映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「バトル・ロワイアル」

2008年04月11日 | 映画~は~
2000年 日本映画

この映画、ブームになりましたよね。『17歳のカルテ』のときにも書きましたが、世の中で「17歳」が危険で切れやすくて解らない存在として扱われている時期だったので、さらにこの映画への注目度が高まっていたように思います。

イギリスで数日前にテレビで放送されていたのを見ました。この日は別のチャンネルで『The Grudge』(ハリウッドリメイク版の『呪怨』)も放送されていて、軽い「ジャパン・ナイト」な雰囲気でした。『The Grudge』も日本で撮影されて、台詞の多くが日本語でしたし、『バトル・ロワイアル』ももちろん日本語での放送で英語の字幕つきでした。


実はこの映画の公開後、確か2000年か2001年にDVDを借りたことがあるのですが、今回改めてみてみてほとんど内容を覚えていませんでした。唯一覚えていたシーンは、柴崎コウがビューラーでメイクしているところ。「この状況下でマスカラかよっ!」とものすごく驚いた覚えが。たぶん私、途中で見るのをやめたんだと思います。ショッキングすぎて。

初めて観た当時は、「ショックや残忍性をあおりたいだけなんじゃないの?」と思い胸糞悪くなったんですが、今回見てみたらなかなか悪くないではないですか。私も大人になったものです。

当時の社会の風潮をかーなーり極端なかたちで取り込んでいて、台詞のところどころにメッセージ性の高さが伺えます。特に担任キタノ(北野たけし)が発する台詞。多くはないけど言いたいことはわかる。ただメッセージ性は高くとも、それが観客にそのまま伝わるかといえばそうではない。とにかく極端。メッセージ云々よりもやはり中学生(高校生じゃなかったんだ!?)の殺し合い、という内容のほうが何よりも強く映像や出来事として表現されているから。学生時代に見たときは、そういうメッセージを受け取らず、殺し合いだけを見ていた私のように(苦笑)。

公開から8年たってみてみると、キャストの豪華さに驚かされます。若手俳優ってあまり詳しくありませんが、柴崎コウ、栗山千秋、山本太郎、安藤正信、藤原竜也、塚本高史、佐野泰臣(金八先生の息子ね)…そうそうたる顔ぶれです。みんなキャラ立ちしてるし。佐野くん、出番はすぐに終わりますけど。柴崎コウと栗山千秋が殺し合いしてるんですよ?いろんな意味で恐ろしい映画です。この映画を観たクエンティン・タランティーノが深作欣二監督との会食時に、同席した数人の生徒役の俳優の中から、栗山千秋を『KILL BILL』にキャスティングしたと聞いたことがあります。柴崎コウと栗山千秋とかなり悩んだ、と。私の中ではとにかく柴崎コウが抜群に目立っていました。ころころと変わる表情、目で殺されるのではないかと思うほどの目力。無常なまでにクラスメートを殺していく姿。それから前田亜季がヒロイン役ですが、演技はすごくよかった。ただほかのキャラが濃すぎてものすごく普通。いや、普通の子の役だから、それでいいんだけどさ。

担任キタノのキレ具合がものすごく恐ろしいです。そしてものすごく悲しい。北野武以外にこの役ができるのか?それとも北野武が役ごと食ってしまっているのか。北野武の今までの歴史(フライデー襲撃事件とか)や、多彩な才能を持った人という観客の認識が、さらに北野武をこの役を演じるという事実を確固たる物とし、映画を見るうえで北野武をさらに「適役」であるという意識にも訴えかけていたんじゃないかと思う。にもうこの人以外に考えられません。

毎朝4時半から「風雲!たけし城」の再放送をやっているのだけど、無邪気に遊ぶビートたけし(とそのまんま東)を見ていると、この人の才能の幅広さにあらためて驚きます。たけし城、懐かしいわぁ。


おすすめ度:☆☆☆★ (誰にでも…とは言いません。好き嫌いが分かれる作品です)