現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

横浜トリエンナーレ、3回目

2005-11-20 | アート感想@関東
またまた横浜トリエンナーレ2005に行ってきた。これで3回目。
※ 過去の記事→1回目前編1回目後編2回目

ゲートから会場に向かうバスでは、運良く一番前の席を確保(写真)。

最初に、過去2回とも天使が通らなかった、ジャコブ・ゴーテル&ジャゾン・カラインドロスの《天使探知機》の部屋へ。フランスでは会話が途切れて沈黙が訪れたときに「天使が通った」と言うらしいけど、この作品は周囲が静寂に包まれたとき、つまり天使が通ったときに明かりが灯るというもの。

もともと会場がザワザワしているのに加え、休日で人の出入りも多い、お子様はすぐ飽きる、説明を読まずに入ってきて会話する人もいる。ちょっと静かになったかと思うと、場内アナウンスが入ったり、音声ガイドの音が漏れていたりして、なかなか静寂は訪れない。休日はダメかも、と諦めかけていたそのとき、意識が遠のくように周りの音が引いていく……、弱々しくほのかな光がついたと思うと……。

天使が……、通った!

あっという間だったけど、確かに明かりは力強く輝いた。体中の張り詰めた神経が一斉に緩んでいった。普段行くような展覧会では当たり前の静寂なのに、この場所では静寂が本当に愛しく感じた。そして、同じように息を殺してランプを見守っていた他の観客たちとアイコンタクトを交し合い、小さく拍手をしながら部屋をあとにした。時計を見たら30分ほど経過していた。私は、運がいい。

そのあといくつか作品を観たけど、田添かおりの《GYM》の演出が変更になっていて、会期前半とは全く別の印象になっていた。あと、タニシKの電気自動車が会場内を走り回っていたのも、日曜ならではの光景。さらにナカニワではダンスパフォーマンスも行われていて、平日以上にお祭り的な雰囲気になっていた。

そして、3時32分からのアン・ハミルトンのプロジェクト《line》を観る。このプロジェクトは、作家の指示を受けた二人の男性が天井によじ登り、クライマーロープで天井に円を描くというもの。円が完成し、ヒヤっとする演出を経て地上に降り立つと会場は拍手に包まれた。お見事!

4時半を過ぎてあたりが暗くなってくると、ナカニワのスクリーンで上映会が始まる。大スクリーンの最初の映像は、野村誠+野村幸弘の《トリエンナーレの音楽》。トリエンナーレの準備中&会期中に、野村誠が鍵盤ハーモニカを踊りながら弾きまくるという映像で、とにかくテンポが良くて楽しかった。鍵盤ハーモニカって、思っていたより表現力がある楽器かも。

この後も上映があったけど、寒さに耐え切れずに退散。みなとみらいの夜景と、前方で妖しく光るマリンタワーを眺めながら、ライトアップされたビュランの旗の下を歩き、トリエンナーレを後にした。

横浜市山下ふ頭3号・4号上屋ほかにて、12月18日まで(会期中無休)。