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PHP総研ブログ『番町Cafe』

HPでは公開しきれない活動をドドーンと紹介!!

大橋良介編『京都学派の思想』(人文書院)

2009-09-29 11:26:04 | 金子将史
 職業柄、研究プロジェクトや執筆に関係する文献を渉猟することは当然ですが、私の場合、ちょっと発想が行き詰まった時には、思想や歴史の本を読むことにしています。人間誰しも自分が属する場所や時間にしばられていますが、思想や歴史の良書はそうした固定概念をゆらがせてくれる力を持っているからです。

 最近読んだこの本も、色々な気付きを与えてくれる本でした。戦後、戦争に協力したとして、宗教哲学など除けば、十分評価されてこなかった京都学派ですが、本書は、科学、技術、美学、教育、言語、歴史、宗教といった幅広い分野をとりあげ、その潜在力を探っています。様々な著者による論文集ですが、京都学派の人々自身の論考をもっと読みたい気にさせてくれる点で、編者の狙いは成功していると思います。

 例えば、近年の日本では、外交における主体性のあり方がテーマになっています。実は、それは「世界史の哲学」に取り組んだ京都学派の人たちにとっての哲学的課題でもあったわけですが、興味深いことに、彼らの師匠である西田幾多郎は、日本を主体化することに懐疑的でした。両者の違いは、現代の視点から見ても興味深いものがあるように思います。他にも、技術や科学をめぐる思考にも、現代的な意義がありそうです。

 以前、岡崎久彦氏が、「宗教家に外交をさせてはいけない」と述べていたと記憶しています。情勢を正しく判断し、プラグマティックに行動すべき外交に特定の先入観やイデオロギーを持ち込むことをいさめる主旨だったように思います。それはその通りなのですが、曇りない目で情勢をみているつもりで、知らず知らずのうちにある種の思考体系にとらわれていることや、新しいことを言っているつもりで、以前語られていたことを反復しているだけのことは、よくあることです。それを知るためにも、優れた思想家たちによる世界のとらえ方に接する意味があるのではないでしょうか。


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9月18日

2009-09-18 14:46:45 | 前田宏子
今日、中国のニュースをチェックしていて気が付いた。
そうか、今日は“9.18”・・・。

“9.11”ではなくて“9.18”。9月18日に中国で起こった事件で、中国人ならば誰でも知っている日である。日本でも知っている人はもちろんいるが、中国のように皆が知っているわけでも、意識されているわけでもない。これは何かというと、1931年に満州事変が勃発した日である。

9.18に関して、中国留学中に遭遇した面白い出来事がある。私は2003年9月に中国へ留学したのだが、北京大学で学んでいた中国人の友人に、中国語家庭教師を探してもらうようお願いした。彼女は二つ返事で引き受けてくれて、早速、北京大の学生達が使うネット掲示板に、「日本人留学生、中国語家庭教師を望む。時給は40元。関心のある方は××××までお電話を」という書き込みをしてくれたのだった。

するとしばらくして、その友人が血相変えて私のところへやってきた。「大変なことになった。ついうっかりしていて・・・」と言うので、どうしたのかと尋ねてみたら、彼女が掲示板に家庭教師募集のメッセージを書き込んだのが9月18日だったのである。つまり、日本による中国侵略が始まった日に、そのようなメッセージを載せるなどケシカランということで、「売国奴」「屈辱的」などという非難が大量に寄せられたのだった。
私の部屋の電話番号も記載されているから、嫌がらせの電話がかかってくるかもしれないとその友人は警告してくれた。私とルームメイトは戦々恐々としていたのだけれど、果たして、その日電話は鳴りやまず、ついにその日の夜、我々は電話のコードを引っこ抜くことになった。ただし、かかってきたのは嫌がらせなどではなく、すべて「家庭教師に応募したい」という電話だったのである。中国に到着してすぐ、中国の現実を垣間見た一件だった。

ところで、今年の「九一八」に関する中国の報道はというと、極めて淡白で、「9月18日に起こった事件」として誰それが亡くなった、とか、何とか化石が発見された、とか色々な(大して重要とも思えない)出来事と並列して報じられている。いま日中関係にさざ波を立てるようなことはしたくない、という姿勢が顕著だ。6年前とはずいぶん変わったものである。

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「八王子・町田・相模原 都市間連携シンポジウム」

2009-09-11 15:29:47 | 宮下量久
9/6(日)、八王子市南大沢で行われた「八王子・町田・相模原 都市間連携シンポジウム」で、基調講演とパネルディスカッションに参加しました。

町田市・相模原市のホームページにも、すでにその模様が紹介されています。

町田市ホームページ
http://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/torikumi/jichi/tosikannrennkei/index.html

相模原市ホームページ
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/012202.html

3市の人口を合わせると170万人で、1つの市になれば全国5番目の都市となります。講演では、3市が連携して、ポテンシャルを活かしたまちづくりが必要なことをお話させていただきました。

続いてのパネルディスカッションでは、八王子市の黒須市長、町田市の石阪市長、相模原市の加山市長、(株)ビズデザイン代表取締役の木村氏と登壇して、3市の将来像を議論しました。
下の写真はその模様です。



実は、私は生まれも育ちも相模原市です。これまで研究してきたことを踏まえ、地元の地域振興について市長の方々と率直な議論をさせていただけたことに、大変感激いたしました。

最後になりますが、八王子市・町田市・相模原市などの関係者の皆様、貴重な機会をいただきありがとうございました。
3市の地域振興について、さらに研究を深めて参りたいと思います。

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官房長官人事

2009-09-04 19:01:32 | 研究推進部スタッフ
 政権がどれだけ安定するか、どのような政策を展開するのかは、相当程度人事次第なので、鳩山政権の人事がどうなるか、興味深いところです。

 そうした中、小沢一郎氏の幹事長起用に続き、内閣の要の内閣官房長官に鳩山氏側近の平野博文党役員室長が就任する見通し、との報道がありました。

 平野氏には、弊社で行っている「ネクスト・ビジョン研究会」の7月のゲストに来ていただいたばかり。
http://research.php.co.jp/nextvision/

 内容については完オフですが、裏方に徹する印象の平野氏のような方を官房長官に起用する鳩山氏は、なかなかどうして見る目があるかもしれません。

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海外メディアのインタビュー

2009-09-04 16:11:31 | 前田宏子
 シンガポールテレビの方と、Voice of America(中国語版)の方からインタビューを受ける。テレビのインタビューはやり直しがきかないので(まずい部分は、編集でカットしてくださるんでしょうが)、活字のインタビューとは違う緊張感がある。

 両方とも、テーマは民主党政権の政治や外交政策だった。選挙前にも、中国の新聞社の方からいくつかインタビューを受けたけれど、やはり非自民党政権の誕生に、みな興味津々のようである。

 中国は、鳩山氏のアジア重視の姿勢や、靖国神社に参拝しないという姿勢を高く評価しているが、どのくらい氏が安定した政権を維持できるのか、さらにいえば首相でい続けられるのか、というのが気になっている様子。尋ねられても、現段階では「こっちが教えてほしいくらい」というのが正直なところだけれど、まずは2週間後に予定されている組閣が注目される、という話などをする。

 面白かったのが、鳩山氏のアジア重視について話しているとき、記者の方が発した「鳩山氏は、アジアの人々の心情をよく理解しているのですか?」という一言。うーん、どうなんでしょう。「アジアの人々の心情」というのが何を指すのかもずいぶん曖昧だけれど、少なくとも氏がアジア的だという印象はまったく受けない。「宇宙人」というのは誰が考えたか知らないけれど、確かにイメージをよく捉えている気がする。ま、ともかく頑張っていただきたいです。



 写真はシンガポールテレビIさんからいただいたお土産。中身はお茶。さすがシンガポール、装丁がオシャレです。ところで、なんでパッケージが芸者なんだろう?

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