずにはいられないはず。モヨコはある程度想像できるわけですけど,福満はどうなるか,はげしく楽しみです。
で,終わり,だとあまりになんなので,最後に,
こちらがマクロとすれば,
こちらはミクロの実践なんですが,
それぞれ,なるほどな,という感じですし,特に,『臨床心理士の子育て支援』は,たいした本だと思うのですが,個人的には,公的な参与だけでなく,私的な参与はどうなってるのか,というのが気になりますね。つまり,男であれ女であれ,対象化されたネットワークへの参与,ではなく,自分がネットワークそのものの一部分を成している場合の,振る舞い,ってところといいますか。
それを何が何でもせよ,と言ってるのではなく,でも実際,臨床心理士としてよりも親として地域に参与している人はたくさんいると思うのですが,何も専門家然として偉そうに地域の子育てを引っ張れといってるのではなく,というか,空気読まずに偉そうな態度取れば,地域からつまみだされちゃいますけど,わが子の子育てと合わせて地域の貢献やってたら,NPO法人立ち上げちゃいました,までいかなくとも,なんかそういう地域貢献をですね,まあこれ,チョボチョボでもやってくことは,自分のためにもなれば,地域のためにもなるし,そんな程度なら,限界設定だの構造だの,肩肘はる必要もないわけで,だいたい臨床心理士である前に親なわけですから,地域の人間としてふるまう中で自然に出来ることはあるはずでしてね。
もちろん,巨視的な観点で,心理が頑張るのは大切なんですけど,サービスを受ける側に立った場合に,また自ずと振る舞いも変わってくるはずで,むろん大事なのは想像力ですけど,まあそこらへんは肩の力を抜いてですな……。
とか言ってると,何を偉そうに! と言われそうですけど,まあ僕も,もし子どもが生まれましたらね,頑張りたいと思いますよ。
■NPO法人ファザーリング・ジャパン
http://www.fathering.jp/
出版界では有名な安藤哲也さんですが,その人脈を活用して,いろんな人・人・人を巻き込みまくって,すごい活動になっておりますな。編集者だってできることがある! と思うわけですけど,ほんとすごいよなあ。
見習わねば!
まあなんだ,子育て支援と喧しい――喧しいっていい響きだよな,と使うたびに思うわけですけど――昨今ですが,子育てをリアルに体験しているか否か,ってのが通俗的には,あくまで通俗的には,消費者にとっては信頼ポイントになったりならなかったりすることも,あったりなかったりするわけですけど,どっちが良いかなんて知りませんけど,どっちにせよ,まあ限りなく想像力を働かせることは必要でありますわな。経験がないがゆえに想像力が働かないこともあれば,経験が想像力を阻害することもある。
ゆえにマンガ,まあ想像力を働かせようといってる傍から,マンガなんてなんたる想像力の貧困! という気がしないでもないですけど,というか想像力貧困に違いないんですけど,つうか,最近読んだ子育てマンガが紹介したいがゆえの強引な誘導なわけですから,無理があるのはしょうがない!(ひどい開き直り)。
で,最近,意外と漫画界で盛り上がってるなと個人的に思うのが,まんが道と子育てマンガのような気がします。まんが道についてはまた書きたいですけど,今日は,子育てのほうで。
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これは以前にも紹介してますけど,子育てやってようがやってまいが,万人にオススメしたい一品です。超絶ハイテンションえの素もとい榎本俊二の漫画力が爆裂してます。えの素嫌いにもオススメできる一品。ある種,最高傑作かもしれない。
子育てマンガという観点でいえば,ナルシシズム一切排除,というところがスゴイです(というもののタイトルに「カリスマ育児」と名づけてしまう,このセンスよ!)。わが子を愛でるっつうのはもう自己愛全開な行為と思うのですが,だからいくら対象化しようとしても,他人から見れば親バカなんでありまして,その場合,親バカで何が悪い! と開き直って描くのが普通だと思うのですが,そこらへんの臭気が完全にないのが本当に稀有だと思います。当然,美化もない。
でも愛はあるんですね。第二子出産に伴い,母の病院から帰る車中での,榎本と長女と会話で,「空しいね~」,「空しいってどういう意味?」,「良かれと思って寂しいことだよ」,「フーン」,の後,長女号泣,唸ります。
つっても,あんまり考えずに,ピローン,ハハハ,と笑うが一番正しい気がしますね。それに相応するリズム感があるのでね。
カリスマのスピード感に匹敵するものは,ないだろうとタカをくくってしばって丸焼きにしていただきまーすしようとしてたところ,さらに逸材が現われ,子育てマンガ黄金期だなあと思ったのが,
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『ひまわりっ』でもおなじみの,アキコ・ヒガシムラ。カリスマ育児よりは,若干スピード感は落ちるものの,さすが旬で気鋭のギャグ漫画家,とにかく笑いに奉仕するぞという気概がナルシシズムを上回って,とんでもないことになってます。ギャグとしては,女性作家のわりには,引用ネタが男好みのも多く(少女マンガネタも多いけど),男女問わず楽しめるかと。てか「ゴルゴ13」で卒乳はマジ笑えます。
子育てマンガとしては,カリスマ育児とも共通するけど,美化なし説教なし,ってとこがよいですね。説教するくらいならギャグのひとつも入れろ,といわんばかりなのであります。
といっても,観察ベースのリアルはある(たぶん)。ホントよく見てますよ。
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カリスマやテンパリと違うのは,著者はゆるがない,ってとこでしょうか。そこが好みの分かれるところのような気がしますが,そこはベテラン,あんまりそういう間口の狭めかたはしないんですね。老獪だわ。
まあ,2000年代ならこれら読んどけ,って感じですが,2010年代に向けて,個人的に(おそらく市場的にも)育児マンガが期待されてると思うのは,
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かと思います。子どもが生まれたら,この人らは絶対描くでしょう。編集者も描かせずにはいられないだろうし,本人も描かずにはいられないはず。モヨコはある程度想像できるわけですけど,福満はどうなるか,はげしく楽しみです。
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こちらはミクロの実践なんですが,
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それぞれ,なるほどな,という感じですし,特に,『臨床心理士の子育て支援』は,たいした本だと思うのですが,個人的には,公的な参与だけでなく,私的な参与はどうなってるのか,というのが気になりますね。つまり,男であれ女であれ,対象化されたネットワークへの参与,ではなく,自分がネットワークそのものの一部分を成している場合の,振る舞い,ってところといいますか。
それを何が何でもせよ,と言ってるのではなく,でも実際,臨床心理士としてよりも親として地域に参与している人はたくさんいると思うのですが,何も専門家然として偉そうに地域の子育てを引っ張れといってるのではなく,というか,空気読まずに偉そうな態度取れば,地域からつまみだされちゃいますけど,わが子の子育てと合わせて地域の貢献やってたら,NPO法人立ち上げちゃいました,までいかなくとも,なんかそういう地域貢献をですね,まあこれ,チョボチョボでもやってくことは,自分のためにもなれば,地域のためにもなるし,そんな程度なら,限界設定だの構造だの,肩肘はる必要もないわけで,だいたい臨床心理士である前に親なわけですから,地域の人間としてふるまう中で自然に出来ることはあるはずでしてね。
もちろん,巨視的な観点で,心理が頑張るのは大切なんですけど,サービスを受ける側に立った場合に,また自ずと振る舞いも変わってくるはずで,むろん大事なのは想像力ですけど,まあそこらへんは肩の力を抜いてですな……。
とか言ってると,何を偉そうに! と言われそうですけど,まあ僕も,もし子どもが生まれましたらね,頑張りたいと思いますよ。
■NPO法人ファザーリング・ジャパン
http://www.fathering.jp/
出版界では有名な安藤哲也さんですが,その人脈を活用して,いろんな人・人・人を巻き込みまくって,すごい活動になっておりますな。編集者だってできることがある! と思うわけですけど,ほんとすごいよなあ。
見習わねば!
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