自然流精神療法のすすめ―精神療法、カウンセリングをめざす人のために
岡野 憲一郎
臨床心理学・精神医学関連の書籍のなかで,文章の巧拙と臨床は相関はないと思うのですが,重厚であれ,軽妙であれ,びっくりさせるものであれ,誠実であれ,ウェットであれ,クールであれ,確実に「文才」というものを感じさせる本があります。現実として,内容の良さ(これが最も大事なことはいうまでもないことです)に加えて,文章力というのは,マスとのコミュニケーションという面において大変重要であります。
この岡野先生も確実に文章が上手い部類に入ると思うのですが,本(連載ものをまとめた)の性質もあると思うのですが,面白いのはタイトルの付け方です。たとえば,
第六章 療法家が「自然に」ふるまうこと
読者の皆さんにはこのテーマがピンと来ないかもしれない /しかし最低限に「自然に」ふるまえない人もまた多い /歴史的に見て、精神療法家はやはり「不自然」だった /療法家も結構どうふるまっていいかわからずに悩んでいる /ある若い女性の療法家の体験 /自然の反応は表層の反応でもある―私の分析家のこと /発想を転換した /最後に―「自然」であることは不可能である。でもそれを求める気持ちも無理のないことである
こういう抽象化は,簡単に出来そうでなかなか出来ない,したがってあまりお目にかからない,ある程度の技巧を要するのだと思います。また非常に誠実な感じも受けるのですが,あさっての方向を向いてもあくまで誠実さを貫く真面目さが,そこはかとないユーモアとして,われわれに感じられるのでしょう。すなわち,文章の上手さが,虚飾あるいは演技的(それは“信者”を生むに必須のものでもありますが)にはならず,そういう意味でも「自然流」なのでしょうねえ。
気弱な精神科医のアメリカ奮闘記
岡野 憲一郎
最近出たのはこちら。まだ未読ですが。
過分なお褒めの言葉ありがとうございます。
>psy-pubさんて一体どんな人なんだろう
>「ども」ということは、複数いらっしゃるのか
>ミステリアスだ
われら心編研は,ミステリアス・ガール揃いです(嘘です)。
「エピソード記述入門」のTB,およびリンク貼らせて頂きました。今後ともどうぞヨロシク。
専門ではないにもかかわらず、
この読みこなしぶりは…!
う~ん…すごいな
psy-pubさんて一体どんな人なんだろう
「ども」ということは、複数いらっしゃるのか
ミステリアスだ
>これからも楽しみです。「もうだめかも」なんて言わずに,頑張って下さいね。
ありがとうございます、ちょっとガッツ出ました。
個々の書評のクオリティは,専門家に比べるまでもなく(私どもの方が低い),ドンキホーテもしくはダイソー的な「物量」のみが売りです。
今後とも,どうぞよろしくです。
すごいブログですね…!
読んでいるだけで面白くて、ご紹介の本をみんな読みたくてたまらなくなり、困ります。
これだけ安定したクオリティを維持するエネルギーも凄い。
私も心理系ブックレビューのブログに挑戦し数ヶ月経ちましたが、崩壊寸前です。
これからも是非よろしくお願いします、
楽しみにしています!