PHP総研ブログ『番町Cafe』

HPでは公開しきれない活動をドドーンと紹介!!

三谷内閣情報官退任

2010-03-26 14:12:45 | 金子将史
 三谷内閣情報官が退任し、植松大阪府警本部長が後任、というニュースが飛び込んできました。

http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032601000319.html

 三谷氏はこの4年間、内閣情報官として、情報評価書や内閣情報分析官等、日本のインテリジェンス・コミュニティを成熟させるための重要な改革を推進してきました。

 PHP総研から出した提言「インテリジェンス体制-変革へのロードマップ」は、「早急に断行すべき改革」と「逐次実現していくべき改革」の二段階での改革を提唱しましたが、「早急に断行すべき改革」のかなりの部分が実現されました。内閣情報官としての三谷氏の功績は評価されてしかるべきと思います。

新しい内閣情報官にも、インテリジェンス機能強化の旗振り役としての活躍を期待したいところです。

人気ブログランキングへ
総研ブログ『番町Cafe』を応援する
↑♭押してクリクリック♪↑

「鳩山首相の頭ん中」

2010-03-26 11:16:03 | 金子将史

 普天間基地問題についての鳩山政権の方針がようやく固まったようですが、なぜこうした選択肢になったのか、いまひとつはっきりしません。 その他の外交・安全保障政策についても、鳩山首相がどう考えているのか、よく分からないところです。

 鳩山首相は直前にあった人に影響されるとのことなので、今年になってから鳩山首相がどのような外交・安全保障関係の有識者に会っているか、朝日新聞のHP検索で首相動静をチェックしてみました。 

1月6日 田中均氏(元外務審議官)
1月7日 田中均氏(元外務審議官)
2月15日 岡本行夫氏(外交評論家)
3月6日 孫崎享氏(元外務省国際情報局長)
3月8日 袴田茂樹氏(青山学院大学教授)ら日露関係専門家
3月20日  小川和久氏(軍事アナリスト)

 見落としがあるかもしれませんが、面白いラインナップです。3月になって孫崎氏や小川氏といった人たちと会っているのは、普天間基地問題など日米関係における打開策をきこうとしたのでしょう。孫崎氏や小川氏の考え方は、孫崎氏の『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、小川氏『14歳からのリアル防衛論』(PHP研究所)などに表現されています。孫崎氏は、PHP研究所から『情報と外交』という本も出しています。

 鳩山首相は対露関係に並々ならぬ関心があると言われていますが、そうした中で、袴田先生から話をきいているのは興味深いところです。袴田先生は、PHP総合研究所の「日本の対露総合戦略」研究会のメンバーでもあり、同研究会からは、昨年12月に、「鳩山対露外交への提言」が出ています。

 無論、民間人との意見交換は政策過程の一部でしかなく、閣内・与党内の調整や外務省や防衛省などの補佐が大枠を決めるのでしょう。しかも、新聞の「首相動静」や「首相の一日」は実は首相の動きを全てフォローしているわけではありません。本当に大事な会合は、記者の目に付かないようにセットされていますし、顔が知られていないと、記者が気づかないということもあるようです。逆に、田中均氏は、外務省時代、北朝鮮の交渉相手に、自分が首相にアクセスできることを示すために、この欄を使っていた、と回顧しています。それでも鳩山首相の頭の中をのぞく一助にはなるでしょう。


人気ブログランキングへ
総研ブログ『番町Cafe』を応援する
↑♭押してクリクリック♪↑


日本政府内の核戦略研究

2010-03-26 10:52:48 | 金子将史
 オバマ政権の核戦略見直しが大詰めの段階に来ています。この中で、大きな争点になっているのが、核兵器の役割をどうするかです。「核兵器なき世界」を主張するオバマ大統領の下、米国の核兵器使用は核兵器攻撃に対する報復だけに限定すべし、という議論が勢いを得ている一方、現在のように、大量破壊兵器の使用や大規模な通常兵器攻撃に対しても使用する選択肢を残すべきだという議論も有力です。

 核兵器の役割をできるだけ限定しない方がいいとする人の多くが、日本のような同盟国が不安になり、核兵器を持とうとしないようにするため、との理由をあげています。こうした議論に対抗するように、先ごろ「憂慮する科学者同盟」から、日本の非核方針はホンモノで、懸念には及ばない、という報告書が出されました。

http://www.ucsusa.org/nuclear_weapons_and_global_security/nuclear_weapons/policy_issues/japan-america-nuclear-posture.html

 注目されるのは、参考資料として、1968年と1995年に日本政府内で行われた核戦略研究が公開されていることです。これらの研究の背景には、当時の中国や北朝鮮の核兵器保有への動きがありますが、2つの報告書は、日本の核武装の選択肢を含めて検討した上で、非核政策を肯定する結論を出しています。

 これらの報告書は、これまでにも関係者やジャーナリストには知られており、私の手許にもありますが、一般の目に触れやすい形にはなっていなかったのではないかと思います。

 2つの報告書は、政府としての公的な検討というより、私的な検討という位置づけのものと思われます。米国の核戦略が転換期を迎え、核密約が白日の下にさらされている中、本来であれば、こうした検討を政府内で行うことが今こそ必要と思われます。ただし、それは多くの部分非公開で行われるべきものであり、現政権の下で行うにはあまりにリスクが大きすぎるかも知れません。


総研ブログ『番町Cafe』を応援する
↑♭押してクリクリック♪↑

政治とアートの融合!

2010-03-25 12:00:12 | 研究推進部スタッフ

 先日、政治とアートを融合させるというユニークなイベントに参加してきました。

 
会場は六本木の某CLUB。DJ音楽が流れる中、「アメリカに負けない“クリエイティブなブレーンセクター”を日本に創るには」というテーマで、トークセッションが進行。シンクタンク業界の大御所鈴木崇弘さんはじめ、政治、アート、ファッション各界の第一線で活躍している方々による議論は、とても刺激的でした。

 第一セッションの後、弊社研究員の宮下が「政治と現代アートの融合だけでなく、経済的観点をどう結びつけたらよいか」と早速質問。アート・プロデューサーの山口裕美氏から、アートフェアなどを例に「現代アートが経済に与える影響は大きく、今後、地域の活性化につながるのでは」とのお答えをいただきました。

 政治とアートのコラボという切り口は新鮮で、政策シンクタンクの仕事にも生かせるところがありそうです。現代アートが地域の活性化や新しいまちづくりの起爆剤になり、若手アーティストの活動の場が広がることを期待しながらイベント会場を後にしました。

人気ブログランキングへ
総研ブログ『番町Cafe』を応援する
↑♭押してクリクリック♪↑



「新・保守党か新・ホシュ党か」

2010-03-24 10:07:49 | 金子将史

 日本外交にはビジョンがない、哲学がない、とはしばしば説かれるところですが、日本における外交論議を思想的観点できちんと分析した論稿はあまり多くないように思われます。そうした中で、『近代日本の国際秩序論』といった酒井哲哉東大教授の一連の仕事は例外的といえます。

 その酒井氏が2010年3月22日の読売新聞に「保守がホシュになるとき」という興味深い文章を寄せています。言うまでもなく、この表現は磯田光一氏の『左翼がサヨクになるとき』のもじりです。その中で酒井氏は、保守という自意識が戦後的なものであることを指摘しつつ、現在の保守主義は、保守が備えているべき懐疑精神を喪失したホシュに変じていると論じています。保守を名乗る人々が、皇統の根拠をDNAで説いてみたり、皇太子ご夫妻を公然と論難したりするという光景は、「ホシュ化」のなせるわざということになるでしょうか。

 おりしも、保守を標榜する人々による新党結成の動きが目立つようになっています。こうした動きの先にあるのが保守党の再生なのか、ホシュ党の登場なのか、自民党再生の動向とあわせて注目されるところです。

人気ブログランキングへ
総研ブログ『番町Cafe』を応援する
↑♭押してクリクリック♪↑