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トリノオリンピックがきっかけとなって日本で人気急上昇中のカーリングの日本選手権昨日からはじまったが、かつてない盛り上がりを見せているそうです。「チーム青森」がアイドルグループ並みの人気で、彼女らをおっかける男たちの姿がメディアも大きく取り上げています。フィギュアスケートの世界ジュニア選手権に出場している浅田真央選手と韓国のキム・ユナ選手との競争がまた、ニュースとしておいしいものがあります。サッカーのチャンピオンズリーグでは、バルサはチェルシーに去年の雪辱したり、アーセナルを相手に何もできないままレアルマドリードが敗退したり、ユベントスは神がかり的とも言える勝ち方でベスト8に進んだりと本当におもしろくなってきました。一方、新しい試みであるWBCの一次リーグで日本は韓国にまさかの敗戦したと思ったら、海の向こうでカナダがアメリカを相手に金星をあげています。
スポーツがメディアで大きく取り上げられ、一流選手はスポットライトを浴びる中、それぞれのスポーツ界を影で支えつづける人たちのことをどうも忘れがちです。昨日、富山県の福光町にある某野球のバット工場におじゃました時にそれを痛感したからです。福光は、野球のバットを生産する日本で有数の場所として有名です。全国に九つぐらいしかないバット工場のうち五つも福光にあるそうです。福光地方のあぜ際で植えられていた「とねりこ」の木の弾力性がバット材料である「ホワイトアッシュ材」と似通っていたことがきっかけであり、彫刻や木地細工物に長けた職人も多いことからバット製作に拍車がかかったといいます。以来、80年余り「バットの福光」として福光地方に作られたバットは少年野球から草野球・プロなど多くの野球人に愛用されています。
見学させてもらった工場にいた職人さんの一人は、50年間バット製作一筋の方だと聞きました。その手でこれまで何万本のバットを作ってきたかはわからないが、まさに日本の野球界を長年支えた一人で、何か風格さえ感じました。野球に限らずどのスポーツにおいてもそういう職人さんの存在が大きくて、彼らの支えがあって初めて選手が快くプレーに集中することができるわけだし、我々がそのプレーに魅了されるわけです。もちろん、選手は彼らに対して常に感謝の気持ちを持ってプレーしているわけだが、我々観客もそのプレーに興奮する時に、それを影で実現可能にしてくれた人々に対する気持ちを少し持ってみてはどうでしょうか。