2008年に発足したPHP「日本のグランド・ストラテジー」研究会(座長:山本吉宣 PHP総研研究顧問・東京大学名誉教授)は6月3日、『「先進的安定化勢力・日本」のグランド・ストラテジー-「先進国/新興国複合体」における日本の生き方-』と題して提言報告書を発表しました。
現在、世界は大変動期を迎えています。2010年、GDP世界第2位の座を中国が獲得したことに象徴されるように、中国をはじめインドやブラジルなど新興国の台頭による大規模なパワーシフトが生じています。大震災からの復興に全力を傾注すべき状況ですが、その間にも国際社会は大きく動いており、日本の進む道を確たるものにするためにも、世界に目を向けなければなりません。
本提言報告書は、「提言篇」と「分析篇」から構成されています。「分析篇」は「提言篇」の大前提となる、日本という国家の歴史的な位置づけや今後20-30年での国際情勢認識を提示しています。具体的には、国際社会の大変動の本質を、「加速したグローバル化が、半世紀以上にわたって持続してきた国際的なガバナンスや国内/国際連関の制度を動揺/変容させていること」「新興国の台頭が150-200年という超長期のスパンでの力の移行をもたらしつつあること」「加速したグローバル化が、『弱い国家』や非国家主体を顕在化させていること」の三点から分析しています。また、「提言篇」では、日本が、「先進国/新興国複合体」の中でどのようにふるまっていくべきか、大局的な観点から国内外にわたる総合的な戦略構想を提示しています。
今後の国際社会における日本の「生き方」を提言した1冊です。日本のグランド・ストラテジーについての議論が活性化していくことを願ってやみません。
【研究会メンバー プロフィール】
・山本吉宣 PHP総研研究顧問・東京大学名誉教授<座長>
・納家政嗣 青山学院大学教授
・井上寿一 学習院大学教授
・神谷万丈 防衛大学校教授
・金子将史 PHP総研主席研究員
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