『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第138回 音楽家講座in鶴見 ~甲野善紀先生を迎えて~ 9月11日(水)

2024-09-13 22:50:01 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
厳しい残暑の中の開催となりました。

先生は、「こんなことが出来るとは思ってもいなかった」という技が出来る様になったとのことで、とても晴々とした涼やかな表情だったのが印象的でした。


(お話)
今回の技は突然出来る様になった。
通常一般的に武術の技は相手の隙をついてやるものと思われているが、決してそういうものではない。

人間はごく普通の人であってもみな、とても精妙な機能が備わっている。
それを使うのが「技」。

人が生きて行く上で、誰にとっても関係のない世界ではない。
生きているということは「対応」の連続。

武術とは対応の原理

青少年育成のため、とかのものではない。

技とは人間の物凄く精妙な働きを使うもの。
如何に使うか?

クラッシック音楽で感動したりしなかったりは、ほんの僅かな差による。
それを人は感知する。

植芝守平(合気道創始者)はどのような相手でも、断ることなく対戦していたが、
鹿島神流18代の国井善弥との対戦だけは断っていたそうだ。

その国井善弥の技が出来る様になった。
これは、対戦相手がむち打ち症になる可能性のある技。

キャッチボールなどでも、人間は予測しているからこそ捕れる。
プロ野球のバッターが、女子ソフトボールでは打てない、というのも、グルグルと腕を回すピッチングに不慣れで、予測できないから。

80㎝だと思っていた高さが30㎝だったら、飛び降りるタイミングが異なってしまい結果、ショックを受けてしまう。

あらかじめ予測できないと上手く行かない。
だから人間は、物事が起こる前に予測し、準備をする。

その予測をどう外すか・・
(音楽では)心地よく微妙に外されると感動する。

自分が維持してきたものがあって、どう対応するか。


(最新の技を紹介、体験してもらいながら)

(この国井善弥師範の)払うだけで相手が崩れる技は、どう考えても出来るとは思えなかった。(「こうすりゃいいんだ!」の箇所の技)

https://www.youtube.com/watch?v=s8pUXSsI-x0

気配がないまま突然来る。



この技は説明のしようがないものだが、それが以心伝心で、すぐに田島(大義)さんが出来るようになった。

これは、しみじみとした嬉しさがある。
共に語れる者が居るという嬉しさだ。
武術の稽古の意味というのは「お互いが感動できる」ということではないだろうか。

忖度して弟子が受けを取るような世界とは別物。


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(個別指導)

1.ピアノ
風邪で発熱した影響で急に左耳が聞こえなくなってしまった。
半分は聞こえているのだけれど、バランスが悪い。
 一週間後が本番なので、なんとかしたい。

 祓い太刀後、脇下、首周辺に手技で調整

(本人談)聞こえ方が変わった。身体が分離する感じがさっきより出来て、自動演奏になった気がする。ゾーンに入った気がする。

(先生)聴力は頸椎4番が関係している。

やはり、それだけの(素晴らしい)演奏が出来るというのは、「そうさせているもの」が色々あって、全てが引き合っている。立体のクロスワードパズルのようなもの。
それは、身体、精神、精霊的何かかもしれない。
  
祓い太刀の後、最初聴こえ方が少なかった側の響きも整い、明るい音色に。
手技での調整後は、より立体的に立ち昇り、響きのみならず、より音楽が語り始めた。
ショパンの言葉を聞いているような気がした。


2.ピアノ
左手の手術後、手の腫れが取れない。
その後、右の手首に力が入るようになった。

祓い太刀の後演奏

(先生)自分のピアノの音に引っ張られるようにして、音がどうしたらよいかと教えてくれるのを聞く。身体の中からやりたくなる動きが出てくる。(伸びをしたくなったり、腕のまわしたくなったり)
自分の中に、信頼関係を持つ。
自分の中に教えてくれるものがある。

ビフォーはなくアフターのみ演奏。
澄んだ水の様な響き。


3.ピアノ
前回やっていただいて、頭痛は治ったのだけれど、力が抜けすぎて、ピアノが弾けなくなったのでなんとかしたい。

先生は「これは今回初めてやるのですが・・」と手技で肩の調整。
確認すると、やはり、国井善弥の払うだけで相手が崩れる技の応用。
その後階段のところで首の調整。

アフターの演奏は別人レベルでの変化。音により深みが。


4.二胡
自分がやろうとしていること、見えていることが食い違って、見えない動きを伝えたい。
身体を敢えて苦しい状態にしてpを出す。
一つの状態の中に揺らぎがあって、「気」を使えと言われている。
楽器を自分と捉えるか、他者ととらえるか?
道具との距離を感覚として捉えたい。
先生の「影観法」に関心がある。


祓い太刀
(先生談)
これは、二胡の特性で、手足がバラバラになっていないと出来ない楽器。
「影観法」はある実況に入ると、それが出来る。
楽器は人を選びますね。


祓い太刀後の演奏を聞かれた先生の感想。
「結界が張られて、そこからそっちに行けなかったですね・・」と感嘆。

1番の方同様に、身体、精神、霊的な何か を考えさせられた演奏。
二胡は特に、霊性が強い楽器と認識。



5.三味線
30秒で右手がぶれてくるのをなんとかしたい。

丸紐の四方襷、指紐で、響きも増し、右手も安定し、別人レベルに変化。


6.うた
肩が上がって力が入るのをなんとかしたい。

祓い太刀

残響が増え、声量も増す。立ち姿も柔らかな印象に変化。


7.ピアノ
腕を痛めて上がらなかった。

祓い太刀?紐?(失念)
(本人談)つまったものが取れた

響きが増して、音楽がより流れ始めた。



8.フランス歌曲
年齢と共に、少しずつ高音が出にくくなってきにたのをなんとかしたい。

胸紐と虎拉ぎで、夜の女王も歌えるようになり大きく変化。

(虎拉ぎによる鎖骨肩周辺の変化)




9.ピアノ
(演奏はなしで)首が痛く、つまりがある。整体や針治療も試みたが今一効果がなかったのをなんとかしたい。

祓い太刀でスッキリされた模様。


10.うた
声の中心が出せない。芯がないのがフラストレーションで、しっくりこないのをなんとかしたい。

胸紐でよりくっきりと。響きが増す。


11.喉と首に払い太刀のリクエスト  

12.ギター
30分すると疲れてきて違和感があるのをなんとかしたい。

丸紐で四方襷

肩が下がって、ギターの響きがやはり別人レベルに。

四方襷の紐のかけ方の左右を間違えない様にとの解説しながら先生談

「人間がホワイトアウトで迷う時はみな左に行くのだそうです」



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(感想)

今回も前回同様に、前半の時間を短くしていただき(これはこれでもったいないのですが・・)個別指導の時間を多めに取っていただきました。

毎回充実の音楽家講座ですが、今回はより進化、深化した感がありました。

それはおそらく、甲野先生の大きな進展、国井善弥師範の技に伴う何かがこうした参加者の方々を呼び寄せたのではないかしら?と思えます。

「音楽」における霊性、本来の意味、お役目など、改めて考えさせられた貴重なひと時でした。

講座の後、まず田島さんに「3センチバージョン」というかなり加減していただいた技を受けさせていただいたのですが、それでも瞬時に全身にズンときて、驚きました。
首にもちいさな振動があり、これが大きいとむち打ちなのね、と認識。

そして、打ち上げ会場のエレベーターの前で、やはりかなり加減していただいた先生の技を受けさせていただいたのですが、瞬時に身体の内側に散弾銃の様に細かい粒が飛び散り駆け巡り、といった感じがあり、足元から崩されました。

やはり、この技の「種」は9月1日に中島さんのパーティーの時に受けた出来立てホヤホヤのあの技。

あの時はその衝撃の大きさに驚きましたが、今回は、それが細かくなって全身に。

内側から身体を調整していただいたような感じで、それ以降、とても体調が良いです。

ご参加してくださった皆様、会場の皆様、スタッフのAさん、そして甲野先生、

本当にありがとうございました!