和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

農事暦のことなど

2008年05月14日 | 野菜大全
 春、山の残雪が馬の姿に見えると米作りが始まる。「雪形」としては一番有名な白馬岳(しろうまだけ)周辺の農事暦ですが、雪形に限らず昔の人たちは自然と共に農の営みを築き上げてきました。しかし、今ではカレンダーが太陽暦に変わり、時計も色んな所にあり、絶対時間のようなものが支配しています。
 この辺りの田植えはゴールデンウイークにするのが当たり前になってしまいましたが、昔と比べても半月から一ヶ月も早くなっています。元は台風の時期と収穫期が重ならないように早植えをし始めたようですが、人手を確保する為にもゴールデンウィークに田植えをするのが一般的になりました。上の田や下の田で田植えが始まれば「うちだけまだ」と言う訳にもいかず、地域が足並みをそろえる結果に、しかし昔と違って田植えも家族総出の作業ではなくなり、一人でも充分可能なものになりました。田んぼに響く子供の声は遠くなり、今はただ田植え機のエンジン音だけが鳴り響いています。
 農業の作柄も前進に次ぐ前進のあげく、周年栽培が当たり前になっていますが、うちとしてはハウスやトンネルの保温栽培までとし、油を使った加温栽培はしていません。まあハウスのビニルだって元を辿れば石油な訳で、軽トラをかっ飛ばしている訳で、五十歩百歩でしょうか。そう考えると、どんなに自然を謳っても程度の差しかないかもしれません。自然や共生という言葉は巷に氾濫してるけど、その自然って何?てのが多いんですよね。
 話を農事暦に戻すと、うちで一番身近なのは「藤の花」くらいでしょうか。桜が咲いても花冷えが何度かありますが、藤の花が咲けばもう氷点下になることは無いので、果菜類の中でもピーマンなどやウリ科が露地植え出来ます。藤は林の切れた所で「マント群落」を形成するので目に付きやすいのもあるのでしょう。
 以前、ウグイスの鳴き始めを酔狂で記録してたけれど、二月には林の奥で鳴き始めていて役に立ちそうにない。ミツバチは確か20℃位で動き出すはずですが、その温度になるとどこでも動き出すのでちょっと違うかと、ただミツバチは中々にかわいいのでまたいずれ書ければいいのですが。そういえばミツバチの分封がどのタイミングで起こるのかはどれ位解明されているのでしょうか?素人でも風の無い晴天の日にすることは分かりますが、てっきり春から初夏のものだと思っていました。その時期しか出会ったことがなかっただけですけど。
 農事暦を考えると、如何に自然を見つめていないか、自然と違う物差しで作業を行っているかを改めて教えさせられるものです。