マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

リストのエステ荘の噴水

2022-04-16 23:09:43 | ラ・プロムナード・ミュジカル
リストのエステ荘の噴水は、巡礼の年第3年の第4曲です。
「巡礼の年」は、第1年がスイス、第2年がイタリア、第2年の追加がヴェネツィアとナポリで、第3年は特に決まっていません。
スイスとかイタリアというタイトルの通り、そこの風景だったりその国の生んだ芸術作品だったりから霊感を受けて作られたものですが、第3年は自由に題材を選んで作られたようです。
第3年は、今回弾くエステ荘の噴水以外の曲はあまり演奏されません。
エステ荘の噴水というタイトルの通り、水をピアノで描写した画期的な曲で、その後、それに触発されて、ラヴェルが「水の戯れ」を、ドビュッシー が「水に反映」を作っていて、私的には水の3部作と呼んでいます。
ラヴェルは5月8日のミニリサイタルで、ドビュッシー は7月のプロムナード・コンサートで演奏する予定です。

エステ荘というのは、イタリアローマ近郊のティヴォリにあって、名家エステ家の別荘だったところで、世界遺産にも登録されているとか。
イタリア一美しいと言われる庭園があって、500以上の噴水がある庭園としてしられています。
その噴水を描写した曲で、水の流れや光に輝きキラキラ光る様子とか想像力を掻き立てられる曲となっています。
リスト(1811〜1886)は、若い頃は華々しい活躍をしていましたが、1865年に、その頃の色々な問題に疲れて(?)僧籍に入ります。
その後の1867年作曲された曲です。
曲の途中に、ヨハネ福音書より引用された「私が与える水はその人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が湧き出る」と書かれています。
弾いていると、祈りのように感じるところがあるのは、僧籍に入ったリストの心境を表しているのでしょうか…。


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