昨日物議を巻き起こしてしまった(?)アンナ・カリーナ演じる娼婦・ナナの涙・・・。
私は、この娼婦・ナナの物語「女と男のいる舗道」を22歳の時に渋谷の映画館で観ました。もちろん一人で。
映画が終わったあと、ある人に電話をかける。携帯電話などない時代なので、公衆電話で。
心は通じ合わない・・・。
ちなみに電話をかけた相手は、
TONITEのCDを貸して返してくれなかった人と同じ人でした。
「女と男のいる舗道」は原題は“VIVRE SA VIE”。フランス語で〈好きなように生きる〉という意味だそうです。
この作品は1962年にジャン・リュック・ゴダール監督、当時のゴダール夫人アンナ・カリーナ主演によって創られました。ちなみにゴダールはアンナの後、「ワン・プラス・ワン」、「中国女」に出演したアンヌ・ヴィアゼムスキー、その後アンヌ・マリー・ミエヴィルと結婚をしています。アンナ、アンヌという名前の女性と結婚を繰り返すところを見ると、よほど最初の妻、アンナ・カリーナの幻影に悩まされていたのではないか?とよく噂されましたが・・・。それほど、ジャン・リュック・ゴダールと10歳年下の“最初の”妻、アンナ・カリーナは、同志のような付き合いだったのではないか?と想像してしまいます・・・。
「女と男のいる舗道」は主人公・ナナが娼婦へと転落し、そのことを不幸だともさほど思わずに運命に身を委ね、しかしその魅力を存分に表現する姿をドキュメンタリータッチの白黒映像で描いています。この映画は高感度フィルム、順撮り(各シーンを物語の進行する順番通りに撮影すること)、同時録音を用いて撮影されました。街頭ロケで同時録音という手法は、商業映画で初の試みだったそうです。
そういったモノクロの中で際立つ斬新な演出で、ゴダールは街頭に立つナナの物語を綴っていきました・・・。
私が特に印象に残ったシーン、脳裏に焼き付いて忘れられないシーンはアンナ・カリーナ(ナナ)がカフェの中のビリヤード場で、音楽に合わせビリヤード台の周りをあの魅力的な瞳をくるくる動かしながら茶目っ気たっぷりに踊り回る姿。実に萌えます。
その後悲劇が待ってることなんて感じさせないほど明るく、チャーミングで美しく、でもほんとうに刹那的な姿でした。
この/売春に/関する/映画/で/語られるのは/ある/若くて/かわいい/パリの/女店員が/どうやって/自分の/身体を/与え/ながらも/自分の/魂を/守ったのか/という物語/であり/彼女は/見かけ/だけは/それぞれ/恋/のように/見える/出会いを/通じて/考えられる/かぎりの/あらゆる/人間的な/感情/を/知る/ことに/なるのだ/が/この/物語は/ジャン=リュック・/ゴダールに/よって/撮られ/アンナ・/カリーナに/よって/演じられる/好きな/ように/生きる
〔ゴダール自身による初公開当時の宣伝コピー〕