platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

The Gifted and Talented

2007-06-05 | ダンスファンの独り言
 知人に誘われて、"Talent Development"の公開レクチャーを聴いてみました。平等が重んじられる日本では余り耳にしませんが、アメリカの英才教育についての話です。タイトルにある言葉が何度も繰り返され、"Gifted"は「天から優れた資質を与えられた者」、"Talented"は、「(主として芸術的)能力を備えた者」というところでしょうか。青山航士さんのダンスを初めて見た時、頭に浮かんだのもこの言葉でした。
 前にも書いた事がありますが、床に両手をついてウエストから下を大胆にひねったその動きのスムーズさ、描く円弧の鮮明さに目を疑いました。その一瞬の動きは練習を重ねることでは得られない、持って生まれた資質の驚異的な高さを語るのに充分です。また、残念ながらDVDに収められていないのですが、NHK教育『りんりん丸』ゲスト出演の「普通の日曜日に」で、片脚で描く大きな円にも、股関節の形状の良さがありありと見て取れます。そして完全に音楽と同調する多彩なダンスは、青山さんの音楽的なセンスを感じさせてくれます。
 レクチャーを聴いて、Gifted Childrenの才能をいかに伸ばし、大成させるかということにアメリカの教育機関がどんなに真剣に取り組んでいるかを改めて思いました。歴史の浅い、この若い国の財産は何よりも「能力」ということなのかも知れません。アメリカにダンスを学びに日本からやってきた14才の少年が、あれほど見事に異なる文化を吸収したのも、そんな取り組みの一つの成果なのでしょう。もしも青山さんが日本でダンスを学んでいたら・・・? あの恵まれた資質に変わりはなくとも、やはり違ったことになっていただろう、と思いました。
 アメリカが築き上げた、若い才能へのスケールの大きいサポートは、どこまでも伸びていく生命力をも青山さんの資質に与えたのでしょうか。ご本人のブログからは途切れることのない鍛錬の積み重ねが伺われます。「実力主義」といいきれない日本、まして一観客には何も出来ないけれど、The Gifted and Talentedなパフォーマーを、せめて心から応援しよう、と思います