映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「バンテージ・ポイント~Vantage Point~」

2008年04月12日 | 映画~は~
2008年 アメリカ映画

3月の半ばごろ、映画館で見てきました。スペイン訪問中のアメリカ大統領の暗殺(?)事件を、8人の視点から描いたサスペンス・・・かと思っていたら、アクション映画でした。

アクション映画としてなら十分に楽しめると思います・・・が、もっと深い内容を期待していたので、個人的には少々ガッカリ。勝手に「サスペンス」色の強いものだと思い込んでいたのよね…。視点はものすごく面白いけど、掘り下げることなく、キーとなる人々のつながりも説明程度に表面をなぞらえただけの印象。スピード感もあるし、作りも面白いけど、演出がくどいねん!


8人がそれぞれの見地からひとつの事件を目撃するという話なので、ひとつの時間軸を八様に描く必要があるのはわかるのですが、何度も何度も巻き戻し映像を使われてイライラ。一回二回ならいいけど、8回も使われるとねぇ。

それからデニス・クエイドのカーチェイスのシーン、長すぎるわ。そんなに重要なシーンとは思えないけど、アクション映画的視点で見たら必要なんやろな。アクションだから。

登場人物が多いから、もう少し人物同士のつながり(特に映画の中での悪役たち)がもう少し知りたかったわ。

でも、この映画俳優人がものすごく豪華で見ごたえはあります。『ラストキング・オブ・スコットランド』(未見)のフォレスト・ウィッテカーやシガニー・ウィーバーシガニーの場合、出番がほんとに短くて笑ってしまいます。別にこんな大女優を使わなくても…と思ってしまうほど。大統領役にウィリアム・ハート。彼の大統領役、よかったです。腹黒くて何かを企んでそうな、政治界の黒い影がついている感じ。

一番よかったのはシークレット・サービスのデニス・クエイドの同僚役のマシュー・フォックス。ドラマの『LOST』などにも出ているそうですが、私はドラマ見ていないので知りませんでした。その存在感は抜群でした。

最初に出てくるレポーターの女性。大変な事件に遭遇したのはわかるけど、レポートはきちんとしてほしいわ。なんという女優さんか知らないけど、かなり青臭い感じでした。もしそういう演技だったとしたら、その演技力の高さに脱帽。

おすすめ度:☆☆★ (アクション好きな方に。)

「バトル・ロワイアル」

2008年04月11日 | 映画~は~
2000年 日本映画

この映画、ブームになりましたよね。『17歳のカルテ』のときにも書きましたが、世の中で「17歳」が危険で切れやすくて解らない存在として扱われている時期だったので、さらにこの映画への注目度が高まっていたように思います。

イギリスで数日前にテレビで放送されていたのを見ました。この日は別のチャンネルで『The Grudge』(ハリウッドリメイク版の『呪怨』)も放送されていて、軽い「ジャパン・ナイト」な雰囲気でした。『The Grudge』も日本で撮影されて、台詞の多くが日本語でしたし、『バトル・ロワイアル』ももちろん日本語での放送で英語の字幕つきでした。


実はこの映画の公開後、確か2000年か2001年にDVDを借りたことがあるのですが、今回改めてみてみてほとんど内容を覚えていませんでした。唯一覚えていたシーンは、柴崎コウがビューラーでメイクしているところ。「この状況下でマスカラかよっ!」とものすごく驚いた覚えが。たぶん私、途中で見るのをやめたんだと思います。ショッキングすぎて。

初めて観た当時は、「ショックや残忍性をあおりたいだけなんじゃないの?」と思い胸糞悪くなったんですが、今回見てみたらなかなか悪くないではないですか。私も大人になったものです。

当時の社会の風潮をかーなーり極端なかたちで取り込んでいて、台詞のところどころにメッセージ性の高さが伺えます。特に担任キタノ(北野たけし)が発する台詞。多くはないけど言いたいことはわかる。ただメッセージ性は高くとも、それが観客にそのまま伝わるかといえばそうではない。とにかく極端。メッセージ云々よりもやはり中学生(高校生じゃなかったんだ!?)の殺し合い、という内容のほうが何よりも強く映像や出来事として表現されているから。学生時代に見たときは、そういうメッセージを受け取らず、殺し合いだけを見ていた私のように(苦笑)。

公開から8年たってみてみると、キャストの豪華さに驚かされます。若手俳優ってあまり詳しくありませんが、柴崎コウ、栗山千秋、山本太郎、安藤正信、藤原竜也、塚本高史、佐野泰臣(金八先生の息子ね)…そうそうたる顔ぶれです。みんなキャラ立ちしてるし。佐野くん、出番はすぐに終わりますけど。柴崎コウと栗山千秋が殺し合いしてるんですよ?いろんな意味で恐ろしい映画です。この映画を観たクエンティン・タランティーノが深作欣二監督との会食時に、同席した数人の生徒役の俳優の中から、栗山千秋を『KILL BILL』にキャスティングしたと聞いたことがあります。柴崎コウと栗山千秋とかなり悩んだ、と。私の中ではとにかく柴崎コウが抜群に目立っていました。ころころと変わる表情、目で殺されるのではないかと思うほどの目力。無常なまでにクラスメートを殺していく姿。それから前田亜季がヒロイン役ですが、演技はすごくよかった。ただほかのキャラが濃すぎてものすごく普通。いや、普通の子の役だから、それでいいんだけどさ。

担任キタノのキレ具合がものすごく恐ろしいです。そしてものすごく悲しい。北野武以外にこの役ができるのか?それとも北野武が役ごと食ってしまっているのか。北野武の今までの歴史(フライデー襲撃事件とか)や、多彩な才能を持った人という観客の認識が、さらに北野武をこの役を演じるという事実を確固たる物とし、映画を見るうえで北野武をさらに「適役」であるという意識にも訴えかけていたんじゃないかと思う。にもうこの人以外に考えられません。

毎朝4時半から「風雲!たけし城」の再放送をやっているのだけど、無邪気に遊ぶビートたけし(とそのまんま東)を見ていると、この人の才能の幅広さにあらためて驚きます。たけし城、懐かしいわぁ。


おすすめ度:☆☆☆★ (誰にでも…とは言いません。好き嫌いが分かれる作品です)

「ワン・ミス・コール ~One Missed Call~」

2008年04月07日 | 映画~わ~
2008年 アメリカ映画

日本映画『着信アリ』のハリウッド・リメイク版です。『リング』『ダーク・ウォーター』『呪怨』と日本のホラー映画のリメイク版が最近本当に多いですね。『リング』や『呪怨』の場合はリメイクで資本はアメリカですが、日本版と同じ監督を採用していたりもしますが、今回はアメリカ人監督です。エリック・バレット(Eric Balette)という方ですが、この監督のほかの作品は私の知らないものばかり。作品のポスターのデザインを見た感じでは、ホラーっぽいものもあったのでこういう作品すきなのかもしれません。

さて肝心の映画ですが、映画冒頭から脱力です。ホラー映画なのですが、全然怖くない。わたくし、いろいろホラー映画見ていますが、ホラー映画が好き、または得意なわけではありません。恐ろしく怖がりです。そんな怖がりな私が見ても、怖くない。

一生懸命怖がらせようとはしているんです。その努力はいたるところに伺えるのですが、残念ながらまったくの逆効果で、映画の内容とは関係なかったり意味を成さないものになっていたり。単に「ドッキリ要員」として動員された小道具たちがたくさん。

『着信アリ』って、聞きなれない着信音が携帯から流れてきたと思ったら、自分が死ぬ時の悲鳴や会話が録音されている…という心理的な恐怖を描いた作品のはずなんですが、今回の『One Missed Call』ではビジュアル的な怖さに頼ってしまっているんです。怖さというより「驚かせる」「びっくりさせる」と言ったほうが的確です。

日本の怪談やホラーの恐ろしさって、あるひとつの大きな出来事が人々を震え上がらせるのではなく、いくつもの小さな不思議な出来事が積み重なってじわじわと恐怖心が煽られるというものですよね。

もちろん『One Missed Call』はアメリカ映画なので必ずしも同じ方法でなくてもよいし、「怖い」と感じる部分も日本人とは異なるのかもしれませんが、「おかしな電話メッセージを聞いた後に必ず死んでしまう」というのは「お化けがでた」とか「死体が動いた」というような見た目の怖さとは種類の違うもの。「観客を怖がらせる」ための恐怖のイメージがものすごく短絡的でした。

ただ、原作は当たり前ですが『着信アリ』ですし、物語の複雑さや細かなディテールはもちろんよいです。でもこのよさを生かしきれていないのが本当に残念。


主演女優のShannyn Sossamon(なんて読むのかしら…シャニン・ソサモン?)は頑張っていたと思います。私には「孤軍奮闘」と言う言葉が浮かんだほど。これで彼女までだめだったら、最後まで見れなかったと思う。この人どこかで見たような気がする…と思い調べてみたら、ジョシュ・ハートネット主演の『恋する40デイズ』で相手役の彼女だったのですね。独特の雰囲気のある女優さんです。

ほかに刑事役にエドワード・バーンズも出ていますが、彼がパッとしなかった。様々な映画に出ている俳優さんなのですけどね。

でもね、一番のドッキリは・・・デイブ・スペクターです。「日本がらみ」という力を発揮しているのかどうかわからないコネクションを思い切り使ったと思われるこの配役。本当にいてもいなくてもいい役なんですけど、あるシーンではやたら出てくる。彼の存在に気づいたのは映画館にいた客の中で私以外にいなかったはず(だって日本人、私だけだったし)。でもなんというか優越感に浸れない、どうでもいいトリビアみたいな…。



おすすめ度:★  これを見るくらいなら、本家『着信アリ』を見てください。



******追記(7月15日)******
日本でも7月19日(土)から公開されるようです。題名も「着信あり」ではなく、ハリウッド版の題名そのままの様子(この記事のタイトルもそれにあわせて変えました)。テレビCMよく見ますね。さて、日本の皆様の反応はいかに!!!

「リング」

2008年04月07日 | 映画~ら~
1998年 日本映画

久しぶりに見ました。前回見たのは確か2000年くらいだったと思います。テレビでやっていたのを弟と見た記憶が。怖くてギャーギャーいいながら、コタツの布団に隠れながら見ました。公開当時は大ブームでしたね。

もう10年も前になるんですね。ほとんど記憶も無くしかけていたので、新鮮な気持ちで楽しめました。

一番の驚きは、映画の中で一番初めに亡くなる女の子(松島奈々子の姪)が竹内結子、その友達が佐藤仁美だったこと!あの当時、竹内結子さんってまだまだ人気が薄かったんですかね。でも2000年当時(私がテレビで見たとき)は、連ドラに主演で出ていたような気もするので、短期間に人気を確立したということでしょうか。とにかくこの二人が出ていたことが一番驚きでした。

それから松島さんの同僚の「岡崎くん」は、柳ユーレイだったのですね!
「リング」は日本ホラーブームの火付け役ですが、柳ユーレイはその基礎を確立したといわれる伝説の映画「女優霊」の出演者(未見です)。そして「女優霊」の監督が「リング」の監督でもあるわけです。今回知りました。遅いです、私。

謎が謎を呼び、解けたと思ったら振り出しに戻される。

日本のホラー映画って、ただ驚かすだけではなく物語がしっかりしていますよね。そしてよく言われることだけど、心理的な恐怖心をあおる。呪いには理由があるけれども、殺される人たちにはまったく罪がなくて、どうしようもないところがまた怖いんだろうなぁ。

呪いを解く(死から逃れられる)方法である、テープをダビングして誰かに見せるというもの。私が松島さんだったら、間違いなくその方法に気づきません。頭いいわぁ、松島さん。でも、息子を助けるために自分の父親にビデオを見せようとするなんて、ひどすぎます松島さん!

映像は日本独特の、薄暗くて安っぽい(苦笑)感じですが、だからこそ恐怖心をあおられるという副産物(もしかして計算?)つきで結果オーライ!初めて人を念力で殺した貞子ちゃんは、6歳前後かと思われますがすでに容姿が出来上がっているあたり大物の予感でした。お母さん(志津子)の能力をいんちきだと罵った記者が亡くなるシーン、必見です。ミニ・貞子ちゃん。ちょっと笑ってしまいます。



※よい画像が見つからなかったので、今回はイメージ画像なしです。


おすすめ度:☆☆☆★ ホラー映画好きな方は必見。

「心霊写真~Shutter~」

2008年04月04日 | 映画~さ~
2004年のタイ映画です。邦題そのまま、心霊写真の映画ですので怖さももちろんありますが、ストーリー展開がなかなか面白くてよかったです。

若い写真家タンと恋人のジェーンは、車で走行中に若い女性をはねてしまう。女性にすぐに駆け寄ろうとしたジェーンをタンは引きとめ、そのまま帰路へ。その事故後、大学での卒業式の写真撮影をしていたタンの写真には、そこにいるはずのない女性が写りこんでいたり、たくさんの写真に白い影が。そこからタンの周辺でおかしな出来事が起こり始める・・・


ぜんぜん期待していなかったのですが、なかなか面白い作品でした。心霊写真の女性、タン、恋人ジェーン、親友たちとの関係が映画が進むにつれて明確になってきます。

主人公のタン、最低な男です(殴)。そしてこの友達がまたひどい。類は友を呼びます。昔の人は的確な表現をなさるわ。ただこのタンくん、男前です。正直に言うと、「笑い飯」の西田が入っていますが、それでも男前です。調べてみると、タイとオージーのハーフだそう。それから恋人ジェーン、かわいいけど演技力はない。このあたりが日本映画と同じにおいがします。彼女を見ながら「リング」や「呪怨」の松島奈々子や奥菜恵を思い出しました。演技力よりもビジュアルです。それでも今回はそんなことが気にならなくなるくらい、映画に引き込まれたので別によいのですが。

それからキーとなる女性の幸薄加減が抜群です。ナイス・キャスティング!良くぞ見つけてきた、と思うほどはまっています。

怖がらせ方の表現は、今までで出尽くした感があるので新鮮味はありませんが、「あー、日本もタイも一緒なんだなぁ」と妙なところで納得(勉強?)になります。ストレートの黒髪とか。酒の席で女はでしゃばらないとか。映画の結末やタン君の体調異変とかも、「怖い」の概念が日本と基本的に同じなのです。そこが一番の驚きで面白かったところかな。旦那(欧米人)と一緒に見ていたのですが、所々説明してあげると「そうなのか、なるほどーーー」とうなっていました。


この映画、すでにハリウッドでリメイクされており、そのリメイク版は現在ここイギリスでも公開中です。(←まだでした。アメリカでは公開中だそうですが、イギリスはもう少し後になりそう。2008年4月5日追記)アメリカ映画ですが、監督は落合正幸。『感染』や『天使の牙』の監督だそう。どっちも未見ですが、作品の幅が広いですね。そして、奥菜恵も重要な役どころで出演しているとのこと。ジェーンを見て奥菜恵を思い出した私は、きっと彼女に呼ばれていたんですね(殴)。ほかに宮崎美子や多数の日本人俳優も出演しているようです。なにせ舞台が日本ですから!ちょっと楽しみです。



お薦め度:☆☆☆★ (いろんなサイトを見てみたところ、かなり評価が低いようですが、私は悪くないと思います。)