Doll of Deserting

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スワロウテイル(捏造侘助)

2005-06-25 14:20:52 | 過去作品(BLEACH)
スワロウテイル
 吉良イヅルは、自分の斬魂刀が花の名を象ったものだということを知っている。しかし実際は侘びるように頭を下げるので「侘助」というのであって、決して侘助椿が語源なわけではない。・そうは言っても彼の精神世界に居座る彼女達は明らかに椿の花を意識した姿をしているので、やはり侘助椿が語源なのだろうか、とも思える。
 精神世界を訪れるのは、久々だった。侘助は、二人の魂魄から出来ている。姿形のよく似通った双子の女性の魂から。一人は艶やかな黒髪に赤い着物を纏い、紅侘助を髪に挿している。もう一人は淡い金髪に白い着物を纏い、白侘助を髪に挿している。それぞれに美しい彼女達を、イヅルは従えているのだ。
「珍しいこともあるものだ。主がここに来るとは。」
 紅は言う。確かにイヅルはこの場所に滅多に来ない。周囲の風景は鮮やかに世界を染め上げていて、そこいら中に樹木や花が溢れかえるこの夜の世界は美しいものだったが、自分の弱さをまざまざと見せ付けられているような気がして躊躇っていた。始めの頃は、それこそ彼女等に何と言われるかと怯えていた覚えがある。
「おおかた自分の身の振り方を迷っていらっしゃるのでしょう。それなら戸惑うこともない筈。貴方は貴方の道をお進みなさいませ。自分の付き従う方は見えていらっしゃるのですから、私共は我が君に従うのみでございます。」
 白は柔らかく笑う。自分の身の振り方などとうに解っている筈だった。しかしそれをここで当たり前のように言われてしまうと、いささか抵抗があった。今まで自分の築きあげてきたものが全て否定されたような気がしたのだ。「彼」に付いて行くということは、つまり全てを捨てることと同じであるのだから。
「…君達は、強いね。」
 行くべきところを理解しているのだ、彼女達は。自分等に付き従うことを選んでくれているのには果てしない感謝の気持ちがあるが、自分は何も返せない。それが歯痒いとイヅルは思った。自分のように、迷うことはしない。
「何を言う。主が芯から弱ければ、我等も従おうとは思うまい。」
「その通りにございます、我が君。貴方様が本当はお強い方と理解しているからこそ、私共はお供させて頂きとう思うのです。」
 侘助椿の本来の名は、胡蝶侘助。彼女達も同じように、しなやかに舞う。そして木の上からイヅルのところまで降りてきたかと思うと、素早く彼の手の甲に口付けた。溢れんばかりの敬愛を込めて、主人を主人と認めるかのように。
「貴方様がどれだけ蔑まれ、退けられようとも、私共は裏切りませぬ。」
「今ここに、永遠ともなる忠誠を誓おうぞ。」
 イヅルは、この世界に地獄蝶を思わせる胡蝶を見た。しかしそれは地獄蝶とは違い、鮮やかな色をしている。生きているものの色をしている。それらを美しく思える自分に、まだ狂ってはいないようだと僅かな確信を持ちつつ、この世界に感謝した。


スワロウテイル
 捏造侘助です。(汗)大抵皆一人ずつしか入っていないようですが、蛇尾丸のような例もありますので、うちの侘助は双子です。赤は男まさりで煙管をふかしているようなイメージ。白は慎ましやかで清楚なイメージ。名前のイメージからすれば男の人みたいですが、ここは花そのもののイメージを表現させて頂きました。正式名称は「胡蝶侘助」というそうで、卍解の名前がそういう綺麗なやつだといいなと切実に思います…。神鎗と仲がいいといい。(黙れ)

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